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2017年 07月 30日 ( 1 )

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  (日経新聞の画像と記事より)

新技術の登場が従来の産業構造を一変させる破壊的イノベーションが素材の世界でも起きつつある。

金属や樹脂、繊維など様々な素材の潜在力を引き出し、組み合わせることで、常識破りの機能を獲得した新素材が次々と誕生。
量産化への扉を開けようとしている。
ものづくりのあり方すら変えてしまう可能性を秘めた「マテリアルX」の最前線を追う。

「ISO19095」。
金属と樹脂を組み合わせた複合材の強度に関する国際標準を生み出した中小企業が東京・日本橋にある。
社員わずか40人ほどの大成プラス(東京・中央、大隅光悟朗社長)だ。
創業から30年あまり。
異なる素材同士をくっつける「接合」の分野では大企業も及ばない高度な技術を持つ。

「口で説明するよりも、やって見せるのが一番早いからね」。
創業者の成富正徳会長が差し出したのは1枚の薄いアルミ板。
その端から2センチメートルほどの黒い樹脂が突きだしている。

あいさつ代わりとばかりに、右手に持ったハンマーを黒い樹脂に向かって力いっぱいに振り下ろした。
ガン、ガン、ガン――。6度の衝撃音が鳴り、プレートはグニャリと折れ曲がった。
衝撃を直撃したはずの樹脂は、何事もなかったようにくっついている。

相いれない素材同士を結びつける魔法の正体は、特殊溶液で金属表面に開けたナノ(ナノは10億分の1)メートルサイズの穴だ。
アリの巣のような複雑な形状で、ここに溶けた樹脂が流れ込むことで金属と一体化する。
「2つの素材がくっつくと、まったく新しい素材になる」(成富会長)

金属と樹脂の組み合わせは自在。大ぶりなブロックとして接合すれば、それを母材に部品を削り出すことも可能だ。
スマートフォン(スマホ)の金属製の背面パネルに、電波を通す樹脂の帯を組み込むデザインには同社の技術が使われている。

普及に向けネックとなっていた強度を客観的に測る「ものさし」も手に入れた。
大成プラスは東ソー東レ三井化学と組み、国の制度を活用して2015年に国際標準化機構(ISO)から規格化をもぎとった。
複合材の強度を金属などと比較できる方法が確立したことで、応用の範囲は飛躍的に広がった。

「今までとは違ったデザインで勝負したい」。
トヨタ自動車が次世代のエコカー競争で勝ち抜くための戦略車として2月に発売した新型「プリウスPHV」。
バックドアの骨格を薄く細く仕上げ、ドライバーが後方を確認する窓部分の面積を10%広げる――。
アルミ材などの金属では強度が足りず実現できない。
そこでトヨタの開発陣が着目したのが三菱ケミカルの炭素繊維強化プラスチック(CFRP)だ。

三菱ケミカルで炭素繊維複合材料の技術開発を担当する山下雅氏は「トヨタがCFRPでしか作れない図面を描くなんて」と変化に驚く。
「いままでは金属部材の図面を持ってきては『樹脂で作れませんか』という相談ばかりだった」からだ。

トヨタの量産車にCFRPが採用されるのは初めて。
ただ、悲願達成への道のりは険しかった。 
「生産性を2.5倍に引き上げてほしい」――。
トヨタからのお題は、従来は5分かけていたCFRPの成型時間を2分に短縮するという難問。
豊橋研究所(愛知県豊橋市)の鍋島泰彦主席研究員は「早く固めるだけなら簡単だが、成型が難しくなる」と解説する。
スピードを優先すれば金型の中で目詰まりしやすくなるためだ。

シート状のCFRPを金型に押し込んで成型する「SMC(シート・モールディング・コンパウンド)」は25ミリメートル程度に刻んだ短い炭素繊維を樹脂に浸して作る。
三菱ケミカルは繊維を浸す樹脂や添加剤を改良。
炭素繊維を満遍なく均一に分散させ、物性のバラツキを減らした。
成型設備の設計も含め、2年半かけて固まりやすさと成型しやすさのバランスを狙ったポイントに引き寄せた。

さらに上を行く新素材開発も進行中だ。
切り刻んだ炭素繊維を樹脂で固めるSMCは素早く成型できる一方、強度がやや弱い。
そこで、織り上げた炭素繊維を樹脂で固める高強度のSMCで片面を補強、短繊維のSMCを金型に押し込む新しい成型法を開発した。

成型品に向いた短繊維SMCと、硬さ自慢の長繊維SMCのいいとこ取り。
「これから評価してもらう段階」(鍋島氏)だが、シャシーなどこれまで金属優位を崩せなかった車の安全に直結する構造材にも活躍の場が広がる可能性を秘める。

炭素繊維を巡っては米ボーイングなど航空機向けの炭素繊維が爆発的にヒットした東レが世界シェア40%強と圧倒的に先行する。
だが、ここにきて主戦場は軽量化を推し進める自動車向けになりつつある。
東レの後じんを拝してきた三菱ケミカルは、量産車向けで反転攻勢をかける。

植物由来の新素材「セルロースナノファイバー(CNF)」。
紙の原料となるパルプをナノメートル単位に細かく解きほぐした素材で、結晶1つあたりの強度は鉄の5倍で、重さは5分の1。
日本製紙王子ホールディングスなど製紙大手がフロントランナーだが、そこに挑戦状をたたきつけたのが電線製造の老舗、古河電気工業だ。

「単価を1キログラムあたり数百円に下げます」。
古河電工がコストの壁に風穴を開けたのがCNFに樹脂を混ぜた「CNF強化樹脂」。
鉄より軽く、強度も高いことから自動車の次世代素材として注目を浴びるが、従来の製造コストは1キロ数万円と「高すぎて採用にはほど遠い」(自動車メーカー)とされてきた。
製紙会社がコスト削減に苦心するなか、古河電工はお家芸の電線被覆の技術で常識をひっくり返す。

一般的なCNF強化樹脂は、まず原料パルプをナノ化してから樹脂に均一に分散させて作っている。
一方、電線被覆材は複数の樹脂を押出機に投入して回転させながら化学反応を起こして作る。
CNFにこの虎の子の技術を応用することで、製造コストを10分の1以下にそぎ落とした。

原料パルプと樹脂の中に、樹脂に反応する添加物を混ぜ、押出機内で化学反応を起こすと同時に樹脂を均一に分散する。
一般的な製造法ではパルプをナノ化して水と混ぜ、さらに樹脂と混ぜ合わせるために脱水するといった複数の工程が必要だが、古河電工の技術ならたった1つの工程だけで作り出せる。

電線の被覆材は何十年も雨や熱から電線を保護し続ける性能が求められ、海底ケーブルでは水深8000メートルの水圧に耐える強度が必要だ。
古河電工は長きにわたって樹脂材料の配合や加工の技術を磨いてきた。
「接着剤を使わずに金属と接合したい」という自動車メーカーの要望を受けたときも、長年蓄積した技術を使って樹脂性能を変更。
CNF強化樹脂を高温プレスするだけで金属と接合できるようした。

「CNFは高いというイメージを覆す」。
研究開発本部コア技術融合研究所の中島康雄主査の鼻息は荒い。
2024年の自動車への搭載を目指し、自動車大手と品質の検証を始める。

by mnnoblog | 2017-07-30 08:28 | テクノロジー

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