私のゆるゆる生活

mnnoblog.exblog.jp
ブログトップ

カテゴリ:テクノロジー( 109 )

d0187477_09042254.jpg
  (The Economist の記事より)

人間の顔というのは見事な作品だ。
驚異的なほど多様な顔立ちが存在するから、お互いに見分けがつくのであり、それにより複雑な社会が築き上げられている。
しかも顔は、感情を伝達することもできる。

人間は、起きている時間のほとんどを相手の顔を読み取ることに費やしている。
一方、自分の本心を偽ることにも多くの時間を費やしている。

顔の表情を読み取る能力では、今や機械が急速に人間に近づきつつある。
米アップルが12日に発表する新型「iPhone(アイフォーン)」は、顔認証でホーム画面のロックを解除できるという。

人間が顔を認識する能力に比べれば、こうした進歩は微々たるものに思えるかもしれない。
確かに有人飛行やインターネットといった画期的な発明の方が、人間の能力を劇的に変える。

人間の顔は個々人で異なるが、公開されているものなので、顔認証は一見、プライバシーを侵害するものとは感じられない。
だが、あまりコストをかけずに膨大な数の顔の画像を瞬時に記録し、保存し、分析できるようになれば、いずれプライバシーや公平性、信頼性などの概念を根本的に覆すことになる。

まずプライバシーの問題を考えよう。
顔認証が、指紋などの生体認証データと大きく違うのは、遠くからでも認識できる点だ。

携帯電話を持つ人なら誰でも、相手の写真を撮って顔認証プログラムに読み込ませられる。
ロシアの「ファインドフェイス」というアプリは、見知らぬ人の写真をSNS「VKontakte」に上がっている写真と比べ、70%の精度で本人を特定できるという。

米フェイスブック(FB)が持つ膨大な写真データは誰でもアクセスできるわけではないが、例えばFBは自動車のショールームを訪れた客の写真を入手し、顔認証で特定した本人のページにクルマの広告を流すこともできる。

民間企業が画像と身元を結び付けることができなくても、多くの場合、国家なら可能だ。

中国政府は、国民の顔写真のデータを保有しているし、米国では成人の半数の写真がデータベース化されており、米連邦捜査局(FBI)はこれらを利用することが許されている。

今や法執行機関は犯罪者を追うのに役立つ強力な武器を手にしているが、そのことは同時に市民のプライバシーに重大な危機が訪れていることを意味する。

顔は、単なる名札ではない。
名前以外にも膨大な情報を示しており、機械はそれらも読み取ることができる。

このことには利点もある。
例えば、アイドゥー・チェイニー症候群などのまれな遺伝的疾患を自動的に診断するために顔を分析している企業もある。
顔認証技術を使えば、通常よりもずっと早く疾患を見つけられるという。
また、人の感情を測定するシステムがあれば、自閉症の人にとって、認識しづらい社会的なシグナルが理解しやすくなるかもしれない。

だが、この技術は脅威にもなりうる。
米スタンフォード大学が実施した研究によると、同性愛者の男性と異性愛者の男性の写真を見せたところ、アルゴリズムは本人の性的指向を81%の精度で言い当てたが、人間の判断による場合は61%にとどまったという。
同性愛が犯罪とされる国で、ソフトウエアで性的指向を顔から推測できるとなれば重大な問題をはらむ。

そこまで乱暴な形でなくても、差別が日常化する可能性はある。
現在、既に雇用主が偏見に基づき採用を却下することはありえる。

だが顔認証があれば、そういった偏見が当たり前になり、企業はすべての応募者を人種だけでなく、顔に表れている知性や性的指向の兆候によってふるいにかけるようになるかもしれない。

しかも、そういった顔認証システムは、白人以外に対してマイナスに働きがちになる可能性がある。
というのも、白人の顔を中心とするデータで学習させられたアルゴリズムは、他の人種についてはうまく機能しないからだ。

人々の顔の映像が常に記録され、コンピューターによってそれらを活用したデータ分析が進み、実世界の生活に反映されるようになると、人間関係というものが本質的に変わってしまうかもしれない。

人間は、お互い相手の本当に考えていることを知ることができないからこそ、円滑に日常生活を送れているともいえる。
結婚生活や職場の人間関係は、裏表が一切ないものになるかもしれないが、円満ではなくなるだろう。

しかも、人間関係は信頼に基づく約束の上に築かれたものではなくなってしまう。
そして、コンピューターが顔写真に結び付けた情報からはじき出したリスクと報酬の見積もりに基づいたものに変わるかもしれない。
その場合、人間関係は合理的判断に基づくものになる一方で、何事もビジネスのようにプラスとマイナで判断するようになってしまうだろう。

少なくとも民主主義国家では、法律によって顔認証システムの利点と欠点のバランスを修正することはできる。
米グーグルは、非民主的な国家に悪用される恐れがあるとして、顔認証技術の利用には慎重な姿勢を示している。

各国政府も顔認証のメリットを手放したくはないだろう。
従って早晩、変化が訪れるのは必至だ。
この問題には正面から立ち向かうしかない。

by mnnoblog | 2017-09-23 08:48 | テクノロジー
d0187477_09253074.jpg
  (AFP BB news の画像と記事より)

「ナイキ(NIKE)」は、自動で靴紐が結べる新シューズ「ナイキ ハイパーアダプト 1.0」を日本では9月23日から発売する。

新たに登場する「ナイキ ハイパーアダプト 1.0」は、同ブランドの最新フットウエア技術である“アダプティブ・レーシング”を採用した、初めてのフットウエア。

従来のフィット感に疑問を投げかけ、それぞれ人によって異なるシューレースの締め具合に応じる一足として開発された。
足を入れると踵がセンサーにあたり、システムが稼働して紐が締まる。
シューズの側面には2つのボタンが配置されており、紐をきつくしたり緩くするなど、締め具合を自分の好みに調整することができる。

「ナイキ」のデザイナーであるティンカー・ハットフィールドは、
「試合中にも足は大きなストレスにさらされるので、シューレースの微調整はとても大事なこと。
アスリートがリアルタイムで体が必要とすることを、シューズが感じ取れるようになるのはとても素晴らしいことだ。
これによって、メンタル面での消耗を含む、集中力を落とす様々な要素を取り除くことができ、パフォーマンスの向上に役立つはずだ」と述べている。

by mnnoblog | 2017-09-12 08:25 | テクノロジー
d0187477_12133596.jpg
  (NEWSWEEKの画像と記事より)

新華社は10日、中国の量子通信衛星が地上に暗号を送信する実験を行い、傍受不能とされる宇宙・地上間の量子鍵配送技術が初めて実現したと伝えた。

宇宙開発を積極的に進める中国は昨年8月、この量子通信衛星を打ち上げた。

新華社によると、今回の通信実験の成果は10日発行の科学誌「ネイチャー」に掲載された。
専門家は実験を「画期的」と評価している。

新華社によると、中国科学院の科学者でこの実験を主導するPan Jianwei氏は、新技術は「絶対的に安全な通話や銀行データの大量送信などの需要に対応できる」と語った。

量子通信は傍受の検知が可能で、傍受された場合でも鍵が変更され、傍受された情報は自動消滅するという。

by mnnoblog | 2017-08-20 08:13 | テクノロジー
d0187477_16511601.jpg
  (NewSphereの画像と記事より)

人工知能によって市場に巨大な商機が訪れ、多額の金が生み出される。
この市場価値の規模は2025年には368億米ドルに達するとの見方もある。

この金の一部は間違いなく病気の治癒などの社会的利益につながるだろう。
また一部の金は、財産分配、都市計画、スマートシティなどの手に負えない社会問題への理解を深め、それらすべてをもっと「効率的な」方法で実践できるように使われるはずだ。

人工知能がもたらす直接的な利益は、戦略的なビジネスの観点からは明らかかもしれないが、長期的な影響は明らかではない。
未来は予測不能であり、複雑なテクノロジーは制御が難しく、人間の価値感はコンピューターコードと協調するのは難しい

人工知能産業がどのように形成されているかについて構造的な問題があり、行われている活動には深刻な非対称性がある。

現時点では、この最新の技術的な人工知能の「地球化」の波を補うために必要となる十分な時間、現金、知力、そして強力な管理インフラストラクチャの構築への専念が足りない。

法律、政策、管理の面を良く考え、実行する必要があることを考えている人々はいる。
我々は、新しく、エキサイティングでパワフルなテクノロジーを構築することには長けているが、それを管理することは得意ではない。
昨今、我々が創り出すものとそれを制御できる範囲との間のギャップが一層広がり、深くなっている

安全で有益な人工知能を確保しよう。
技術的研究は、公的および私的な両面からの法律および政策研究と歩調を合わせて協力し合う必要がある。
巨大な力には巨大な責任の共有が伴う。

我々が社会全体で人工知能の恩恵を確認し、社会に適合させようとするならば、我々は、英国、ヨーロッパ、その他の国で政府主導の強力な研究インフラストラクチャを構築し、人工知能やその他の「テクノロジー」が抱える課題について英知を結集し、正面から取り組む必要がある。
また、法的機関および政治的機関が明日の課題に対応するためにどう対応する必要があるかについて真剣に検討しなければならない。

人工知能はこれまでにない種類の猛獣だ。
我々はこれまでのような管理を行うことはできない。
つまり、最新で最高の「テクノロジー」が出現するのを待ったその後で、躍起になってそれを抑制しようとする、いつもの管理方法はもはや通用しない。

我々の機関や制度を21世紀に適応させるためには、これまではどのように適応してきたのか、明日の課題に向き合うために今日何ができるのか、を理解しなければならない。
そしてこれらの変化は確たる証拠を前提としなければならない。

人工知能は、機械にとって代わるものであるといった宿命論的な自負、哲学的な軽蔑、そして私利私欲のいずれでもない前提が必要だ。

人工知能の管理と規制は国家的な問題ではなく、全世界的な問題だ。
利益を生み出さないのに問題を解決しようという善意のもと、我々が実施するべき適切なテクノロジーの応用方法を理解している献身的な人々の手に、人工知能研究の技術的側面に注ぎ込まれているまだ見ぬ将来の運命を託し始める必要がある。

我々が冒すリスクは、人工知能研究が新しい世界的な軍備拡張競争を引き起こすことだ。

しかし、これまでのところ、本来、技術面を補うべき堅固な法律、政策、社会科学的基盤を構築するのに役立つ方法で使われようとする望ましい意図はいまだ明らかではない。
この不均衡が続く限りは、警戒しなければならない。
そう。厳重に警戒しなければならないのだ。

by mnnoblog | 2017-08-12 08:50 | テクノロジー
d0187477_16224733.jpg
(NEWSWEEKの画像と記事より)

AI時代の到来で職を失いつつあるのは工場労働者やトラック運転手だけではない。
それ以上に差し迫った危機に直面しているのはウォール街のトレーダーやファンドマネジャーだ。

強欲な連中が没落するなら、AI大歓迎だと言う向きもいるだろう。

市場予測の精度でも取引実績でも、AIは人間より優秀だ。
当然、証券大手やヘッジファンドはこぞってAI化を進めている。
導入は数年前からじわじわ進んできたが、ここに来て一気に加速したと、テクノロジー専門家のマーク・ミネビッチは指摘する。

「(AI革命は)ウォール街の魂を直撃し、ニューヨークの街全体を変えるだろう」

調査会社ユーリカヘッジによると、AIを導入した23社のヘッジファンドは軒並み運用実績が高いという。
「意識的にせよ無意識にせよ、人間が持つ偏見や感情」が投資判断を曇らせると、アップルの音声アシスタント機能Siri(シリ)の開発に携わったババク・ホジャットは言う。

アメリカの上位12社の投資銀行のセールス、トレーディング、調査部門の人員の年収は平均50万ドル。
年収数百万ドルのトレーダーも珍しくない。
年収100万ドルとすれば、時給は大体500ドルだ。
ファストフードチェーンが時給8ドルの従業員の代わりにロボットを導入するなら、投資銀行がAIを導入したくなるのも無理はない。

いい例がゴールドマン・サックスだ。
00年にニューヨーク本社の現物株式取引部門に配属されていたトレーダーは600人だったが、今ではわずか2人。
しかもAIの導入が進むのはこれからだ。
「10年後にはゴールドマン・サックスは人員数で今よりずっと小さな会社になっているだろう」と、市況分析ツール開発会社ケンショーのダニエル・ナドラーCEOは言う。

トレーダーの没落を「いい気味だ」とせせら笑うわけにはいかない。
とばっちりは広範囲に及ぶ。
例えばニューヨーク市内や近郊の高級住宅の買い手は減るだろうし、高級ブランドのスーツや超高級食材も売れなくなる。

それでもミネビッチは金融界のAI化は全体としてプラスになると言う。
これまで長年ウォール街に優秀な人材が集中し過ぎていた。
アメリカの名門ビジネススクール10校の卒業生の3人に1人が金融業界に入る。
医療業界に就職するのはわずか5%。
エネルギーと製造業に入る卒業生はさらに少ない。

金融業界に集中していた優秀な頭脳が別の分野で生かされたら、社会全体が恩恵を受けるだろう。
特に慢性的な技術者不足に悩むIT業界にとって、金融業界の頭脳流出は渡りに船だ。
金融業界からリストラされた人材がニューヨークに残るなら、「ニューヨークはシリコンバレーに匹敵するITの中心地になる」と、ミネビッチは言う。

若き数学の天才たちが金融工学のプロとして不要になれば、温暖化対策や医療の分野でその頭脳を生かすだろう。
サイバーセキュリティーの分野でも活躍できそうだ。
国家安全保障局(NSA)のウェブサイトには国家機密をサイバー攻撃から守る「数学者を積極的に探している」との告示がある。

NSAが数学者に払う給与は年間10万ドル前後。
ヘッジファンド時代に比べたら、生活はぐっと質素にならざるを得ない。
だが、少なくともトレーダーや金融工学のプロには転職先がある。
その点ではAIに職を奪われる多くの労働者よりも恵まれている。

AIのファンド運用にはもう1つメリットがある。
既にAI化を終えたヘッジファンド、アイデア社の主任科学者ベン・ゲーツェルは「私たちが全員死んでも、AIは取引を続ける」と言っている。
たとえ核戦争が起きても、生き残った人たちは年金ファンドの高利回りを享受できるというわけだ。

by mnnoblog | 2017-08-10 08:22 | テクノロジー
d0187477_16033114.jpg
  (GIZMODOの画像と記事より)

品川プリンスホテルにデリバリーロボット「Relay(リレイ)」が導入されます。

ルームサービスの電話を受けたら、ロビーにいるRelayはホテルマンから荷物を受け取って発進。
自動的にエレベーターに乗り、障害物や人を回避しながらお客さんの部屋まで移動する。

プライベートで訪れているから人間のスタッフとは顔を合わせたくないというおシャイな人も、「Relay」がおもてなしをしてくれるならOKじゃないでしょうか。

彼が働き始めるのは2017年10月上旬から。
品川プリンスホテルはいくつかタワーがありますが、普段はNタワーのロビーでルームサービスのオーダーを待ち受けるみたいです。

by mnnoblog | 2017-08-07 08:02 | テクノロジー
d0187477_16112660.jpg
  (ITmediaビジネスの画像と記事より)

カメラを用いて写真や動画を撮影する光学衛星とは違い、夜間も悪天候も関係なしに観測可能な小型レーダー衛星の開発が日本で行われて、世界から注目されている。

近年、小型衛星ビジネスをリードしてきたのはカメラを使った光学衛星だ。
光学衛星の特徴は鮮明な画像や動画が撮れる一方で、弱点としては夜間や悪天候時の撮影ができないことだ。

レーダー衛星の基本的原理は、衛星に搭載したアンテナから電波を発射し、観測する対象物に当たって反射した電波を観測する。

反射した電波の強さから対象物の大きさや表面の性質、電波が戻ってくるまでの時間で対象物までの距離などを測定することが可能だ。
光学衛星が苦手とする夜間や悪天候でも関係なく観測できる強みがある。

しかしながら、電波の送受信に大量の電力消費と大きなアンテナを要するため、小型化に向いてなかった。
ところが、近年は小型化技術においてブレイクスルーが始まっている。
そして、世界も注目する小型レーダー衛星の開発プロジェクトが2つも日本で行われているのだ。

小型レーダー衛星の開発に取り組むベンチャー企業が、九州に本社を構えるQPS研究所だ。
同社が目指すのは分解能1メートル、100キログラム以下、1機当たり10億円以下 の小型レーダー衛星であり、その実現の核となるのが千葉大学とともに開発した独自の大きくて軽いアンテナ技術だ。

今後は最初の1機を18年から19年に打ち上げ、「その後23年までに4機体制を構築して世界のほぼどこでも平均1.5時間で観測できる体制を目指す。将来的には36機の衛星を打ち上げて平均10分で撮影を可能にする衛星コンステレーションを目指す」とQPS研究所の大西氏は目標を語る。

力を入れているのはベンチャー企業だけではない。内閣府の科学技術政策である革新的研究開発推進プログラム(通称:ImPACT)でも小型レーダー衛星の開発が着実に進んでいる。

このように、世界に先駆けて小型レーダー衛星の開発が進む日本だが、近年は欧米でも動きがある。
フィンランドに拠点を置くICEYE、米国のCapella Spaceなども小型レーダー衛星の開発に取り組んでおり、資金調達を進めているという報道が流れる。

技術の優位性を、いかにして事業の優位性につなげていくか、そして衛星インフラ構築とともに、データ解析をどのように進めていくか、日本の取り組みに期待したい。

by mnnoblog | 2017-08-01 08:10 | テクノロジー
d0187477_10295063.jpg
  (日経新聞の画像と記事より)

新技術の登場が従来の産業構造を一変させる破壊的イノベーションが素材の世界でも起きつつある。

金属や樹脂、繊維など様々な素材の潜在力を引き出し、組み合わせることで、常識破りの機能を獲得した新素材が次々と誕生。
量産化への扉を開けようとしている。
ものづくりのあり方すら変えてしまう可能性を秘めた「マテリアルX」の最前線を追う。

「ISO19095」。
金属と樹脂を組み合わせた複合材の強度に関する国際標準を生み出した中小企業が東京・日本橋にある。
社員わずか40人ほどの大成プラス(東京・中央、大隅光悟朗社長)だ。
創業から30年あまり。
異なる素材同士をくっつける「接合」の分野では大企業も及ばない高度な技術を持つ。

「口で説明するよりも、やって見せるのが一番早いからね」。
創業者の成富正徳会長が差し出したのは1枚の薄いアルミ板。
その端から2センチメートルほどの黒い樹脂が突きだしている。

あいさつ代わりとばかりに、右手に持ったハンマーを黒い樹脂に向かって力いっぱいに振り下ろした。
ガン、ガン、ガン――。6度の衝撃音が鳴り、プレートはグニャリと折れ曲がった。
衝撃を直撃したはずの樹脂は、何事もなかったようにくっついている。

相いれない素材同士を結びつける魔法の正体は、特殊溶液で金属表面に開けたナノ(ナノは10億分の1)メートルサイズの穴だ。
アリの巣のような複雑な形状で、ここに溶けた樹脂が流れ込むことで金属と一体化する。
「2つの素材がくっつくと、まったく新しい素材になる」(成富会長)

金属と樹脂の組み合わせは自在。大ぶりなブロックとして接合すれば、それを母材に部品を削り出すことも可能だ。
スマートフォン(スマホ)の金属製の背面パネルに、電波を通す樹脂の帯を組み込むデザインには同社の技術が使われている。

普及に向けネックとなっていた強度を客観的に測る「ものさし」も手に入れた。
大成プラスは東ソー東レ三井化学と組み、国の制度を活用して2015年に国際標準化機構(ISO)から規格化をもぎとった。
複合材の強度を金属などと比較できる方法が確立したことで、応用の範囲は飛躍的に広がった。

「今までとは違ったデザインで勝負したい」。
トヨタ自動車が次世代のエコカー競争で勝ち抜くための戦略車として2月に発売した新型「プリウスPHV」。
バックドアの骨格を薄く細く仕上げ、ドライバーが後方を確認する窓部分の面積を10%広げる――。
アルミ材などの金属では強度が足りず実現できない。
そこでトヨタの開発陣が着目したのが三菱ケミカルの炭素繊維強化プラスチック(CFRP)だ。

三菱ケミカルで炭素繊維複合材料の技術開発を担当する山下雅氏は「トヨタがCFRPでしか作れない図面を描くなんて」と変化に驚く。
「いままでは金属部材の図面を持ってきては『樹脂で作れませんか』という相談ばかりだった」からだ。

トヨタの量産車にCFRPが採用されるのは初めて。
ただ、悲願達成への道のりは険しかった。 
「生産性を2.5倍に引き上げてほしい」――。
トヨタからのお題は、従来は5分かけていたCFRPの成型時間を2分に短縮するという難問。
豊橋研究所(愛知県豊橋市)の鍋島泰彦主席研究員は「早く固めるだけなら簡単だが、成型が難しくなる」と解説する。
スピードを優先すれば金型の中で目詰まりしやすくなるためだ。

シート状のCFRPを金型に押し込んで成型する「SMC(シート・モールディング・コンパウンド)」は25ミリメートル程度に刻んだ短い炭素繊維を樹脂に浸して作る。
三菱ケミカルは繊維を浸す樹脂や添加剤を改良。
炭素繊維を満遍なく均一に分散させ、物性のバラツキを減らした。
成型設備の設計も含め、2年半かけて固まりやすさと成型しやすさのバランスを狙ったポイントに引き寄せた。

さらに上を行く新素材開発も進行中だ。
切り刻んだ炭素繊維を樹脂で固めるSMCは素早く成型できる一方、強度がやや弱い。
そこで、織り上げた炭素繊維を樹脂で固める高強度のSMCで片面を補強、短繊維のSMCを金型に押し込む新しい成型法を開発した。

成型品に向いた短繊維SMCと、硬さ自慢の長繊維SMCのいいとこ取り。
「これから評価してもらう段階」(鍋島氏)だが、シャシーなどこれまで金属優位を崩せなかった車の安全に直結する構造材にも活躍の場が広がる可能性を秘める。

炭素繊維を巡っては米ボーイングなど航空機向けの炭素繊維が爆発的にヒットした東レが世界シェア40%強と圧倒的に先行する。
だが、ここにきて主戦場は軽量化を推し進める自動車向けになりつつある。
東レの後じんを拝してきた三菱ケミカルは、量産車向けで反転攻勢をかける。

植物由来の新素材「セルロースナノファイバー(CNF)」。
紙の原料となるパルプをナノメートル単位に細かく解きほぐした素材で、結晶1つあたりの強度は鉄の5倍で、重さは5分の1。
日本製紙王子ホールディングスなど製紙大手がフロントランナーだが、そこに挑戦状をたたきつけたのが電線製造の老舗、古河電気工業だ。

「単価を1キログラムあたり数百円に下げます」。
古河電工がコストの壁に風穴を開けたのがCNFに樹脂を混ぜた「CNF強化樹脂」。
鉄より軽く、強度も高いことから自動車の次世代素材として注目を浴びるが、従来の製造コストは1キロ数万円と「高すぎて採用にはほど遠い」(自動車メーカー)とされてきた。
製紙会社がコスト削減に苦心するなか、古河電工はお家芸の電線被覆の技術で常識をひっくり返す。

一般的なCNF強化樹脂は、まず原料パルプをナノ化してから樹脂に均一に分散させて作っている。
一方、電線被覆材は複数の樹脂を押出機に投入して回転させながら化学反応を起こして作る。
CNFにこの虎の子の技術を応用することで、製造コストを10分の1以下にそぎ落とした。

原料パルプと樹脂の中に、樹脂に反応する添加物を混ぜ、押出機内で化学反応を起こすと同時に樹脂を均一に分散する。
一般的な製造法ではパルプをナノ化して水と混ぜ、さらに樹脂と混ぜ合わせるために脱水するといった複数の工程が必要だが、古河電工の技術ならたった1つの工程だけで作り出せる。

電線の被覆材は何十年も雨や熱から電線を保護し続ける性能が求められ、海底ケーブルでは水深8000メートルの水圧に耐える強度が必要だ。
古河電工は長きにわたって樹脂材料の配合や加工の技術を磨いてきた。
「接着剤を使わずに金属と接合したい」という自動車メーカーの要望を受けたときも、長年蓄積した技術を使って樹脂性能を変更。
CNF強化樹脂を高温プレスするだけで金属と接合できるようした。

「CNFは高いというイメージを覆す」。
研究開発本部コア技術融合研究所の中島康雄主査の鼻息は荒い。
2024年の自動車への搭載を目指し、自動車大手と品質の検証を始める。

by mnnoblog | 2017-07-30 08:28 | テクノロジー
d0187477_10170653.jpg
  (GIZMODOの画像と記事より)

2021年までに、ブレークスルー来る?

昨今、人間の脳とコンピュータをつなごうとする動きがあちこちで起こっています。
そんな技術が実現すれば、ゆくゆくは言葉なしで他人の思考を読み取ったり、クラウドにある人工知能の能力を自分のものにしたりが可能になるとされています。

そして先日、米国国防高等研究計画局(DARPA)が、目が見えないなどの感覚障害の治療のため、脳とコンピュータをつなぐ神経インプラントの開発に6500万ドル(約74億円)投じることを発表しました。

この計画では6つの研究チームに資金提供していて、そのうちふたつはLEDを使って視覚を回復することを目指しています。
また別のチームでは、塩粒ほどのセンサーを使って脳の中での会話の処理を解読しようとしていたり、さらに別のチームではホログラフィック顕微鏡で神経活動を検知し、最終的には失われた視覚の代替となったり、義肢を動かすためのインターフェースとなったりすることを目指しています。

計画期間は4年間で、目標は脳とコンピュータの間でデータをやりとりできる、実際に動くプロトタイプを作ることです。

今回の投資計画(NESD)が目指しているのは、脳の信号を機械に理解できる0と1に変換し、脳に860億あるニューロンのうち100万個以上とやりとりできる技術を開発しようとしているのです。

そんな技術が本当にできれば、さまざまな治療に使えるだけでなく、視覚や聴覚、会話といった能力についての理解も大幅に深めることができ、引いてはテレパシーだって可能になるかもしれないのです。

ParadromicsのAngle氏は、このような技術によって誰もがお互いの心を読み合えるようになるわけではないと警告しました。
彼は今後20年経っても、肉体的・精神的疾患を持つ人に対してこうした技術をどう使えばよいか我々にはわからないままではないかと考えています。
ただもっと近い未来に関しては、盲目やまひといった、脳が体とコミュニケーションできないために起こる障害の克服に重点が置かれることでしょう。

「我々には、目の見えない人が見えるようになり、動けない人が再び歩けるようになる、そのための技術的道筋が具体的に信頼できる形で見えています。このことは有史以来人間の大望ですが、一気に進化するポイントは次の10年で来る、と私は考えています」

by mnnoblog | 2017-07-29 08:15 | テクノロジー
d0187477_06433468.jpg
  (Engadget 日本版 の記事より)

標高3776mを誇る日本最高峰の富士山。
山頂付近の気圧は海抜0mの6割程度しかないため、酸素の薄さに悩まされます。
一方で周囲に高い山のない独立峰でもあるため、登山中の見晴らしは格別。
風景の写真を登山中にSNSにアップロードする人も多いです。

そんな時にありがたいのが、富士山でも4G LTEで高速に通信できること。
ここ数年富士山に登ったことのある読者なら、登山道や山頂付近でほとんど圏外にならないことに驚いたのではないでしょうか。

富士山でスマホが繋がるワケ
標高4000mに迫る厳しい自然環境。
そして、世界文化遺産にも登録されている富士山は、景観条例に守られており、通常の携帯基地局を設置することは難しいといいます。

ではどうやって登山道や山頂をエリア化しているのか。
ソフトバンクの楠見氏は次のように語ります。

「去年までは、ふもとにある基地局から山頂に向けて電波を飛ばしたり、ふもとからの電波を増幅する『リピーター』という装置を使ってカバーしていました。しかし、山小屋では崖の方にいかないと圏外でしたし、お鉢まわりもカバーできていませんでした」

そこでソフトバンクは、今年、富士山の電波環境の抜本改善に乗り出します。

2017年夏の山開きに合わせ、山小屋や山頂に「基地局」を5か所設置(昨年は1か所)。
ふもとからの電波に頼っていた従来に比べて、通信品質の大幅な改善が見込めるといいます。

「基地局」までの光ファイバーをマイクロ波で代替。
これには「エントランス」という技術を活用します。
これは、光ファイバーケーブルの代替となるマイクロ波無線通信です。

通常、基地局を設置するのは、伝送路として光ファイバーケーブルが必要になります。
しかし、厳しい自然環境、そして景観条例に守られた富士山では、ケーブルの新たな敷設は難しいといいます。

そこでソフトバンクは今年、光ファイバーケーブルの代わりに5GHz帯/80GHz帯のマイクロ波を使う「エントランス」を活用。
もともとは離島などの基地局設置に使われていた技術ですが、今回はふもとから富士山の山頂付近に至る無線の伝送路を構築します。
それにより、山小屋や山頂付近に「基地局」を設置できるというわけです。

なお基地局を建てるといっても、富士山は景観条例に守られ鉄塔を建てられません。そこで、山頂にある既存の山小屋に「基地局」用のアンテナなどを設置することになります。

基地局が稼働した直後、富士山頂からTwitterに、15秒ほどの縦長動画をストレスなく投稿することができました。
「山頂なう」とストレスなく画像や動画を投稿できる裏に、こうした通信キャリアや施工業者の努力が隠れていることを実感できました。

by mnnoblog | 2017-07-23 08:42 | テクノロジー

のほほんと---


by mnnoblog