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古いレンズで政策論じるな

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  (日経新聞”大機小機”の記事より)

中央銀行やマクロ経済専門家の間でよく聞かれるのは、生産性の低下や企業の設備投資がなかなか伸びないことを憂える議論だ。
20世紀に比べると、成長を高めるようなイノベーションが起きていないのが問題だという前提で話が進む。

だが、そうした議論は経済の実態に即しているといえるだろうか。

人工知能(AI)を活用したビジネスや個人が保有資産をいかすシェアリングエコノミーの拡大など、経済は大きな構造変化のさなかにある。
ネットの高速化で企業も個人もかつては思いもつかなかったようなことができる時代になった。

こうした最先端の動きを国内総生産(GDP)統計はつかめていないのではないか、今起きているイノベーションがもたらす真の付加価値が過小評価されているのではないかという疑問は拭えない。

例えば情報・データをタダで、大量に素早く得られるようになっていることの効用はどこまで理解されているのか。

エコノミストの中にもこうした問題意識に立った分析を行い、「生産性が低下していると断定するのは誤り」と説く人びとはいる。
ゴールドマン・サックスのJ・ハチウス氏やグーグルのH・バリアン氏らだ。

主流派はこうした異論を「GDP統計で把握できていない部分は増えていない」「無料サービスは非市場取引であり、GDPに含まれない」と一蹴し、議論は対立したままだ。

とはいえ、GDP統計でとらえやすいのはオールド・エコノミーの分野であり、急速に伸びつつある新分野は捕捉しにくいのは確かだろう。

にもかかわらず、これまで通りGDPを目安に政策論議を進めれば、方向を誤る恐れがある。
工場や道路の建設など統計に反映されやすいものが伸びればよしとすることになりかねないからだ。
GDPには表れにくいものの、人や知的財産、新たな組織づくりに向けた投資を促すほうが今の時代にはかなっている。

求められるのは、従来の古いレンズのままでは新しい付加価値がよく見えなくなっているという謙虚な前提に立って政策を議論することだ。
そのためには、GDP統計の不断の見直しとともに、GDPでは測れない価値や効用についても正当に評価し、捕捉していく必要がある。

by mnnoblog | 2017-08-08 08:48 | 経済

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