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2016年 05月 31日 ( 1 )

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    (JB press の画像と記事より)

マイナス金利に踏み込んでもインフレを作り出すことができない。
それは日本だけの現象ではない。


ヨーロッパ中央銀行もマイナス金利を採用しているが、思ったように物価を上昇させることができない。
米国のインフレ率も低くなっている。
ほぼ全ての先進国でインフレ率はゼロ付近をうろついている。

そして、一時は石油価格が1バレル=140ドルになるなど、あれほど騒がれた資源インフレもウソのように終焉してしまった。

なぜ、このようなことが起きているのであろうか。
昨今の世界経済の変化には、中国の農民の動きが大きく関わっている。

中国の人口は農村から都市へと移動している。
日本でも昭和20年代後半から昭和が終わる頃まで、多くの人が農村から都市へと移住した。
同じ現象がアジア各地で起きている。
そして、それは13億人の人口を擁する中国で特に顕著である。

経済成長とは、農業が主な産業であった国が工業化することである。
もちろん農業部門も少しは成長するが、その速度は工業部門に比べて著しく遅い。
途上国の経済成長とは、地方で農業に従事していた人が都市に出て工業部門で働くことを意味する。

上図に、世界で1年間に増えた都市部の人口を示す(アフリカを除く)。
中国を除いた地域では、都市人口の増加はほぼ一定である。
毎年3000万人から4000万人が都市部へと流入している。

一方、中国の都市人口は開放改革路線に舵が取られた1970年代後半より急上昇して、21世紀に入った頃からは毎年約2000万人も増加している。

先進国では都市と農村の生活水準の差はそれほど大きくない。
しかし中国では都市と農村の差が極めて大きい。
その中国で毎年2000万人もの人々が農村から都市に流入している。

農村から都市に出た人々は消費者であると共に生産者である。
中国ではその多くは工業部門で働いた。いわゆる農民工である。
彼らの職場は大量の石油、石炭、鉄鉱石を必要とし、中国は世界から大量の資源を輸入した。

日本も高度成長時代に中国と同じことを行ったが、中国の人口は13億人。
それは世界の歴史をも変えるインパクトをもつ。

世界人口の1割にも及ぶ人々が農村から都市へ移動して、その多くが工業部門で働いた。
それが資源需要を急増させ、資源国であるブラジル、オーストラリア、アンゴラなどの景気を浮揚させた。

都市に出てきた中国の農民が世界経済のエンジンだった
統計を見ると、1990年頃から2010年頃まで中国だけでなく世界の多くの国々で成長率が明らかに高くなっている。

だが、ここに来てそのエンジンが逆回転し始めた。

中国における農村から都市への人口移動のピークは2011年である。
その数は2270万人。2016年は若干減って2040万人と推定される。

中国で農民が都市へ流入する時代は過ぎ去ろうとしている。

都市で経済が爆発的に増大する時代は終わった。
それが資源バブルの崩壊を招いている。

今後、インドで同様の現象が起きることを期待する向きもあるが、それは中国ほど爆発的な現象にはならないであろう。
中国以外では農村から都市への人口移動は緩慢である。

農民が都市へ移ったことにより中国は世界の工場になった。
安い労働力を使って安い工業製品を輸出している。
その結果、世界中に安い中国製品が溢れ、世界にデフレをもたらしている。
そして、それは先進国の工業部門に打撃を与えて、雇用を奪っている。

今後もこのような状態はしばらく続くだろう。
中国は過剰投資によって急成長した国である。
そのため、過剰投資が問題となっても投資を止めることができないジレンマがある。

どの国でも成功体験の自己否定は難しい。
だから、過剰設備を抱えながら、投資を増やすことによって景気を下支えしようとしているのだ。

21世紀に入ってからの資源価格の高騰と下落。
そして世界的なデフレの背景には図に示した中国の人口移動があった。

しかし、現在そのピークは過ぎ去り、今後、中国が世界経済をリードすることはない。
いくら中国政府が力んでも、農村からの元気な若者が都市に出て来ることがなくなれば、経済を成長させることは難しい。
そして、これまでに作った生産設備があまりに巨大であるために、中国だけでなく世界がデフレに苦しむ時代に突入してしまった。

なお最後に一言追加すれば、農村部からの人口移入はピークを過ぎたからと言って、図に示すように、止まったわけではない。
それが、中国経済が崩壊しそうだと言われてもなかなか崩壊しない理由である。
このような状況がしばらく続く。重苦しい限りである。


by mnnoblog | 2016-05-31 08:09 | 経済

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