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カテゴリ:経済( 49 )

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  (DIAMOND の画像と記事より)

10月22日に投開票が行われた衆議院選挙で、消費税増税派の与党が圧勝した。
とはいえ、安倍首相は、増税分の一部を少子化対策などの歳出により多く回すとしており、巨額の財政赤字と債務残高を懸念し、早急に緊縮財政を進めないと財政が破綻しかねない、と考えている人も多い。

しかし筆者(久留米大学教授 塚崎公義)は、財政は破綻しないと考えている。

もしも日本が経常収支赤字国で、政府が外国から借金としてドルを借りているのだとしたら、大変に危険である。

海外の債権者としては、日本政府がドル建て債務を返済できるのか否か不安を感じているので、債務残高が増加するにつれて「もう貸さない。返してほしい」と言ってくる可能性が増すからだ。

国内の投資家が円建て国債を買う場合には、「円建て資産の中で国債より安全な物がないので仕方なく国債を買う」かもしれないが、海外の貸し手にとって、日本政府は「その他大勢の1人」なのだから、資金を引き揚げることが容易なのだ。

問題は、ここからである。

日本政府が外貨建て債務を返済するには、円をドルに替えなければならない。
最初の返済時はドルが安く買えるので問題ないとしても、それに伴ってドルが値上がりし、次の返済の負担が重くなる。
それを見た海外の債権者は一層不安になり、返済を求めたくなるであろう。

国内の資産家も、「海外の貸し手からの返済要請が相次げば、ドル高になるだろうから、今のうちにドルを買おう」と考えるかもしれない。
そうなると、無限にドル高が続いて、政府は返済不能に陥りかねないのだ。

過去に国家財政が破綻した事例の多くは、こうしたものであった。

幸い、日本政府の借金は円建てであり、こうした状況は考え難い。
単に「過去に財政破綻した国よりも債務残高のGDP比が高いから、日本政府も破綻するだろう」などと考えてはいけないのである。

そもそも、日銀に紙幣を印刷させて借金を全額返済するという選択肢があるので、実際に政府が破産する可能性はゼロである。
それをもって「財政は絶対に破綻しない」のであるが、これは禁じ手であるため、本稿では考慮しないことにする。
「日銀に永久無利息国債を引き受けさせる」という選択肢も、同様に禁じ手であるため考慮しない。

ちなみに、「日銀が永久無利息国債を引き受けると、政府の借金は実質ゼロになる」という論者が散見されるが、日銀が引き受け代金として政府に渡す日銀券が財政支出として世の中に出回れば、やはり超インフレを招きかねない。

そうでなくとも、日銀券は日銀の負債であり、それが政府の財政支出として世の中に出回ることで、「政府と日銀の連結決算」の借金は減らないことになる。

「たかが数兆円の増税が実施できないような国で、1000兆円もの借金をどうやって返すのか。将来の財政破綻は明らかだ」「財政赤字は、将来世代に借金を負わせる世代間不公平だ」と考える人も多いだろう。

しかし、懸念は不要だ。

極端なケースを考えてみよう。
一人っ子と一人っ子が結婚して一人っ子を産む。
数千年後には日本人が1人になる。その子は個人金融資産1800兆円を相続する。
政府から「借金を返すので1000兆円の税を払え」と言われるが、全く問題ない。
残った800兆円で豊かに人生を終えるからだ。

「国債は、子孫に借金を返済させるので世代間不公平である」と言われる。
その限りでは正しいが、少し広い視野で見ると、全く異なる景色が見えるのである。
遺産のことまで考えれば世代間不公平など存在せず、遺産が相続できる子どもと、できない子どもの「世代内不公平」だけが存在するのだ。

要するに、日本政府は今後数千年間に渡って一切増税をしなくても、破綻しないというわけだ。

とはいえ、さすがの筆者も数千年間に渡って財政赤字を放置していいとは考えていない。
遠くない時期に緊縮財政を採用すべきだと考える。
それは、財政赤字には問題があるからだ。

財務省のホームページに掲載されている財政赤字の問題点は、利払い費の増加で政策の自由度が減少する(社会保障などの予算が不足する)、金利上昇による経済への悪影響、世代間の不公平拡大、といったところだ。

だが、利払い費が増大したら、その分だけ借金をすればいいのだし、政府の借金が増えても市場金利が上がらないのは過去の日本経済が実証済みだし、世代間不公平が深刻でないことは上記の通りだ。

問題はそうした点ではなく、「消費などの低迷リスク」である。

人々が「将来は財政赤字が深刻化して年金がもらえないだろうから、今のうちから倹約しておこう」と考えて消費を手控えることなのだ。
これは既に生じているかもしれない。
そうなると景気が悪化するので、政府が景気対策を採る必要が出てきて、財政赤字が一層拡大する、といった悪循環に陥る可能性もあるのである。

遠い将来のことまで考えるならば、「インフレリスク」にも留意が必要である。
いつの日か、人々が「政府は破産し、日銀券は紙くずになるだろうから、今のうちに現物資産に換えておこう」と考えるかもしれず、そうなれば超インフレになってしまうかもしれない。

今は、たまたま景気がいいので労働力不足であるが、増税により景気が悪化すれば再び失業に悩まされ、失業対策の公共投資が必要になるかもしれない。
しかし20年後には、少子高齢化による労働力不足が深刻化し、「多少、景気が悪化しても失業問題は深刻化しない」という経済になっているかもしれない。
そうであれば、その時には思い切り増税すればいい。

もしかすると、労働力不足による賃金上昇でインフレになり、それを防ぐために緊縮財政が用いられるようになるかもしれない。
となれば、増税がインフレ対策と財政再建の“一石二鳥”となるかもしれないのである。

遠い将来においては、「日本政府が破産する」と多くの投資家が信じて国債を売却し、国債価格が大幅に下落することもあり得よう。
そうなれば、政府は高い金利を提示しないと借り換え国債が発行できないので利払い負担が増し、それが一層政府破産の思惑を強め、国債価格が文字通り暴落するかもしれない。
しかし、それでも日本政府は破産しない。

日本政府が破産するとなれば、猛烈なドル買いが発生して1ドルが数百円になる。
日本政府は外貨準備として巨額のドルを持っているので、それを高値で売却し、暴落している国債を買い戻せばいい。
そうすれば、一気に発行済み国債の多くを買い戻すことができ、暴落の翌日には「無借金」になっている可能性すらある。

つまり、「日本政府が破産すると皆が信じて国債と円を売れば売るほど、ポジションが改善していく」という不思議な立場に、今の日本政府は立っているのである。
外貨建て債務を抱える政府が「破産する」との噂で実際に破産してしまうのとは、正反対なのである。

by mnnoblog | 2017-11-12 08:15 | 経済
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  (日経新聞”大機小機”の記事より)

世の中には「親切・重税党」と「冷淡・軽税党」しかない、故高坂正尭京都大学教授はよくこう語った。
「大きな政府」と「小さな政府」でもよい。

先進国の政治の対抗軸はこれをメルクマールに分かれ、二大政党制をなす。
国民負担を上げ社会保障を充実したい「親切・重税党」と、負担は最小限に自己負担・自己責任を重視する「冷淡・軽税党」との間で政権交代が繰り返されてきた。
高齢化で社会保障が最大関心事になる今日、この2つが政治の対抗軸である。

だが、わが国では今回の選挙に見るように、リベラルだ保守だとイデオロギーばかりで、そのような対立軸が見えない。なぜか。

日本は先進国最大の財政赤字を抱える。
これは給付が負担を上回る政策(中福祉・小負担)を長年続けてきたことが原因だ。

良識のある政治であれば、受益と負担のアンバランス(将来へのつけ回し)を国民負担の増加で対応する(中福祉・中負担)のか、歳出削減を中心に対処する(小福祉・小負担)のか、これを国民に問うはずだ。

だが実際は、財政赤字の解消という課題を長年議論せず放置した上、教育・社会保障の充実を追加財源のあてなく訴えた。
財政赤字問題は、この二重構造の理解から始める必要がある。

今回の選挙でも、財政赤字の縮小や教育無償・社会保障の充実に必要な財源について、国民が納得する案を提示した政党はなかった。
わずかに自民党・公明党が、消費税率の10%への引き上げの一部を回すと説明したが、それでは財政赤字は縮小しない。

野党はこぞって消費増税の凍結を主張し、財政赤字への対応だけでなく、新たな政策を実現するための財源確保という責任をも放棄した。

希望の党のように、大企業への留保金課税を消費税の代替財源にすれば、企業は日本から脱出し、東京の国際金融都市構想とは逆行する。

立憲民主党の金融所得や相続税の課税強化は議論になりうるが、とても持続可能な社会保障財源になる規模にはなりえない。

維新の議員定数の削減・給与カットでは桁が1つ2つ異なる。

「親切・重税党」と「冷淡・軽税党」しかないという冷徹な現実に目を向けることなく問題を先送りした、これが今回の総選挙の総括であろう。

by mnnoblog | 2017-11-06 08:41 | 経済
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  (日経新聞”大機小機”の記事より)

アベノミクスのもと、基礎的財政収支の国内総生産(GDP)比率、総債務残高のGDP比など財政指標は改善している。
それでもいまだに日本の財政危機を懸念する声が絶えない。

しかし、そもそも日本や米国など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。
財政破綻論者は日本のデフォルトとしてどのような事態を想定しているのか。
明示すべきだ。

日本国債の格付けは財政状態のみならず、広い経済全体の文脈、特に経済のファンダメンタルズを考慮し、総合的に判断されるべきである。

例えば、財政破綻論者は以下の要素をどのように評価しているのか。

日本は世界有数の経常黒字国、債権国であり、外貨準備も世界第2位である。
その結果、国債は現在94%が国内で極めて低金利で安定的に消化されている。
近年自国通貨建て国債がデフォルトした新興国とは異なり、日本は変動相場制の下で、強固な対外バランスもあり、国内金融政策の自由度ははるかに大きい。
さらにハイパーインフレの懸念はゼロに等しい――。

実は、以上の文章の大半は私の書いたものではない。
財務省が2002年5月に外国格付け会社宛てに提出した「外国格付け会社宛意見書要旨」の一部を、多少現状に合わせて数字を変え、ほぼそのまま利用したものだ。
この文書は、その後の一連のやり取りと共に、今でも財務省のホームページで読むことができる。

執筆者は当時の財務官、現日銀総裁黒田東彦氏と言われている。
確かにマクロ経済学についての理解と歴史の知識に裏打ちされた文章は黒田氏らしい。

この文章は公開されているから、一部ではよく知られている。
ただ、不思議なことに、一般にはあまり知られていない。
極めて残念なことだ。

デフレによる税収減や、日本政府が約700兆円余りの総資産を保有していること、現在は日銀が約436兆円の国債を保有していること、そして歳入庁設置といった徴税改善手段があることに言及がない点は不満が残る。
だが議論の骨格は今も正しい。

財政当局である財務省が、対外向けに日本には財政破綻は起こりえないと言っている。
日本の財政破綻論者は、まず財務省に説明を求めるべきだろう。

by mnnoblog | 2017-11-05 08:22 | 経済

超低金利政策の弊害

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  (日経新聞”十字路”の記事より)

いかなる政策も副作用を伴う。
効果が副作用を上回る限り政策は正当化されるが、効果は過大に評価され、副作用は小さく見られがちだ。

超高齢化が進む民主主義社会のわが国にとって2%の物価目標は非現実的だが、日本銀行が目標に固執する以上、長期金利まで含めた超低金利政策はさらに長期化しそうだ。

その副作用として国債市場の流動性や金融仲介機能の低下などのほか、資産運用上の弊害も無視できない。

異常な低金利環境が「貯蓄から投資」への流れを皮肉にも阻害していないか。
本来、日本国債や優良企業が発行する社債は、利回りが適切であれば国民にとって有効な投資先であるはずだ。
債券は満期まで保有してデフォルトさえ起きなければ利回りを確定できるし、リスクを分散する効果も期待できる。

適切な利回りを失った債券に本来の価値を見いだせず、家計の資産は大部分をゼロ金利の預貯金に、一部を値動きのよい為替やリスク資産の短期売買(投機)に向かう。

国債や高格付け社債が利回り資産として魅力を取り戻せば、預貯金は債券投資に向かおう。
債券の生むクーポン収益やリスク分散効果が株式などへの投資余力をも高めよう。

超低金利の長期化は資産運用における人材育成にも悪影響を与える。
運用業界では、債券投資の「プロ」が近年減少の一途にある。

異次元緩和の下、財務省や日銀との国債の短期売買に明け暮れた投機家は将来、顧客資産を預かるような長期的な視点を持つ運用者に育つだろうか。
金融政策が正常化する過程では国債市場に投資資金が戻ってほしい。
人材という金融インフラの重要性を過小評価すべきでない。

「100年人生」の時代に資産運用は重要になる一方だ。
利回りのある世界、投機でなく投資人材の育つ環境。
これこそが国民を豊かにする。

by mnnoblog | 2017-10-15 08:06 | 経済
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  (現代ビジネスの画像と記事より)

最近、仮想通貨の価格が急上昇して話題になることが増えている。
それに対して、中国政府が厳しい規制で臨んでいる。
さらに先日、米国投資銀行のトップが、仮想通貨は詐欺といって一時仮想通貨の価格が下落した。
かたやエストニアでは、政府が仮想通貨の発行を検討している。

一体、仮想通貨の周辺で何が起こっているのだろうか。

まず、ビットコインの価格の推移を見ておこう。
黎明期はほとんど価格ゼロであった。
その後、2013年12月に1000ドルを超えたが、その当時取引所のひとつであったマウントゴックスが倒産したことなどもあり、その後は低迷が続いた。
その後、じわじわと価格が上がっていったが、今年に入りまた急騰。
そして、最近は中国政府の規制強化などで急落している、という状態だ。

そもそも仮想通貨とは何か。
ビットコインは代表的な仮想通貨であるが、これまでの電子マネーとは違っている。
これまでの電子マネーは本物の通貨と交換で作られており、これは、これまでの本物の通貨でない「通貨類似」、例えば商品券、「地域通貨」などと同様のものだった。

ところが、ビットコインには、「採掘」といって、実際に無の状態からでも作り出す、手に入れることもできる。
これは、現実社会の金の採掘に似ている。
もっとも、採掘はネット上で行われる。
それも、無数のコンピュータで計算を行わないと採掘はできない。

ただし、全体の供給量は時間とともに緩やかに増大し、あとから参加した者ほど「採掘」が困難になるという仕組みだ。
これも、実際の金鉱脈を掘り当てるのと似ている。

こうした仕組みはとてもユニークだが、創始者は「Satoshi Nakamoto」という日本人だといわれている。

さて、ビットコインの取引では、すべての取引に固有のビットコインIDが付与されている。
そのため、理論的には資金のトレースもできるようになっており、その取引記録も実はリアルタイムでみることもできる。
ただし、そのIDが誰のモノかを特定することは第三者にはできない。

筆者の目から見れば、ビットコインの中心的な技術であるブロックチェーンは、手形の裏書きをコンピュータの分散システムで代行しているようにみえる。

いずれにしても、好奇心をそそるよくできた仕組みであり、実際に、本物の通貨との交換によって国際決済を行ったり、買い物にも使用できるようになっている。

しかも、既存の金融機関を経由する仮想通貨と比べれば、手数料がかからない点ではるかに安いので、かなりの人気になっているわけだ。

ビットコインに敏感になっている中国において、こうした仕組みはどのような社会的な影響があるのだろうか。

結論から言えば、仮想通貨を導入すれば、中国の一党独裁、社会主義が崩壊しかねないのである。

ご承知の通り、中国には一党独裁という政治的な不自由がある。
これは私企業での「分権意思決定」という経済的な自由は相容れない。

この観点から言えば、政治的自由のない中国では経済的自由にも制約があるため、本格的な資本主義を指向できない。
特に、中国では土地の私有財産制が否定されているなど、生産手段は国営が原則である。

これを守り続けるためには、厳しい取引規制が必要である。
このため、資本取引の要となる金融規制も厳格にせざるを得ず、それゆえに民間の仮想通貨は真っ向方対立するのだ。

特に、国内外のカネの流れを規制しないと、中国は社会主義体制を維持できなくなるので、国家の枠組みを越えて取引ができる民間の仮想通貨は、危険な存在なのである。

ビットコインの場合、当初にシステムを仕組んだ者と「採掘者」が通貨発行益を受け取れる。
しかも本物の通貨より発行コストや運営コストが低いので、通貨発行益が大きいのが魅力だ。

それを中国政府が見逃すはずはない。
筆者は、中国政府が、体制崩壊に結びつくような仮想通貨の取引については厳格に管理するが、政府自らが仮想通貨を発行する可能性は結構あると思っている。

仮想通貨といっても、本物の通貨のように発行者が「通貨発行益(seigniorage=発行額と発行コストの差額。1万円札の場合、9980円程度が発行益になる)」を得られることは同じだ。

この点について、エストニアが政府自ら「エストコイン」の発行を検討していることをみよう。

エストニアは電子政府化への取り組みがさかんである。
ICチップが埋め込まれているIDカードがあれば、銀行振込も選挙もできる。
このIDカードを外国人は基本的には持てなかったが、現在はこれを外国人にまで拡大している。

この結果、外国人がエストニアの「デジタル住民」になり、オンラインで行政サービスにアクセスしたり、エストニアにある会社を運営し、起業できるようになっている。

これが「E-resident」と呼ばれるもので、138カ国から2万2000人がデジタル住民に登録しているという。

電子政府の延長線で、エストニアは「エストコイン」(estcoin)という仮想通貨を発行し、集めたカネをデジタル国家の建設のために使うという。
これはICO(Initial Coin Offering)といわれるもので、仮想通貨を使った資金調達である。

株式の代わりに仮想通貨を発行するのだが、発行元は国であるので、政府通貨発行によって通貨発行益(発行額から必要経費を控除したもので、ほぼ発行額)を財政支出に使うのと、基本的には同じである。

ICOそのものは、民間企業でのベンチャー企業投資に似た仕組みであるので、発行体の信頼がポイントとなる。
エストニアの場合、国が発行主体になるので、民間企業のICOよりも信頼が高いとして、多くの人が関心を持っているようだ。

もっとも、エストニアに限らず、国の場合は仮想通貨を使わなくても、本物の通貨を発行できる。
ユーロ諸国の場合、紙幣は欧州中央銀行が発行し、少額コインは各国が発行している。

ただし、紙幣の通貨発行益は欧州中央銀行に帰属する。
このため、紙幣による通貨発行益が直接各国財政を潤すわけでない。
しかも、通貨発行益はほとんど紙幣からもたらされる。
各国が少額コインの発行による通貨発行益をさらに大きくするためにも、仮想通貨を発行したほうが合理的なのだ。

つまり、筆者はエストニアが仮想通貨を発行したのは、コインを発行するより大きな発行益を受け取るためだろうと思っている。

このように、政府が発行益を受け取るために仮想通貨を発行するということは、今後他の国でも起こりうると考えられるのだ。

さて、日本はどうか。
2016年になって、資金決済法が改正され、仮想通貨の取引サービスが同法による規制の対象となった。

改正資金決済法においては仮想通貨とはなにかが定義され、仮想通貨の売買等を行う仮想通貨交換業者に対して登録制が導入されるとともに、利用者保護のためのルールに関する規定の整備がなされた。

もっとも、これらは最低限度の規制であり、今さら規制といっても場違いな感もあり、仮想通貨の取引に関する損益はすべては自己責任で貫徹すると考えたほうがすっきりしている。

さらに、重要なのは仮想通貨の仕組みや技術はまともであり、社会的な有用性は少なくないと筆者は思っているが、それを扱う人が信用できるかどうかは別問題である。

一方、政府による仮想通貨については、日本ではまだ誰も発言していない。

仮想通貨の発行までいかなくても、ブロックチェ-ン技術を土地などの登記制度に活用すれば、現在紙ベースで行っている登記事務が格段に低コストでできるようになる。

現在地方法務局には6000人程度の人員がおり、年間500億円程度の人件費を要しているが、ブロックチェーン技術を使えば、ほぼゼロのにおさめるくらいの画期的な行革が可能になるのだ。

政府の電子化はもっと推進する余地があるだろう。

by mnnoblog | 2017-09-28 08:34 | 経済
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  (DIAMOND online の画像と記事より)

その時々の経済情勢に対して政策の取り組みや課題を示す「骨太の方針」では、これまで「デフレ脱却を確実なものにする」(15年)、「デフレ脱却に向けて大きく前進」(16年)と記すなど、“デフレ退治”が政策の中心に据えられてきた。

それが17年の骨太の方針では、「デフレ」の文字が消滅、政策からも消えた形だ。じつは、毎月の経済情勢を判断する「月例経済報告」でも、2013年12月からデフレの文字は消えている。

こうした背景について内閣府は、「この1年余り、消費者物価指数が前年を下回ることはなく、物価が持続的に下落する状況ではなくなった。つまり、デフレは終わったという認識だ」と話す。

確かに、2012年12月からの景気拡大局面は戦後3番目の長さになり、需給ギャップや雇用の指標も改善している。デフレの時代は終わったかに見える。

とはいえ内閣府は、「『デフレ脱却宣言』をするにはまだ様子をみる必要がある」という。
内閣府が06年3月に作った「デフレ脱却の定義」では、物価が持続的に下落する状況を脱したことに加えて、「再びその状況に戻る見込みがないこと」を挙げているからだ。

この点については、「景気回復のテンポは弱いし、物価もほぼ横這い(前月比0%程度の上昇)の下で、再びマイナスにならないとはいいきれない」と、内閣府は自信なさげ。それを反映してのことなのか、公式の「デフレ脱却」宣言はまだしないという。
こっそりと各文書からデフレの文字を消したというのが実情のようだ。

そもそも「デフレはなかった」と、指摘する専門家もいる。

消費者物価指数(CPI)を、天候などに左右される生鮮食品やエネルギー関連を除いたもので見ると、1998年から前年比マイナスとなって低迷。
2008年にプラスに転じたものの、リーマンショック後は再びマイナスになったため、デフレは続いているとされてきた。

だが、明治学院大学の熊倉正修教授は、「CPIの中身を詳細に分析すると、実はデフレは生じていなかったことが分かる」と指摘するのだ。

CPIは、585品目(2015年指数)程度の価格指数を加重平均して算出されるが、調査対象品目の銘柄変更や、品質調整などの影響を反映している。
基本は、同一の品質、性能を持つ商品やサービスの平均価格の変化を追跡する指数であるためで、新商品が売り出されたり機能や品質が向上したりした場合には、その分を「価格下落」とみなし、価格から差し引く調整が行われているわけだ。

1990年代後半以降、技術の進歩が著しいパソコンやデジタル家電といった情報通信(IT)機器が次々に対象品目に採用されたことに加え、「品質調整」に伴う調整も行われ、IT機器の物価指数は2000年代(2000〜2010年)だけでも年率(平均)17.1%、家電製品を加えると12.9%の下落率となっている。

熊倉教授は、こうしたIT・家電製品を除けば、「実際のCPIは90年代後半から2012年頃までほぼ横這いで、安定して推移している」とし、「名目的な数字にごまかされていただけで、デフレはなかった」と語る。

一方で13年から、CPIが緩やかな回復傾向になっていることについて、政府は「アベノミクスによるデフレ退治が奏功した結果」と喧伝する。

だが、熊倉教授は「アベノミクスは関係ない」と断言する。

熊倉教授は、物価が上昇した理由として、まず、IT機器市場の成熟化を受けて品質調整が見送られるケースが増えたことや、為替レートが円安に振れる中で中国からの輸入品が急増したことをあげる。
その結果、IT・家電製品の物価指数は12年末に下げ止まって、他の品目の上昇率を上回るようになり、逆に総合指数の上昇を下支えする役割を果たすようになった。

もう一つは、人手不足を反映した「労働需給の変化」が要因だという。
高齢化や労働人口の減少に伴って、介護や福祉などの産業で労働需要が急増、人手不足が顕著となって賃金が上がり始めたからだ。

「こうした二つの要因によって物価が上昇しただけ。アベノミクスの時期とたまたま重なっただけで、その効果と物価上昇は関係ない」(熊倉教授)というのだ。

むしろ安倍政権は、医療や介護などの報酬を抑制してきたことに加え、社会保障の安定財源確保のための消費増税も先送りするなど、「介護や福祉分野の賃金やサービス価格を政府が抑え込んで、物価が上がらない方向の政策をとってきた」(同)。

このように考えていくと、結局、「デフレ」の文字が消えたのは、アベノミクスの効果ではなく、統計作成に関する技術的な要因や製造業からサービス業へと産業構造が変化する中で、介護や福祉分野において人手不足、労働需給のミスマッチが起きたことが主な原因ということになる。

金融危機やリーマンショック後、何も手を打たなかった場合を考えれば、マクロ政策が金融不安を抑え、経済を下支えしたことは確かだ。
だが、物価変動の原因という側面から考えれば、アベノミクスは何やら“一人相撲”をとってきたような趣だ。

では、日本銀行が、財政ファイナンスと紙一重である大量の国債を買い入れてまで、力ずくで“統計上”のデフレを退治しようと、必死になったのはなぜなのか。

その理由はずばり、デフレの「定義」がはっきりしていなかったことにある。

戦後、長い間、インフレの方が切実な問題だったこともあって、物価下落に関する認識は浅かった。
バブル崩壊後の不良債権処理の遅れが景気停滞を長引かせる中で、いくら日銀が金利をゼロ近くまで引き下げても、物価が下がり続けていると、それだけで過剰債務を抱えた企業の収益は改善せず、不良債権処理がさらに遅れるといった悪循環に陥りかけた。

そこで政府は01年3月、それまで「物価下落と景気後退が同時に進む」としてきたデフレの定義を、「物価の持続的な下落」に変更して、「デフレ」を宣言。
日銀も「デフレは貨幣の供給量が足りないからだ」との主張に押し切られるように、量的緩和政策に踏み出すことになる。

それまで、デフレは「不況の結果」というのが一般的な考え方だった。
それがいつしか、デフレが「不況の原因」となり、ついには「物価下落はとにかく悪いこと」だというのが共通認識となって、日銀は緩和圧力を受け続けたのだ。

つまり、当初は、不良債権処理を加速させるためにデフレの定義を変更したものの、それが逆に政府や日銀を縛り付ける結果となったわけだ。

そもそも、98年から、日銀の黒田総裁が「異次元緩和」に踏み出す直前の2012年にかけてのCPIの下落率は、年率マイナス0.3%程度だ。
グローバル化による世界的な供給構造の変化やIT化、先進国の低成長を考えれば、CPIは、「物価や賃金が上がりにくい、変化しにくい経済」になったことを示しているに過ぎなかった。
にもかかわらず、日本では「デフレ脱却」が叫ばれ続けたのである。

それはなぜか。「デフレ」と言っている方が、都合の良い面があったからだ。

政治家たちは、「デフレ」を「不況」と言い換えることにより、景気対策を打つことで有権者や業界団体にいい顔ができる上、財政再建や増税といった票につながらない政策に取り組まずに済んだ。
また、企業経営者もデフレを賃金抑制の口実に使うことができた。
日銀もデフレ対策名目で国債を買い上げているいる限り、批判の矢面に立たされずにすむ。

唯一、「本音」でインフレにしたかったのは、巨額の財政赤字を抱える政府だろう。
ただ、現実はデフレというより物価安定に近かったため、賃金は増えなくても物価の下落が暮らしを支えていた面はあったし、退職世代も預貯金の目減りを心配することはなかった。
モノもサービスもあふれた経済で、政府や日銀がもくろんだような「インフレ期待(予想)」から、消費者が商品を買い急ぐことも起きなかった。

「財政や社会保障といった本質的な議論を避けるため、なにもかもをデフレのせいにして、国民に『デフレさえ脱却すれば日本経済の問題は全て解決される』と信じ込ませた。
いわばデフレに濡れ衣を着せてきたわけだ。
日銀もそうした状況を望んでいたわけではなかったが、結果的には加担してしまった格好だ」と、日銀の元幹部は話す。

政府は、密かにではあるものの「デフレ」は終結したと認めた。
となれば、長年に渡って議論を先送りし、目をそらし続けてきた課題について、もはやデフレのせいにできなくなったということだ。
デフレは統計上の“まやかし”であったかもしれないが、そうした課題は、まやかしで済ますわけにはいかなくなったのである。

by mnnoblog | 2017-08-13 08:33 | 経済
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  (日経新聞”大機小機”の記事より)

中央銀行やマクロ経済専門家の間でよく聞かれるのは、生産性の低下や企業の設備投資がなかなか伸びないことを憂える議論だ。
20世紀に比べると、成長を高めるようなイノベーションが起きていないのが問題だという前提で話が進む。

だが、そうした議論は経済の実態に即しているといえるだろうか。

人工知能(AI)を活用したビジネスや個人が保有資産をいかすシェアリングエコノミーの拡大など、経済は大きな構造変化のさなかにある。
ネットの高速化で企業も個人もかつては思いもつかなかったようなことができる時代になった。

こうした最先端の動きを国内総生産(GDP)統計はつかめていないのではないか、今起きているイノベーションがもたらす真の付加価値が過小評価されているのではないかという疑問は拭えない。

例えば情報・データをタダで、大量に素早く得られるようになっていることの効用はどこまで理解されているのか。

エコノミストの中にもこうした問題意識に立った分析を行い、「生産性が低下していると断定するのは誤り」と説く人びとはいる。
ゴールドマン・サックスのJ・ハチウス氏やグーグルのH・バリアン氏らだ。

主流派はこうした異論を「GDP統計で把握できていない部分は増えていない」「無料サービスは非市場取引であり、GDPに含まれない」と一蹴し、議論は対立したままだ。

とはいえ、GDP統計でとらえやすいのはオールド・エコノミーの分野であり、急速に伸びつつある新分野は捕捉しにくいのは確かだろう。

にもかかわらず、これまで通りGDPを目安に政策論議を進めれば、方向を誤る恐れがある。
工場や道路の建設など統計に反映されやすいものが伸びればよしとすることになりかねないからだ。
GDPには表れにくいものの、人や知的財産、新たな組織づくりに向けた投資を促すほうが今の時代にはかなっている。

求められるのは、従来の古いレンズのままでは新しい付加価値がよく見えなくなっているという謙虚な前提に立って政策を議論することだ。
そのためには、GDP統計の不断の見直しとともに、GDPでは測れない価値や効用についても正当に評価し、捕捉していく必要がある。

by mnnoblog | 2017-08-08 08:48 | 経済
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  (日経新聞の画像と記事より)

欧州連合(EU)は11日、財務相理事会を開き、域内銀行が抱える約1兆ユーロ(約130兆円)の不良債権の処理を加速させる行動計画を採択した。

情報開示の強化や、不良債権を銀行から買い取る仕組みの整備など改革メニューを列記。
不良債権処理の遅れが金融システムを不安定にするリスクを抑え、欧州経済の成長を促す狙いだ。

理事会はEU域内の不良債権残高が9904億ユーロなどとするリポートを公表した。
不良債権比率(貸出金に占める割合)はEU平均で5.1%に達した。
単純比較は難しいと断りつつ、米国の1.7%(15年末)や日本の1.6%(同)に比べ「かなり高い」と指摘。
行動計画は「不良債権比率を持続可能な水準に戻す努力が要る」と訴えた。

域内では南欧などで不良債権処理の遅れが目立つ。
イタリアなど10カ国で不良債権比率は10%を超え、ギリシャとキプロスは40%超に達した。
行動計画は現状のままでは「域内の経済や金融システムに広がるリスクをもたらす」と警告した。

行動計画では欧州銀行監督機構(EBA)に対し18年末までに、域内の全銀行を対象に不良債権の情報開示を拡充するよう要請。
市場でくすぶる欧州銀の資産内容への疑念解消につなげる考え。

不良債権処理の加速策では、欧州委員会に対し17年末までに「バッドバンク」とも呼ぶ、銀行から不良債権を買い取る資産管理会社を加盟国ごとに整備する計画を作るよう求めた。
EBAなどは当初、EU全体でのバッドバンク創設を唱えていたが、ドイツなどで南欧の不良債権処理に自国民の税金が使われるとの反発が出て、加盟国別に整える現実路線をとる。

不良債権の増加に備えた資金手当てを拡充する検討も欧州委に要請。
財務相理事会は半年後に計画の進捗を点検する。

EUでは6月以降、イタリアやスペインで銀行の破綻処理や公的支援による救済が相次いでおり、今回の行動計画で不良債権処理を後押しする。
欧州中央銀行(ECB)による超金融緩和が正常化に向かう際、不良債権問題が金融システムの波乱要因となるのを防ぐ。

by mnnoblog | 2017-07-20 08:20 | 経済

日欧EPA大枠合意

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   (日経新聞の画像と記事より)

日本政府と欧州連合(EU)は経済連携協定(EPA)交渉の大枠合意を6日の首脳協議で宣言すると決めた。

岸田文雄外相は5日午後(日本時間同日夜)、訪問先のブリュッセルでマルムストローム欧州委員(通商担当)との協議後、「閣僚間で大枠合意の達成を確認できた」と表明した。

日欧間で関税がなくなる品目は全体の95%超に達する見込み。
世界の経済・貿易の3割を占める大経済圏が誕生する。

日欧EPAの大枠合意をテコに、米国を除く11カ国での環太平洋経済連携協定(TPP)の発効を目指す「TPP11」の交渉進展にもつなげたい考えだ。

岸田外相は協議後、記者団に「大枠合意によって保護主義的な動きのなかで世界に前向きで大きなメッセージを送ることができる」と意義を強調した。
「日・EUが世界に範を示すに足る内容だと自負している」とも述べ、日欧が自由貿易を主導していく考えを示した。

大枠合意の内容は首脳協議後まで明らかにされない。
これまでの交渉で日欧が貿易品目の95%超で関税を撤廃することになった。
これはTPPと同じ程度の自由化水準だ。
関税撤廃する品目のうち、交渉が難航したのは欧州産チーズと日本産乗用車の扱いだったが閣僚級協議でメドがついた。

欧州側が市場開放を求めたチーズは、日本側が欧州産チーズに低関税で輸入する新たな枠を設け、枠内の税率を15年かけてゼロにする見通し。
欧州側は、日本車にかける関税(最高10%)を協定発効後7年かけて撤廃する方針となった。

このほか、日本側は欧州産ワインにかかる関税(ボトルワイン1本で約93円)を即時撤廃する方針。
欧州産の豚肉やパスタ、木材などの関税も削減・撤廃でほぼ決着し、欧州側も日本産の緑茶・日本酒にかける関税を即時撤廃する。

大枠合意後も、引き続き日欧間で協議を続け、年内には最終合意する方向。
協定が発効すれば日本の消費者にとっては欧州産ワインやパスタ、チョコレートを今よりも安く買えるようになる。
一方、日本から欧州には自動車や日本酒を売りやすくなる。

by mnnoblog | 2017-07-06 08:49 | 経済
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  (日経新聞”十字路”の記事より)

1985年のプラザ合意以降、円高不安におびえた日銀による超金融緩和政策は、かつてない資産インフレをもたらした。

85年から90年にかけて、わが国の土地の時価総額は、1062兆円から2479兆円に1417兆円(年平均283兆円)増加した。
この5年間の国内総生産(GDP)は年平均386兆円だったが、これに株価の上昇を加えると、毎年のGDPとほぼ同額の資産価値の上昇がもたらされたのである。

これだけの富の増加があれば、国内だけでなく、海外資産に日本買いが殺到していったのは当然だ。
ロックフェラーセンターの買収は一例だが、現在の中国買いは、まさにこの再現といってよい。

資産インフレの怖さは、値下がりが始まると、全てが逆回転するところにある。

90年から95年にかけて、土地の時価総額は600兆円減少した。
金融引き締めもあったが、担保価値の下落によって、銀行の貸し出し姿勢が厳しくなり、購買力は急速に消え、資産デフレの時代に入っていく。

中国のバブルは、この日本の何倍かの大きさだけに、これが弾けると、世界中の不動産や国際商品相場に、大きな打撃を与えることになる。
中国の膨大な購買力が消えていくのだからである。

バブルが崩壊するまでの景気は、いつも好調である。
だから金融の引き締めが議論されるが、本気で締めてくれば、バブル崩壊の引き金となる。

日本の90年代との違いは、世界中がバブル化していることだ。
このリスクを抱えたなかでは、世界的な政治不安は一段と加速していくだろう。


by mnnoblog | 2017-05-21 08:03 | 経済

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