私のゆるゆる生活

mnnoblog.exblog.jp
ブログトップ

2017年 09月 23日 ( 1 )

d0187477_09042254.jpg
  (The Economist の記事より)

人間の顔というのは見事な作品だ。
驚異的なほど多様な顔立ちが存在するから、お互いに見分けがつくのであり、それにより複雑な社会が築き上げられている。
しかも顔は、感情を伝達することもできる。

人間は、起きている時間のほとんどを相手の顔を読み取ることに費やしている。
一方、自分の本心を偽ることにも多くの時間を費やしている。

顔の表情を読み取る能力では、今や機械が急速に人間に近づきつつある。
米アップルが12日に発表する新型「iPhone(アイフォーン)」は、顔認証でホーム画面のロックを解除できるという。

人間が顔を認識する能力に比べれば、こうした進歩は微々たるものに思えるかもしれない。
確かに有人飛行やインターネットといった画期的な発明の方が、人間の能力を劇的に変える。

人間の顔は個々人で異なるが、公開されているものなので、顔認証は一見、プライバシーを侵害するものとは感じられない。
だが、あまりコストをかけずに膨大な数の顔の画像を瞬時に記録し、保存し、分析できるようになれば、いずれプライバシーや公平性、信頼性などの概念を根本的に覆すことになる。

まずプライバシーの問題を考えよう。
顔認証が、指紋などの生体認証データと大きく違うのは、遠くからでも認識できる点だ。

携帯電話を持つ人なら誰でも、相手の写真を撮って顔認証プログラムに読み込ませられる。
ロシアの「ファインドフェイス」というアプリは、見知らぬ人の写真をSNS「VKontakte」に上がっている写真と比べ、70%の精度で本人を特定できるという。

米フェイスブック(FB)が持つ膨大な写真データは誰でもアクセスできるわけではないが、例えばFBは自動車のショールームを訪れた客の写真を入手し、顔認証で特定した本人のページにクルマの広告を流すこともできる。

民間企業が画像と身元を結び付けることができなくても、多くの場合、国家なら可能だ。

中国政府は、国民の顔写真のデータを保有しているし、米国では成人の半数の写真がデータベース化されており、米連邦捜査局(FBI)はこれらを利用することが許されている。

今や法執行機関は犯罪者を追うのに役立つ強力な武器を手にしているが、そのことは同時に市民のプライバシーに重大な危機が訪れていることを意味する。

顔は、単なる名札ではない。
名前以外にも膨大な情報を示しており、機械はそれらも読み取ることができる。

このことには利点もある。
例えば、アイドゥー・チェイニー症候群などのまれな遺伝的疾患を自動的に診断するために顔を分析している企業もある。
顔認証技術を使えば、通常よりもずっと早く疾患を見つけられるという。
また、人の感情を測定するシステムがあれば、自閉症の人にとって、認識しづらい社会的なシグナルが理解しやすくなるかもしれない。

だが、この技術は脅威にもなりうる。
米スタンフォード大学が実施した研究によると、同性愛者の男性と異性愛者の男性の写真を見せたところ、アルゴリズムは本人の性的指向を81%の精度で言い当てたが、人間の判断による場合は61%にとどまったという。
同性愛が犯罪とされる国で、ソフトウエアで性的指向を顔から推測できるとなれば重大な問題をはらむ。

そこまで乱暴な形でなくても、差別が日常化する可能性はある。
現在、既に雇用主が偏見に基づき採用を却下することはありえる。

だが顔認証があれば、そういった偏見が当たり前になり、企業はすべての応募者を人種だけでなく、顔に表れている知性や性的指向の兆候によってふるいにかけるようになるかもしれない。

しかも、そういった顔認証システムは、白人以外に対してマイナスに働きがちになる可能性がある。
というのも、白人の顔を中心とするデータで学習させられたアルゴリズムは、他の人種についてはうまく機能しないからだ。

人々の顔の映像が常に記録され、コンピューターによってそれらを活用したデータ分析が進み、実世界の生活に反映されるようになると、人間関係というものが本質的に変わってしまうかもしれない。

人間は、お互い相手の本当に考えていることを知ることができないからこそ、円滑に日常生活を送れているともいえる。
結婚生活や職場の人間関係は、裏表が一切ないものになるかもしれないが、円満ではなくなるだろう。

しかも、人間関係は信頼に基づく約束の上に築かれたものではなくなってしまう。
そして、コンピューターが顔写真に結び付けた情報からはじき出したリスクと報酬の見積もりに基づいたものに変わるかもしれない。
その場合、人間関係は合理的判断に基づくものになる一方で、何事もビジネスのようにプラスとマイナで判断するようになってしまうだろう。

少なくとも民主主義国家では、法律によって顔認証システムの利点と欠点のバランスを修正することはできる。
米グーグルは、非民主的な国家に悪用される恐れがあるとして、顔認証技術の利用には慎重な姿勢を示している。

各国政府も顔認証のメリットを手放したくはないだろう。
従って早晩、変化が訪れるのは必至だ。
この問題には正面から立ち向かうしかない。

by mnnoblog | 2017-09-23 08:48 | テクノロジー

のほほんと---


by mnnoblog