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カテゴリ:経済( 35 )

日米株価 格差の背景

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  (日経新聞”一目均衡”の記事より)

ダウ工業株30種平均が最高値の更新を続ける米国株式市場と、上値の重さが鮮明な東京株式市場。
両者の格差の背景には何があるのか。

トランプ大統領が掲げる米国第一主義の政策だけではない。
個別企業に目を向けると、既存の技術やビジネスモデルを破壊するほどのインパクトを持つ技術革新(イノベーション)の厚みの差が浮かび上がる。

米インテュイティブサージカルが開発した手術支援ロボット「ダヴィンチ」が世界の医療業界に旋風を巻き起こしている。
体に開けた小さな穴からアームを体内に入れ、医師が遠隔操作で腫瘍などを切り取る。
患者の負担は低く、同社によると2016年の手術実績は約75万件に達し、日本でも実績が増えている。

ロボット本体の導入費用を低く抑える代わりに、手術のたびに交換が必要な消耗品で稼ぐ「カミソリ型」の事業モデルを採用する。

唯一無二の技術と安定した現金収入が評価され、株価は連日で最高値を更新、過去10年で約7倍になった。
時価総額は288億ドル(約3兆3000億円)とファナック(約4兆6000億円)に迫りつつある。

アクサ・インベストメント・マネージャーズでロボット関連ファンドを運用するトム・ライリー氏は「医療機器は政府の認可が必要で、新規参入が難しい。
成長の確実性を考えると株価は割高ではない」と話す。

ニューヨークに上場するイスラエルのモービルアイも急成長企業の一つ。
同社の自動運転技術は日産自動車が昨年販売した新型「セレナ」に採用された。
圧倒的な画像処理技術で自動運転の台風の目となり、上場から2年半にして時価総額は約100億ドルに達した。

UBSは、産業用ロボットなどを含むオートメーション市場が16年の1560億ドルから2020年には2093億ドルに拡大すると予想する。
年率では7.6%の高成長だ。

日本でもファナックやキーエンス、安川電機などの株価は上昇が続く。
ただ産業用ロボットは誰もが注目する巨大市場だけに、中国が国策として企業を強力に支援するなど参入が増えている。
既存技術の改良だけでは日本企業の中長期的な利益率は低下しかねない。

かつてソニーや任天堂など日本企業は世界初の製品で世界をあっと驚かせ、投資家からも称賛を浴びた。
世界中でブームを引き起こしたこうした技術革新は、日本から絶えて久しい。

ライリー氏は企業がイノベーションを生み出す条件として「多額の研究開発投資に耐える強固な財務基盤と長期視点の株主の存在」を挙げる。
日本企業は株主から批判されるほど現金をため込む。外国人株主は増えたが取引先銀行など「もの言わぬ株主」も多い。

日本企業にはイノベーションを生み出す条件も経験も整っている。
株式投資家は経営者が果敢にリスクに挑み、果実を手に取ることを渇望している。
そうすれば米株に出遅れる日本株の評価も変わるはずだ。


by mnnoblog | 2017-03-11 08:17 | 経済
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  (読売新聞の記事より)

東京都町田市の石阪丈一市長は17日、新年度予算案発表の記者会見で、ふるさと納税による住民税などの控除額から市への寄付額を差し引くと、新年度は約4億円の赤字になるとの見通しを示した。

「制度的にひずみがあり、(国には)修正するかやめてしまうぐらいのことをやってほしい」と訴えた。

石阪市長によると、今年度ふるさと納税による控除額は2億9000万円、寄付額は4000万円となり、2億5000万円の赤字となる。

新年度はさらに控除額が増え、4億6000万円と見込まれるが、寄付額は6000万円にとどまる見通しで、4億円の赤字になる。

ふるさと納税を巡っては、高額な特産品の贈呈など「返礼品競争」の過熱が問題となっている。
町田市は「競争に巻き込まれない」との方針から返礼品は過剰にならない範囲に限定。
寄付を行う人が使い道を指定できるようにもしており、返礼品目当てだけにならないよう配慮している。

総務省は、ふるさと納税の寄付を集めようと過熱する返礼品に不適切な例があるとして、改善に乗り出す。

特産品と言い切れないものや転売しやすい品も多く、「地方創生の趣旨から外れている」との批判を招いているためだ。
今春にも対応策をまとめる方針だが、返礼品は自治体独自の取り組みのため、どこまで規制に実効性を持たせるかが問われそうだ。


by mnnoblog | 2017-02-23 08:31 | 経済
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 (日経新聞”大機小機”の記事より)

日本の名目国内総生産(GDP、四半期年率)は2016年7~9月期に537兆円と既往ピーク(1997年10~12月期の536兆円)を20年ぶりに上回った。
10~12月期は539兆円と拡大した。

物価動向を示すデフレーターも上昇している。
アベノミクスは開始から4年を経過し、どうやら春を迎えたようだ。

最終需要の動向で注目されるのは、個人消費全体としては前期比横ばいではあるものの、60%を占めるサービス支出が9四半期連続で増加している点だ。
原油価格急落や消費税率上げなどのマイナス要因はあったが、消費の基調は底堅い。

こうしたアベノミクスの成功は、政府・日銀が一体となった政策運営の結果といえよう。

具体的には、黒田東彦日銀総裁の主導による大胆かつ未曽有の大型金融緩和の継続、安倍晋三首相による大型予算や累次にわたる補正予算による公共投資増だ。
さらにトランプ大統領による米国経済の活性化期待、日米間の実質金利差拡大による円安とそれに伴う企業収益の増加、労働市場の改善による賃金上昇なども加わった。

アベノミクスやその最大の柱である大型金融緩和については、財政再建を放置した、出口戦略を明示しない、などの批判が繰り返されてきた。
だが最終需要や景気指標の好転という事実が示すように、アベノミクスは成功しつつある。

米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ前議長は、1930年代の世界恐慌によるデフレから脱却できた国に共通な点は「変動為替相場制」と「超金融緩和」、すなわち貨幣の急増による為替の減価だと大著「大恐慌論」で明言した。
アベノミクスはこの理論を実践した最高のモデルだ。

景気先行指標は今年1月まで5カ月連続で上昇した。
米国やインドなどを中心とした海外景気の好転、原油価格の上昇、企業収益の好転や賃金上昇を主因とした国内最終需要の改善、人々の期待形成のフォワードルッキング(先取り)への変化などを背景に、2%の物価上昇目標は「18年度ごろ」とした日銀見通しより早く達成される可能性が出てきている。

重要なのは政府・日銀に対し代案のない批判を繰り返すのではなく、虚心坦懐(たんかい)に事実を見て、現状を素直に認めることだろう。


by mnnoblog | 2017-02-19 08:52 | 経済
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  (ZUU online の画像と記事より)

米決済情報サイト「Payment.com」などの最新レポートから、昨年のIoT(モノのインターネット)市場が7億3700億ドル(約41兆7667億円)まで急成長を遂げると予想されていたこと、子どものいる世帯の7割がなんらかのIoTデバイスを所有していることなどが判明した。

IoTが人々の日常生活に浸透し始めた近年、消費市場が活性化しただけではなく企業によるIoT投資も急激に勢いを増している。

日常生活を取り囲む様々なモノをインターネットで接続することで、モノがまるで生き物のように呟き始めるというコンセプトから生まれたIoT。
テレビ、オーディオ、PC、スマホといったデジタルデバイスから冷蔵庫、洗濯機などの電化製品、さらには自動車やバイクに代表される乗り物まで、インターネットをとおして相互接続させることが可能な時代になった。

最新の調査結果によると、米国では1200人中97%がIoTの存在を認識しており、62%が実際にIoTデバイスを利用している(2016年データ:IAB)。
最も人気のあるIoTデバイスはスマートTV(所有率47%)、ヘルスケア・ウェアラブル(44%)、自宅の環境を管理できるデバイス(17%)と、日常的に利用しやすい点がポイントのようだ。

家族ぐるみでIoTを生活に取りいれる世帯も増え、1400人世帯中71%がIoTを自宅で利用しているほか、37%が今後2カ月以内に2台目(あるいはそれ以上)の追加購入を予定していると回答(2016年データ:メディアポスト)。

市場調査会社、インターナショナル・データ・コーポレーション(IDC)はIoT市場の年平均成長率(CAGR)が、2015年から2020年にかけて15.6%の伸びを記録し、最終的には1兆2900億ドル(約145兆3443億円)に達すると見こんでいる。

それにともないIoT投資も順調に拡大し、特に自動車IoTへの投資がほかのセクターに類を見ないほどの急成長を遂げることが予測される。
こうした傾向は欧米だけではなくアジア地域でも強く見られ、今年テクノロジー系起業家の38%がスタートアップの設立を予定している(2017年データ:MIS)。

しかしIBMの調査などからは「80%のIoTデバイスにセキュリティー対策の脆弱性が見られる」と報告されており、IoT市場における今後の重要課題となりそうだ。


by mnnoblog | 2017-02-18 08:32 | 経済
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  (Business Journal の画像と記事より)

釜山の日本国総領事館前に慰安婦をモチーフにした少女像が設置されたことで、日本は通貨スワップ協定の協議再開を中断したが、過去に韓国は日本とのスワップ協定を拒否するような姿勢を示しており、代わりに中国とスワップ協定を結ぶことで補完していた。

通貨の価値を考えたとき、自国の通貨だけでは信用性を担保することができないため、海外の通貨と交換(スワップ)できるという協定が裏付けとなるわけだ。

しかし、韓国が各国と結んだスワップ協定は3月から順次終了し、10月には中国との協定も終了する。
そのため、今後、ウォンは信用の裏付けとなるものを完全に失うことになる。

だからこそ、韓国の財界はなんとしても日本とのスワップ協定を再開したい。そうしないと、ウォンが暴落する可能性があるからだ。

ただでさえ、サムスン電子や現代自動車など財閥企業の落ち込みが激しく、韓国経済は崩壊寸前になっている。
仮に日本とのスワップ協定が完全に中止になれば、その状況はさらに悪化する可能性が高い。
だからこそ、韓国は協議再開に必死になっているわけだ。

また、日本は日韓ハイレベル経済協議の延期も決めている。
スワップ協定ばかり注目されているが、実は同協議も非常に大きな影響力を持つものだ。

アジアの債券市場を見たとき、「アジア債券市場育成イニシアティブ」(ABMI)を通じて、日本が信用を担保して新興国や低信用国の債券発行を支えているという構図になっている。
そのため、日韓の経済関係の悪化は韓国の債券発行にも大きな影響を与えるのだ。

また、韓国の特殊銀行(中小企業銀行、韓国産業銀行、韓国輸出入銀行)などは、落ち込みの激しい造船企業や船舶企業への貸し付けが大きすぎて、いつ信用不安が生じてもおかしくない状態にある。

これを支えているのが日本の銀行であり、円建て融資や融資枠を設定することで保証になっているのだ。

日韓関係が悪化すれば、日本の銀行の持つウォン建ておよび韓国向け債券のリスクが高まるため、それらのリスク区分を上げる必要が出てくる。

これは、金融庁の指導ひとつで決まるわけで、そうなれば、日本の銀行はこれらの貸し渋りや貸しはがしを行うことになるだろう。

すると、韓国は外貨不足が深刻化するだけでなく、モノの輸入に必要な信用状を受け取ってもらえないというケースも出てくると思われる。
日本としては、このカードをちらつかせるだけでいいのである。

慰安婦問題、スワップ協定およびハイレベル経済協議に加え、高高度防衛ミサイル(THAAD)も日米の交渉のカードになる。
米韓は韓国にTHAADを配備することで合意しているが、これに対して中国は強く反発してきた。

現在、韓国の最大の貿易相手国は中国であり、中国の機嫌を損ねれば韓国経済の悪化は免れない。
前述のように、10月には中韓のスワップ協定が切れるわけだが、このとき韓国にTHAADが導入されていれば、中国は同協定を延長することはないどころか、厳しい制裁をかけてくるだろう。

しかし、韓国がこのまま慰安婦問題を持ち出し続ければ、「日韓合意すら守れないのであれば、THAAD配備も信用できない」とアメリカが判断する可能性もある。

そうなると、日韓のスワップ協定も中止となり、韓国の経済崩壊はさらに進むことになるだろう。
逆にいえば、韓国は慰安婦問題を引っ込めてTHAAD配備も守る姿勢を見せることで、日韓のスワップ協定を得ることができるわけだ。

つまり、「慰安婦問題」「スワップ協定およびハイレベル経済協議」「THAAD」の3つはセットになっており、そのため、韓国は「日米を選ぶか、中国を選ぶか」という究極の選択を迫られることになる。
しかし、どちらを選んでも、韓国にとっては地獄が待っているのだ。


by mnnoblog | 2017-02-08 08:36 | 経済
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  (日経新聞の記事より)

日本の貿易構造が転換点を迎えている。

特許など知的財産の使用料(発明の対価)として日本が得る金額は、直近2年はともに2兆円を超え、リーマン・ショック以前の約3倍になった。

対照的に、自動車や電機、素材のような製造業を中心とするモノの貿易(貿易収支)は振るわない。
足元では原油安で輸入額が減少して改善傾向にあるが、年間10兆円を超えていたかつての勢いはない。
例えば日本の自動車メーカーは、海外で製品を生産・販売して、現地の子会社からの発明の対価や配当を受け取るモデルへと構造転換を進めている。

国際特許の出願数やその使用料収入では、日本は米国に次ぐ規模を誇る。

投資対効果はどうか。
1億ドルの研究費が生む国際特許の出願数は、日本は約23件と世界でトップ。
しかし、研究投資がどれだけの特許使用料収入を生むかの比率をみると、オランダやイスラエルに大きく差を付けられており、日本の発明力は「質より量」の傾向がある。
この投資対効果で首位のオランダは、医薬品やIT(情報技術)関連など付加価値の高い分野で効率的に稼いでいるようだ。

それでは主な産業分野の状況はどうか。

日本は主力の自動車・電子機器などには多額の投資をし、一定の市場シェアがある。
一方でハイテク分野の医薬品は研究投資額が多い割にはシェアが低い。
一方、ドイツの医薬品や航空宇宙分野のように、少ない投資で高いシェアを獲得する国もある。
日本でもハイテク分野の投資効率を高めれば、特許使用料などの対価収入が高まる可能性がある。

各国の研究費は誰が負担しているのか。

日本の場合、全体の8割弱を企業が負担している。
米国は「小さな政府」という印象が強いが、政府の負担率を見ると日本より10ポイント以上高い。
米国では研究分野ごとに政府が「率先して進めるテーマ」を発表し、国として研究の方向性を示して不要な投資を避けている。
中国は日本と似た構造にも見えるが、国有企業を多く抱える性質上、見かけ以上に政府の関与は強いとみられる。
日本の場合、極端に少ない海外からの投資資金をどう増やすかも課題だ。

日本の研究開発の環境に目を向けると、人口1万人当たりの研究者数は先進国の中で韓国に次いで2位。
研究者1人当たりの研究費も約27万ドルと高水準だ。
数字の上では恵まれた環境で、こうした土壌を「知財で稼ぐモデル」に生かす知恵も求められる。


by mnnoblog | 2017-01-13 08:48 | 経済

魚は頭から腐る

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  (日経新聞”大機小機”の記事より)

魚は頭から腐るというが、排外主義を公言してきたドナルド・トランプ氏を次期大統領に選んだ米国はまさにそれに当たる。

トランプ発の保護主義の連鎖は世界経済危機を招きかねない。
自国第一主義の強権政治が世界にはびこれば、大恐慌後の1930年代を連想せざるをえなくなる。

当選後のトランプ氏は選挙中の差別的な発言を控え政策姿勢を柔軟にしているというが、甘い考えは捨てるべきだ。
排外主義の本質は簡単には変わらない。

貿易や投資を勝ち負けでしかとらえない経済感覚が排外主義を生んでいる。
この考えを転換しない限り、世界経済は危険にさらされる。

もし北米自由貿易協定を見直すことになれば、メキシコ経済に大打撃を与えるだけでなく、日本を含めメキシコと自由貿易協定を結ぶ世界中の国との生産ネットワークを分断する。
これは英国の欧州連合(EU)離脱交渉で自由に市場アクセスができないハードな離脱になるのと似ている。

トランプ氏は環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱を鮮明にしているが、この地域から得られる成長の果実を自ら放棄するようなものだ。
米国が孤立主義に陥れば、米国民の生活水準を切り下げることになるだろう。

それどころか、格差はさらに拡大しかねない。
トランプ氏は金融規制を緩和するとともに、財務長官、商務長官という経済閣僚にウォール街出身者を起用することにした。
所得格差が拡大したのは、グローバリズムのせいではなく、肥大化する金融経済と低成長の実物経済との落差が広がったためである。
保護主義で実物経済を抑制し、金融資本主義を刺激すれば格差はさらに広がる。

問題は混迷する世界にあって、ポピュリズム(大衆迎合主義)を背景に、自国本位の強権政治が広がっていることだ。
ロシアのプーチン政権、中国の習近平政権、トルコのエルドアン政権は典型で、英EU離脱決定と連鎖してEU内にも極右勢力が台頭している。

世界中に「頭から腐る」現象が広がるなかで、安倍晋三首相の役割は重要だ。
TPPと東アジア地域包括的経済連携を結合するとともに、EUとの経済連携協定の合意を急ぐことだ。
トランプ氏に排外主義を改めるよう説得することこそ責務である。


by mnnoblog | 2016-12-09 08:52 | 経済

日銀から政府へ

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  (日経新聞”十字路”の記事より)

日銀は黒田東彦総裁のもと未曽有の大規模緩和を実施してきた。

総裁の強い信念を理解する上で、2005年刊の自著「財政金融政策の成功と失敗」が有用だ。
同書は、長引くデフレは日銀の緩和不足だけでなく内外の様々な事象に起因すると認めた上で、デフレの「原因」と「責任」の区別を説く。

「日銀は日銀法により物価安定義務があるから、いかなる原因でデフレが起こっているにせよ、(中略)責任があるのだ」と。

同時に石油危機によるインフレを例に、物価変動が偶発的で「期待可能性」がない場合は中央銀行に責任がないが、本来一過性の物価変動を中期的なものにしてしまえば、責任を問われるとする。

極めて明快だ。この規範的思想が異次元緩和の根底に流れる。

日銀は9月、3年半に及ぶ大規模な緩和政策を総括した。
公表された検証内容は客観的で評価できる。
ただし、物価目標の未達要因として挙げられた原油価格の下落については、同書の文脈に照らすと、中期的なインフレ見通しの低下を許したともとれる。
14年の消費増税も要因とされているが、これには期待可能性がなかったとはいえまい。

では、日銀はどのように責任を果たすのか。
その答えが見えつつある。

総裁・副総裁の最近の発言からは、政府の成長戦略への期待がにじむ。
今般導入された長期金利をコントロールする金融政策の枠組みは、財政拡大を促すようにも見える。
黒田日銀はその責任を全うすべく大胆な政策を遂行してきた。
だからこそ、より説得力を持って政府に働きかけることができる。

バトンは政府に渡された。
幸いにも安倍政権は他国の指導者が羨むほど安定している。
労働市場の流動化など短期的には痛みを伴う大胆な改革が急務だ。
物価安定は金融政策だけでは達成できない。
日銀の責任は政府の施策があってこそ果たし得る。


by mnnoblog | 2016-11-18 08:38 | 経済
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  (東洋経済 online の記事より)

日銀は9月の金融政策決定会合で、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入した。

今回の変更は"金融緩和の強化"と位置づけられているが、1月のマイナス金利の導入に、長期金利(10年国債金利)をゼロ%程度に誘導することが加わり、金融政策の操作目標は量から金利へと転換している。
量的金融緩和という表現は残ってはいるものの、実際には大きな方針の転換が行われたことは明らかだ。

日銀は今回の変更によって金融緩和政策の持続性が高まるとしているが、2%の物価上昇という目標を実現するために行っている強い金融緩和政策はさらに長期化することになったと考えるべきだ。

さて、日銀のWebサイトにある『2%の「物価安定の目標」と「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」』では、なぜ物価の安定が大切なのかについて、「物価が大きく変動すると、・・・効率的な資源配分が行われなくなります」と説明している。

物価の安定を目指して日銀が続けている異次元の金融緩和は、最終的には日本経済で効率的な資源配分が行われることを目的としているということになる。

需要が伸びている産業に人材が流入し投資が活発に行われる一方で、需要が縮小している産業からは人材が流出し設備投資もあまり行われないという形で、効率のよい産業や企業に各種の資源が移動することで、日本経済全体の資源の利用効率は上昇していく。

物価の安定が効率的な資源配分に重要だというのは、日銀の説明を借りると「個人や企業はモノやサービスの価格を手がかりにして、消費や投資を行うかどうかを決めています。物価が大きく変動すると、個々の価格をシグナルとして個人や企業が判断を行うことが難しくなります。」ということが理由である。

さて、日銀が続けている大胆な金融緩和政策は、日本経済の資源配分の効率化に役立っているのだろうか。

デフレからの脱却を実現するために日銀が行っている金融緩和政策によって、市場の金利は著しい低水準となっている。
低金利は住宅建設にも追い風となっており、8月の住宅着工戸数(季節調整値)は年率で100万戸を超えた。
人口の減少が続くと予想されている日本では、この水準は好調といってよいだろう。

持ち家と、分譲の着工戸数が横ばい圏を脱せずにいるなかで、2013年頃から貸家の着工戸数が目立って増えており、2016年に入ってからは更に加速が目につく。
2015年から相続税の基礎控除が縮小されたため、相続税対策として貸家を建てる動きが続いてる中で、マイナス金利の導入による低金利が追い風となって貸家の着工は前年同月比9.9%増と10カ月連続で前年比で増加を続けている。

2013年には住宅数は6063万戸となって世帯数の5246万世帯を大きく上回っている。
1958年にわずか2%に過ぎなかった空き家率も、2013年には13.5%に上昇し、普段誰も住んでいない空き家は820万戸にも上る。
820万戸の空き家のうちで賃貸用住宅は430万戸と半分以上を占めている。

大量の空き家があるという状況の中で、超低金利で貸家の大量供給を促進することに、どれだけの意味があるだろうか。

空家が13%以上にも上るということは、日本の住宅資産価値約357兆円(国民経済計算年報2014年末)から計算すると数十兆円の資産が使われることなく放置されていることになるが、貸家の大量供給はさらに空き家を増やすという形でムダを付け加えることになってしまうのではないか。

住宅投資はGDP(国内総生産)の需要項目の一つなので、誰も住むことがなく使われない住宅でも建設された時点ではGDPを拡大させる。
しかし、投資が行われれば所得が生まれるという点だけを強調し過ぎるのは問題だ。

確かに投資が行われた時点では所得が生まれるが、その後は固定資本減耗が所得を減らすことになるので、投資で作られた施設が期待通りに利用されて価値を生み出さなければ却って所得が減少してしまうということが起こる。

借り入れをして貸し家を建設してしても期待したほど借り手が集まらなければ、投資を行った人は債務の返済に苦しむことになる。

今回は、2020年の東京オリンピックや最近の訪日客数の増加による民泊という需要も喧伝されているが、800万戸の空き家の上にさらに毎年何十万戸もの貸家を建設しなくてはならないというほどの需要ではないだろう。

多くの投資家がそろって投資採算の目算が狂ったということになれば、失敗の穴埋めのためにするために多くの家計で消費を削減する必要に迫られて、経済は大きく落ち込んでしまう上に、税収も大きく減少してしまう恐れがある。

多数の失業者がいたり工場の生産設備の稼働率が低かったりするなど、国内に未利用・低利用の資源が大量にあるという場合には、金融緩和政策で需要を喚起し、失業者を減らして生産設備の稼働率を高めれば、資源の利用効率は上がる。

しかし、日本の失業率は既に3%程度に低下しており、失業よりは人手不足が問題となり始めている。

ケインズは穴を掘って埋め戻すという需要でも意味があると言ったが、それは大恐慌のような著しい需要不足を背景とした時代のことだ。
ムダな需要でも必要だというのは時と場合による。
現在の日本経済では大量の失業者という未活用の人材資源があるわけではないので、金融政策によって利用効率が高まるという効果は期待し難い。

日本経済の資源の効率的な利用を促進することを目指しているはずの超低金利政策は、相続税対策の貸家建設を促進して、かえって経済全体の効率を低下させてしまうなど、本来の目的からすると逆効果となっているのではないだろうか。


by mnnoblog | 2016-11-07 08:29 | 経済
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  (ZUU online の画像と記事より)

このところ中国の住宅バブル崩壊を危ぶむ声が急増している。
9月から10月にかけて多くのメディア、投資銀行、そして豪州政府までもが中国住宅市場の過熱に警鐘を鳴らしている。
中国政府が政策の舵取りを誤れば金融危機やコモディティー価格の急落などで世界経済を揺るがしかねない。

ここでは中国の住宅市場に対する見方を紹介し、有効な手立てを打ち出すためには中国政府が抱える2つのジレンマを抱えていることを解説していこう。

まず中国の住宅市場の動きをおさらいしよう。

まず、販売金額は年初の急伸のあと8月まで前年比40%以上の増加ペースが続いている。
政府が発表する新築住宅の価格動向を見ても、8月は主要70都市のうち64都市で値上がりし、7月の51から大きく増加。
昨年2月までの約半年間がほぼゼロであったのと比べると様変わりだ。
前月比の値上がり幅は6年ぶりの高さとなり、一年前に比べ南京と上海が30%以上、北京は24%など高騰が続いている。

この住宅ブームの裏には政府の後押しがある。
昨年12月の共産党政治局会議では、経済成長鈍化を食い止める一環として住宅在庫の解消が重要課題とされ、中央・地方政府はその後あらゆる政策を動員、住宅の需要喚起に躍起になっていた。

一方、個人を中心とする買い手側も各地の住宅販売フェアに殺到するなど過熱気味だ。
株式市場が昨年高値の6割程度の低水準にとどまり、海外投資が厳しく制限されているなかで、住宅投資が手っ取り早い運用手段になっている。
さらにシャドー・バンクを含む金融機関も、過剰能力を抱える製造業の資金需要が低迷するなかで住宅向け融資に活路を見出している。
このように、政策支援、投機機運、金融機関の加担、さらには規制が強化される前の駆け込み需要などが相まって、買いが買いを呼ぶバブルの様相を強めている。

この状況を受けて多くの機関が警鐘を鳴らしている。

市場情報提供会社ブルームバーグは先月後半、中国の不動産市場にバブル崩壊の兆しがあるとして香港の調査会社のレポートを引用、「より喫緊なリスクは不動産バブル崩壊の恐れで経済が突然、大きく落ち込むこと」、「既にバブルになっている。投資家にとって重大な問題はこれがいつはじけるかである」と報じた。

米投資銀行ゴールドマン・サックスも10月初めの商品市場レポートで「政策主導の住宅ブームは単なる需要先食い。いずれ落ち込む」、「多くの勤労世帯にとって住宅は高嶺の花となり、これが続けば建設活動の低迷は長引く」とし、中国の不動産市場のリスクは高まり、少しでも落ち込むようであれば鉄鉱石や鉄鋼製品を中心に金属素材は厳しい局面を迎えると警告している。

これに呼応するかのように豪州政府は、中国住宅市場では「在庫は2016年前半にわずかに減少したが、供給過剰に変わりはない」、「建設活動の拡大はそう長く続かず、この分野で使われる物資は減少する方向」とし、同国の主要輸出品目である鉄鉱石の価格が来年は6%低下する恐れがあると懸念する。

このようなバブル懸念は国外にとどまらない。

中国人民銀行(中央銀行)のエコノミストも不動産市場の「持続不能なバリュエーション」とその先行きに対し警鐘を鳴らし、「過度なバブル膨張に歯止めをかける方策が必要で、不動産セクターへの過剰融資を押さえ込む必要がある」と提言している。

当局も手をこまねいているわけではない。

すでに購入促進策を転換、現在では20以上の都市で頭金比率や購入軒数の規制を強めている。
しかしその有効性に対し、ゴールドマンは先のレポートで「地方政府がこの半年間とってきた規制策は市場の過熱をほとんど抑えられていない」と懐疑的だ。
日本経済新聞も「規制をかいくぐるネット金融の普及で、効果が上がるかは未知数」と報じている。

中国政府が金融政策と政治の両面でジレンマを抱えていることも先行きに不安を投げかける。
コメルツ銀行AGは最近のレポートで「インフレ沈静化が続き成長率が鈍化する中で、金融政策は全体として緩和的であるべきだが、資産バブルの懸念があるため、さらなる緩和の余地は限られている」と政策の舵取りの難しさを指摘する。

また政治面では、構造改革を重視する習近平主席派と、景気刺激策で高成長路線への回帰を求める「守旧派」が対立しているとされる。

最近の中国景気は政府主導の不動産とインフラ投資の拡大策に支えられた片肺飛行だ。
メーカーや金融機関の過剰設備・債務の整理に本気で取り組めば景気が再び下振れする恐れがある。

10月11日、李克強首相はマカオでの演説で7-9月の中国経済は予想よりも良いと述べた。
また中国経済は統計が示すほど鈍化していないと主張するエコノミストもいる。
中国政府がバブル抑制を優先して財政拡大で対応するのか、はたまた財政健全性重視でバブル膨張に目をつぶり成長を優先させるのか。
さらには、構造改革を強力に推進して「ゾンビ企業」淘汰に走れば企業破綻が増え、信用不安が海外に飛び火する恐れもある。

中国の今後の景気動向と政策運営によっては世界経済に大きな影響が出るリスクがあることを投資家は意識しておく必要があるだろう。


by mnnoblog | 2016-10-31 08:50 | 経済

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