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2017年 09月 28日 ( 1 )

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  (現代ビジネスの画像と記事より)

最近、仮想通貨の価格が急上昇して話題になることが増えている。
それに対して、中国政府が厳しい規制で臨んでいる。
さらに先日、米国投資銀行のトップが、仮想通貨は詐欺といって一時仮想通貨の価格が下落した。
かたやエストニアでは、政府が仮想通貨の発行を検討している。

一体、仮想通貨の周辺で何が起こっているのだろうか。

まず、ビットコインの価格の推移を見ておこう。
黎明期はほとんど価格ゼロであった。
その後、2013年12月に1000ドルを超えたが、その当時取引所のひとつであったマウントゴックスが倒産したことなどもあり、その後は低迷が続いた。
その後、じわじわと価格が上がっていったが、今年に入りまた急騰。
そして、最近は中国政府の規制強化などで急落している、という状態だ。

そもそも仮想通貨とは何か。
ビットコインは代表的な仮想通貨であるが、これまでの電子マネーとは違っている。
これまでの電子マネーは本物の通貨と交換で作られており、これは、これまでの本物の通貨でない「通貨類似」、例えば商品券、「地域通貨」などと同様のものだった。

ところが、ビットコインには、「採掘」といって、実際に無の状態からでも作り出す、手に入れることもできる。
これは、現実社会の金の採掘に似ている。
もっとも、採掘はネット上で行われる。
それも、無数のコンピュータで計算を行わないと採掘はできない。

ただし、全体の供給量は時間とともに緩やかに増大し、あとから参加した者ほど「採掘」が困難になるという仕組みだ。
これも、実際の金鉱脈を掘り当てるのと似ている。

こうした仕組みはとてもユニークだが、創始者は「Satoshi Nakamoto」という日本人だといわれている。

さて、ビットコインの取引では、すべての取引に固有のビットコインIDが付与されている。
そのため、理論的には資金のトレースもできるようになっており、その取引記録も実はリアルタイムでみることもできる。
ただし、そのIDが誰のモノかを特定することは第三者にはできない。

筆者の目から見れば、ビットコインの中心的な技術であるブロックチェーンは、手形の裏書きをコンピュータの分散システムで代行しているようにみえる。

いずれにしても、好奇心をそそるよくできた仕組みであり、実際に、本物の通貨との交換によって国際決済を行ったり、買い物にも使用できるようになっている。

しかも、既存の金融機関を経由する仮想通貨と比べれば、手数料がかからない点ではるかに安いので、かなりの人気になっているわけだ。

ビットコインに敏感になっている中国において、こうした仕組みはどのような社会的な影響があるのだろうか。

結論から言えば、仮想通貨を導入すれば、中国の一党独裁、社会主義が崩壊しかねないのである。

ご承知の通り、中国には一党独裁という政治的な不自由がある。
これは私企業での「分権意思決定」という経済的な自由は相容れない。

この観点から言えば、政治的自由のない中国では経済的自由にも制約があるため、本格的な資本主義を指向できない。
特に、中国では土地の私有財産制が否定されているなど、生産手段は国営が原則である。

これを守り続けるためには、厳しい取引規制が必要である。
このため、資本取引の要となる金融規制も厳格にせざるを得ず、それゆえに民間の仮想通貨は真っ向方対立するのだ。

特に、国内外のカネの流れを規制しないと、中国は社会主義体制を維持できなくなるので、国家の枠組みを越えて取引ができる民間の仮想通貨は、危険な存在なのである。

ビットコインの場合、当初にシステムを仕組んだ者と「採掘者」が通貨発行益を受け取れる。
しかも本物の通貨より発行コストや運営コストが低いので、通貨発行益が大きいのが魅力だ。

それを中国政府が見逃すはずはない。
筆者は、中国政府が、体制崩壊に結びつくような仮想通貨の取引については厳格に管理するが、政府自らが仮想通貨を発行する可能性は結構あると思っている。

仮想通貨といっても、本物の通貨のように発行者が「通貨発行益(seigniorage=発行額と発行コストの差額。1万円札の場合、9980円程度が発行益になる)」を得られることは同じだ。

この点について、エストニアが政府自ら「エストコイン」の発行を検討していることをみよう。

エストニアは電子政府化への取り組みがさかんである。
ICチップが埋め込まれているIDカードがあれば、銀行振込も選挙もできる。
このIDカードを外国人は基本的には持てなかったが、現在はこれを外国人にまで拡大している。

この結果、外国人がエストニアの「デジタル住民」になり、オンラインで行政サービスにアクセスしたり、エストニアにある会社を運営し、起業できるようになっている。

これが「E-resident」と呼ばれるもので、138カ国から2万2000人がデジタル住民に登録しているという。

電子政府の延長線で、エストニアは「エストコイン」(estcoin)という仮想通貨を発行し、集めたカネをデジタル国家の建設のために使うという。
これはICO(Initial Coin Offering)といわれるもので、仮想通貨を使った資金調達である。

株式の代わりに仮想通貨を発行するのだが、発行元は国であるので、政府通貨発行によって通貨発行益(発行額から必要経費を控除したもので、ほぼ発行額)を財政支出に使うのと、基本的には同じである。

ICOそのものは、民間企業でのベンチャー企業投資に似た仕組みであるので、発行体の信頼がポイントとなる。
エストニアの場合、国が発行主体になるので、民間企業のICOよりも信頼が高いとして、多くの人が関心を持っているようだ。

もっとも、エストニアに限らず、国の場合は仮想通貨を使わなくても、本物の通貨を発行できる。
ユーロ諸国の場合、紙幣は欧州中央銀行が発行し、少額コインは各国が発行している。

ただし、紙幣の通貨発行益は欧州中央銀行に帰属する。
このため、紙幣による通貨発行益が直接各国財政を潤すわけでない。
しかも、通貨発行益はほとんど紙幣からもたらされる。
各国が少額コインの発行による通貨発行益をさらに大きくするためにも、仮想通貨を発行したほうが合理的なのだ。

つまり、筆者はエストニアが仮想通貨を発行したのは、コインを発行するより大きな発行益を受け取るためだろうと思っている。

このように、政府が発行益を受け取るために仮想通貨を発行するということは、今後他の国でも起こりうると考えられるのだ。

さて、日本はどうか。
2016年になって、資金決済法が改正され、仮想通貨の取引サービスが同法による規制の対象となった。

改正資金決済法においては仮想通貨とはなにかが定義され、仮想通貨の売買等を行う仮想通貨交換業者に対して登録制が導入されるとともに、利用者保護のためのルールに関する規定の整備がなされた。

もっとも、これらは最低限度の規制であり、今さら規制といっても場違いな感もあり、仮想通貨の取引に関する損益はすべては自己責任で貫徹すると考えたほうがすっきりしている。

さらに、重要なのは仮想通貨の仕組みや技術はまともであり、社会的な有用性は少なくないと筆者は思っているが、それを扱う人が信用できるかどうかは別問題である。

一方、政府による仮想通貨については、日本ではまだ誰も発言していない。

仮想通貨の発行までいかなくても、ブロックチェ-ン技術を土地などの登記制度に活用すれば、現在紙ベースで行っている登記事務が格段に低コストでできるようになる。

現在地方法務局には6000人程度の人員がおり、年間500億円程度の人件費を要しているが、ブロックチェーン技術を使えば、ほぼゼロのにおさめるくらいの画期的な行革が可能になるのだ。

政府の電子化はもっと推進する余地があるだろう。

by mnnoblog | 2017-09-28 08:34 | 経済

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