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2018年 01月 29日 ( 1 )

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  (現代ビジネスの記事より)

ウィリアム・J・ペリー。
クリントン政権で国防長官を務め、北朝鮮が国際原子力機関(IAEA)の核査察を拒否した際、北朝鮮の先制攻撃に対応する「作戦5027」の適用を提案した責任者であり、長官辞任後も北朝鮮の核実験を抑制するための交渉に当事者として関わった人物だ。

私が国防長官として核査察拒否問題への対処に苦慮していた当時、北朝鮮はまだプルトニウムの十分な抽出にすら成功していなかった。
しかしその後、北朝鮮は核施設を拡張し、核実験を成功させ、アメリカ本土に着弾可能なミサイルまで開発した。
さらに、固体燃料を使用したミサイルの発射実験にも成功し、より効果的な運用が可能になった。

いまの状況は明らかに危険であり、週を追うごとに深刻化していると思われる。
ただし、私が危険だと言っているのは、何も北朝鮮が突如核攻撃を仕掛けてくるということではない。

北朝鮮の指導者たちが常にリスクを計算してきたことは、歴史が物語っている。
韓国に対して法外な挑発行為をくり返し、自国民に情け容赦ない態度で臨むのは、まさにそういう(リスクが低いと判断しての)ことだ。

一部の人たちが考えているのと違って、北朝鮮の指導者たちは「狂っている」わけではない。
北朝鮮は「ならず者」国家であり、世界でもほとんど孤立しているが、それでも指導者たちの行動には確かなロジックがある。
その根本にあるのは、体制維持が何より最優先という約束だ。
要するに「金(キム)王朝」を存続させることである。
実際、彼らは万難を排してそれを実現してきた。

その点で、北朝鮮はアルカーイダやイスラム国(IS)とはまったく異なる。
北朝鮮の指導者たちは自爆攻撃はしないし、殉教することも求めない。
彼らが望むのは権力の座に居座ることなのである。
もし核ミサイルを発射すれば、国は破壊され、自分たちは殺される、すなわち金王朝が終焉を迎えることを、彼らはよくわかっている。

核兵器を開発したおかげで、金王朝はかろうじて権力を維持できるだろう。

北朝鮮は、核と言う切り札を持っていることで指導者が大胆になり、かつてないほどリスクの高い、自分たちの能力を超えた挑発行為に手を出しかねない。

言ってみれば、北朝鮮がうっかり大きな戦争--勝ち目のない戦争--に入り込む可能性を否定できないのである。

そして、金王朝が権力の座から排除されるという帰結がはっきりしたとき、彼らは死に物狂いの最後の一手として、核兵器を使うだろう。

私が恐れるのは、北朝鮮が自発的に始める戦争ではなく、そのように彼らがうっかり迷い込む戦争である。
それは(核を保有しているからこそ)北朝鮮に内在する危険と言っていいだろう。

我が国の外交は北朝鮮に核開発を断念させることに失敗し続けてきた。
そして、それを最重要の到達点とする限り、これからも失敗し続けるだろう。
しかし、核兵器が生み出す危険を減らすために、実行可能な外交の選択肢はほかにもあるはずだ。

北朝鮮がすでに使用可能な核兵器を保有している以上、私が外交当事者として交渉にあたっていた90年代以上に強力な外交パッケージを用意することなしには、核兵器の放棄を期待することはできない。

そしてそうした強力なパッケージを手に入れるためには、中国を交渉のパートナーとして迎えることが絶対不可欠だ。
なぜなら、食糧や燃料の支援を断たれる脅威のように、経済活動を妨げる外交パッケージを北朝鮮に突きつけるには中国の協力が必要だからである。

しかし、そうした類いの協力を中国から引き出すためには、金正恩体制そのものの崩壊を狙う行動には出ないこと、もし仮に体制が何らかの理由で崩壊したときでも、アメリカは部隊を中国に近づけないことを確約しなくてはならないだろう。

ただし、たとえこれほどの外交パッケージを用意できたとしても、我々が得られるのはせいぜい、核兵器と長距離弾道ミサイルのあらゆる実験を停止するための基本合意くらいかもしれない。

この合意は我々が数十年かけて追い求めてきたものとはまったく異なるが、それでも締結する価値はある。
我々が直面する目の前の危険を減らし、北朝鮮の核開発を後戻りさせる次なる合意の土台となるからだ。

北朝鮮は世界で最後のスターリン主義体制国家である。
しかしそれを承知で、北朝鮮との交渉当事者としての経験から私が得た教訓は我々がこうあってほしいと思うようにではなく、いまあるがままの北朝鮮に対処する必要がある」ということである。

by mnnoblog | 2018-01-29 08:58 | 国際

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