私のゆるゆる生活

mnnoblog.exblog.jp
ブログトップ

2017年 12月 09日 ( 1 )

未来図 描き直すとき

d0187477_16173841.jpg
  (日経新聞の画像と記事より)

日本の社会保障制度は近い将来、もたなくなる。

その予兆が今、医療や介護の現場で確実に表れているのに、私たちは「先送り」という言葉のもとに、見て見ぬふりをしてはいないだろうか。

給付と負担のゆがみ、医療費の無駄遣い、過度な公助への依存……。
未来に一番近いきょうこの日から、痛みを伴う改革や負担への議論を始めたい。

綻んだ安心網の未来図を描き直すために――。

日本の社会保障制度は中福祉・中負担が望ましい――。
1年前、取材班が連載を開始した際に実施したアンケートで半数の人がこう答えた。
「サービスなどの給付も、保険料などの負担も、共にほどほどに」ということだろう。

ところが取材を進めると、少ない負担で意識せずに湯水のごとく給付を受けている高齢者と、それを支えるために多額の負担をしている働き手がお金の使い道をチェックしていない実情が浮かんだ。

「公助・共助・自助」の線引きを選択するためにはこうした給付と負担のゆがみを知ることが必要だ。

「国民皆保険」は実は「1つ」の保険ではない。
大きく分けると、
(1)企業で働く人が中心の「被用者保険」、
(2)自営業が中心の「国民健康保険」(市町村国保)、
(3)75歳以上が加入する「後期高齢者保険」――の3つがある。

日本は労働者を対象とした(1)の被用者保険が誕生し、その後に国民皆保険を実現するため(2)の市町村国保ができ、さらに医療費を最も使う75歳以上を独立させた(3)の後期高齢者保険ができた。

こうした複雑な国民皆保険の仕組みは義務教育では教わらない。
知らないで利用している人が多いだろう。

問題は各保険で給付と負担のバランスが崩れていることだ。

働き手が中心の被用者保険の加入者は、
(1)大企業がつくる「健康保険組合」(組合健保)が約2900万人、(2)単独で健保を持たない企業が加入する「全国健康保険協会」(協会けんぽ)が約3600万人、
(3)公務員などが加入する「共済組合」が約900万人。
計約7400万人で人口の約6割を占める。

一方で現役世代が中心で平均年齢は30代のため、年間にかかる医療費は10兆2千億円と、国全体の医療費の4分の1にすぎない。

自営業が中心の市町村国保は加入者が約3300万人だが平均年齢は約50歳と高く、被用者保険の半分以下の人数なのに医療費はほぼ同額の約9兆9千億円。
特に65~74歳(前期高齢者)が多く、公費から3兆1千億円、被用者保険から計3兆4千億円の費用を負担している。

3つの保険で最も医療費を使っているのが、75歳以上が全員加入する後期高齢者保険だ。
約1600万人と最も少ないながら、年間の医療費は最多の15兆4千億円で、国の医療費の3分の1強を占める。
年金で暮らす人々が大半のため医療費の半分は公費、4割は被用者保険と国民健康保険が負担している。

後期高齢者保険は、運営している保険者が都道府県単位の「広域連合」という曖昧な存在だ。
ある広域連合の職員は「参加する都道府県、市町村は当事者意識が薄く、医療費の適正化に向けた動きは鈍い」と明かす。

「国民皆保険」はこうした複数の保険で給付と負担のバランスを保っている。
保険料だけでなく税金も投入しているため、収支がなかなか見えにくい。
「健康経営」を掲げて組合健保が医療費を節減しても、歯止めがかからない後期高齢者保険への拠出金で収支が悪化している。

こうした問題は保険料を支払っている私たちに深く関わる身近で深刻な問題だ。
ところが会社員は保険料は給料から天引きされており、「年間でいくら支払っているのか」を答えられる人は少ないのではないか。

自分たちが使う医療費も現在、どのような医療行為でいくら使ったか分かる明細書が発行されている。
ただどれくらい給付を受け、どれくらい少ない負担だったのか理解してチェックしている患者はどれくらいいるだろうか。

国の医療費は「兆・億円単位」で別世界のように感じるかもしれない。
でも一人ひとりの保険料や税金は「万・千円単位」と実感しやすいはずだ。
自分がどれくらいの保険料を負担し、どれくらいの給付を受けているのかを確認し、問題意識を持つことから、給付と負担のアンバランスを見直す一歩が始まる。

世界の皆保険の中でも最も優れているとされる日本の国民皆保険制度。
今後は高齢化と人口減少で保険料を支払う人が少なくなり、医療費を使う人が増える。
財源不足で破綻の危険もある。

皆保険を維持していくために何が必要なのか。

中央社会保険医療協議会(中医協)で中立的な立場を担う公益委員を今年3月まで務めた慶応義塾大学の印南一路教授は「皆保険の目的は命を守ること。命を救う医療に重点を置いていく必要がある」と話す。

印南教授は公的医療保障を6つに分類することを提案する。

(1)脳梗塞や肺炎など緊急かつ致命的な病気

(2)がんや肝硬変など緊急性はないが致命的な病気

(3)結核やウイルス疾患といった感染症

(4)認知症や統合失調症などの機能障害

(5)胃炎や湿疹、尿路結石などの苦痛緩和

(6)アルコール性疾患や脂肪肝などその他の病気だ。

このうち(1)と(2)は「救命医療」とし、残りは「自立医療」に区分。

救命医療は医療資源を充実させ、自立医療は財源や経済情勢次第で価格を下げる。

つまり自立医療の領域で全体の医療費の伸び率をコントロールしていくという考えだ。

財務省などによると湿布薬は年1500億円、保湿剤500億円、ビタミン剤1100億円、漢方薬800億円もかかっている。

いずれも増加傾向だ。

また接骨院や整骨院の「柔道整復師」には3800億円、マッサージは700億円、鍼灸(しんきゅう)は400億円に上る。

救命医療の観点からみれば優先順位は高くない。

最近は子どもの医療費を自己負担ゼロにする無料化政策も増えている。

印南教授は「コスト意識がなくなる。原則禁止すべきだ」と主張。そのうえで「柔道整復師など不正や乱用が目に余るものも多い。

保険から外すことも議論すべきだ」と訴える。


by mnnoblog | 2017-12-09 08:17 | 社会

のほほんと---


by mnnoblog