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  (FINANCIAL TIMES の記事より)

 昨年の米大統領選で、国民はブッシュ、クリントンという名門政治一族の候補はもう嫌だとノーを突きつけた。
だが代わりに選んだのは米史上、最も王朝と呼ぶのにふさわしい時代を築ける人物だ。

トランプ政権は事実上、トランプ一族と、すぐにクビを切れる数人の家臣から成る。
トランプ大統領がカタールを嫌うのは、同国の有力者がトランプ氏の娘婿クシュナー上級顧問に対し、5億ドル(約567億円)の融資を拒んだことが一因だとも取り沙汰される。

先週、トランプ氏の長男、トランプ・ジュニア氏が大統領選中、ロシア政府からクリントン元国務長官に不利な情報の提供を受けようとした疑惑が明らかになった。
ジュニア氏が公表したメールを読めば、父親なら息子の孝行ぶりを感じ、ロシア関係者なら、トランプ一族は取引する用意があると考えるだろう。
米国の検察官には、メールはトランプ陣営とロシアとの共謀を示す動かぬ証拠となる。

仮に、ロシア政府に近い弁護士と会ったのが一族でない選対幹部だったら、トランプ氏は解任すればすむ。
しかしジュニア氏はそうはいかない。
ジュニア氏とともに会合に出たのが選対会長だったマナフォート氏とクシュナー氏だという事実も動かせない。
大統領選はファミリービジネスだった。

トランプ政権にも同じことが言える。
王に話を聞いてもらうには、その子供と親しくしろ――。
中国やサウジアラビアなどがトランプ政権と外交交渉する際、実践していることだ。
ロシア疑惑を捜査するモラー特別検察官も、こうすれば疑惑の真相に迫れるはずだ。

トランプ氏にとってはルイ14世と同様、「朕(ちん)は国家なり」なのだ。
疑惑の捜査が進むにつれ、トランプ一族の利害があらゆる決断に、一段と大きな影響を与えるようになるだろう。

最大のゆがみが生じているのは米ロ関係だ。
7~8日の主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の期間中、トランプ氏は2時間15分にわたりロシアのプーチン大統領と会談した。
同席者はティラーソン米国務長官だけだった。

両首脳はサイバー空間での互いの国への介入をやめることで合意したというが、これはあり得ない話だ。
トランプ氏が程なくその合意をあきらめざるを得なかったのはさておき、問題は両首脳が今や道義的には同じレベルにいることだ。

トランプ一族は米国の対外関係のあらゆる場面に顔を出す。
クシュナー氏は事実上、政権の首席外交官だ。
その妻イバンカさんは米国のソフトパワーの顔だ。

G20サミットでトランプ氏が中座すると、イバンカさんが中国の習近平国家主席とメイ英首相の間の大統領の席に着いた。
ロシア疑惑の捜査が進み、危機が深刻になれば一族は一層、守りに入るだろう。

身内以外の者らも保身に走っている。
ジュニア氏の疑惑に関するリークはホワイトハウスが情報源だ。
バノン首席戦略官・上級顧問が関与した可能性もあるだろう。
一族ではないが最側近の同氏はクシュナー氏とは不仲であり、行政国家の転覆を狙っている。

米政府を機能不全にしたいなら今がその時だ。
ロシアの大統領であれ、石油王国の首長であれ、政権内部のニヒリストであれ、トランプ氏はまたとない機会を与えてくれている。
同氏が大統領でいる限り、米国という行政国家は非常にもろく、危うい。

by mnnoblog | 2017-07-27 08:23 | 国際
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  (Financial Timesの記事より)

ウォーターゲート事件のスキャンダルが頂点に達した時期でさえ、ニクソン大統領の国家安全保障問題担当補佐官だったヘンリー・キッシンジャー氏は、真剣に外交のかじ取りを続けた。

クリントン大統領の弾劾を巡る公聴会が行われた時期のオルブライト国務長官にも、同じことがいえる。

それとは逆に、トランプ政権のティラーソン国務長官の下で米国の外交は行方知れずの状態になっている。

ティラーソン氏はスキャンダルまみれの大統領に仕える身でもある。
ロシア疑惑に関する調査や捜査は強まっていく公算が大きい。

ところが、ティラーソン氏はまだ配下のチームすら固まらない状態で、幹部不在の国務省が世界における米国の地位に及ぼすダメージが積み上がっている。

幹部の不在には意図された部分もある。
トランプ氏は、国務省と米国際開発局(USAID)の予算をほぼ3割減の370億ドル(約4兆2000億円)に縮小する案を示している。

国防総省予算のわずか20分の1の額だ。
ある共和党上院議員が評したように、トランプ提案は「否決確定」であるとしても、そのメッセージは取り違えようがない。
米国の大統領が外交を重んじていないのだ。

ティラーソン氏は大統領のメッセージをさらに強めている。
同氏は最近の議会公聴会で、自らが率いる国務省の大幅な予算削減案を強く擁護し、他の国々が米国に代わって国際援助を行うべきだと述べた。

こうした発言は、外交手段としての援助の有効性を理解していないことを示している。
すでに米国の援助支出は、国内総生産(GDP)比で大半の欧米諸国を下回っている。

米国の外交政策の危機はトランプ氏の予算案だけにとどまらない。
政権発足からほぼ6カ月になるが、国務省で埋まっていない幹部ポスト188のうち23人の指名しかしていない。

ティラーソン氏は2週間前、自らの幹部人選をホワイトハウスの人事担当トップが却下したことに怒りをあらわにした。
ほとんどが忠誠心を疑われたキャリア官僚か共和党員で、その一人は同氏が国務副長官に選んだエリオット・エイブラムス氏だった。

エイブラムス氏は、大統領選中に出された「ネバートランプ(反トランプ)」の書状に署名してはいなかったが、トランプ氏に対する批判が引用されていたことで指名を却下された。
他の多くの面々も、いわゆる「忠誠心テスト」を通過できなかった。

ティラーソン氏の外交努力は、ホワイトハウスにも足を引っ張られている。
同氏は今週、アラブ主要4カ国がガス資源に恵まれた小国カタールと断交した問題で、調停を目指し中東を歴訪している。

だが、その努力は実を結びそうにない。
すでにトランプ氏が反カタールのツイートを投稿している。
「大統領がどのような構成で、いつ、なぜ、何をツイートするかに私は関与していない」と、ティラーソン氏は言う。

だが、それもさまつな問題だ。アラブ首長国連邦、サウジアラビア、バーレーン、エジプトの4カ国は米国務省を迂回し、トランプ氏の娘婿で実力者のジャレッド・クシュナー氏を相手にしている。

外交関連の経験は皆無であるにもかかわらず、クシュナー氏はイスラエルとパレスチナの和平交渉再開にも単独で動いている。
中国もトランプ氏の家族を相手にしたがっている。

ティラーソン氏も時に素人同然であることをうかがわせる。
先週のロシアのプーチン大統領との会談で、トランプ氏と同席したのはティラーソン氏だけだった。

経験豊富な外交官であれば、トランプ氏がサイバー犯罪と戦う米ロ共同部隊を創設しようと提案するのを引き留めていただろう。
このばかげたアイデアは即座に退けられた。
ティラーソン氏は、またも不面目な姿をさらす形になった。

6月の公聴会で、ティラーソン氏はこう述べた。
「予算が効果的な仕事の能力を決めることはない。決めるのは国務省の人員だ」。

その通りなのかもしれない。
だが、これほど多くの幹部ポストが埋まっていない状況では、むなしく響いた。

by mnnoblog | 2017-07-26 08:48 | 国際
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  (NEWSWEEKの画像と記事より)

北朝鮮問題には「いい解決策」が存在しないという見解は、今では定説化している。
だが、この説は正しくない。
軍事・経済面で圧倒的に不利なのは北朝鮮のほうだ。
長期的にみて、彼らが勝者になる公算は小さい。

北朝鮮の核と弾道ミサイルの脅威が、質量共に新たな段階に入ったことは確かだ。
だが日米韓の3カ国には、その脅威に対処し、北朝鮮の大規模な攻撃を防ぐ能力が十分にある。

アメリカと同盟国に全面戦争を仕掛ければ、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の体制は恐らく崩壊する。
北朝鮮にとって体制維持は最大の戦略目標だから、全面戦争を思いとどまらせることは可能だ。

また、北朝鮮問題には軍事的解決策がないという説もよく耳にする。
あまりに犠牲が大き過ぎるというのだ。

軍事的選択肢がない以上、外交解決を図るしかないと断言する向きも少なくないが、この説の妥当性は疑わしい。
少なくともこれまでは完全な誤りだった。

父ブッシュからオバマまで、4人のアメリカ大統領が外交努力に注力したが、ことごとく失敗した。
北朝鮮は核拡散防止条約(NPT)、92年の南北非核化共同宣言、同年のIAEA(国際原子力機関)との保障措置協定、94年の米朝枠組み合意、05年の6カ国協議の共同声明、12年の米朝合意を全て踏みにじった。

北朝鮮は12年の憲法修正で、自国を核保有国と明記した。
現体制が存続する限り、交渉による非核化は期待できない。

軍事も外交も駄目なら、選択肢はもうないのか。
「圧倒的な反撃の脅威」によって、北朝鮮に大規模攻撃を思いとどまらせることは可能だ。
少なくとも過去60年間はそうだった。

さらに豊かな韓国との経済格差の拡大によって、いずれ現体制は変化を余儀なくされるはずだ。
北朝鮮の崩壊を何十年待っても実現しなかったという反論もあるが、80年代のソ連についても同じことが言われていた。

持久戦になって苦しいのは北朝鮮だ。
アメリカや同盟国ではない。
その一方で、将来の北による攻撃または攻撃の可能性に備えて、具体的な対策をいくつか進めていく必要がある。

まず、防御と攻撃の両面でサイバー戦争の戦略を強化することだ。
それによって北朝鮮の攻撃を防ぐと同時に、ソニー・ピクチャーズエンタテインメントへのハッキング事件のようなケースでは報復攻撃を実行する。

核兵器や核物質の密輸に対処するため、海と空の監視と規制、検問も強化すべきだ。
短・長距離のミサイルに対する「ミサイル防衛」の改良も必要だ。
北朝鮮による核の拡散や違法行為への対抗措置として、関係する中国企業への制裁などの2次的制裁も強化すべきだ。

つまり、アメリカは朝鮮半島の平和統一と非核化が可能になるまで、北朝鮮の封じ込めを徹底して続ければいい。
同盟国やその他の国々と協力できれば、最高の成果が期待できる。

北朝鮮が核兵器やミサイルの開発を着々と進めている現状を考えれば、恐怖心を抱くのも無理はない。
だが恐怖は判断力を曇らせ、危機への対応を遅らせる。
「恐怖は反応であり、勇気は決断である」と、チャーチル元英首相は言った。
今こそ恐怖心を和らげ、勇気を倍増させるような決断を下す時だ。

北朝鮮が核開発を進めていたとき、時間は彼らの味方だったが、核を保有した今は違う。
戦争を必要としない北朝鮮問題の解決策はある。
今こそそれを実行すべきだ。

by mnnoblog | 2017-07-25 08:01 | 国際
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  (THE WALL STREET JOURNAL の画像と記事より)

イタリア南部のカプリ島で、いとこ同士の町長2人が演じる小競り合いは、同国各地が抱えるジレンマを浮き彫りにする。
観光は重要な収入源だとわかっているが、その半面、観光客に対して(少なくともその一部には)もう来ないでほしいと多くの住民が思っているのだ。

昨年、カプリ町長のジョバンニ・デ・マルティーノ氏はうんざりしていた。
本土からのフェリーが立て続けに到着し、5分間隔で島に押し寄せる観光客が――多くは低予算のツアーで訪れる日帰り客だ――町の中心部に向かうケーブルカーに乗り込むために1時間も行列に並ぶのだ。

静かで神秘的な島の魅力が、群衆によって損なわれることを危惧したデ・マルティーノ町長は、フェリーの到着を20分間隔に伸ばすよう求めることにした。

しかし、ほどなく強敵が立ちふさがった。
島内のもう一つの町、アナカプリの町長で、いとこでもあるフランチェスコ・チェロッタ氏だ。

チェロッタ町長は「カプリの誰かさんは、いまだにジャクリーンとオナシスが(目抜き通りの)ヴィアカメレーレを散策することを夢見ているらしい」と現地メディアに語った。
「カプリが魅惑的な場所であることは必要だ。しかしホテルやレストラン、ショップを客で満たすことも必要だ」

最近、観光客が「トレビの泉」を全裸で泳いだり、ベネチアのリアルト橋から飛び込んだりする事件が続いたのを受け、旅行者殺到を食い止めたいという当局の決意は強まるばかりだ。
イタリアを訪れる観光客の数は2016年に5200万人を突破し、2000年に比べ30%近く増えた。

ただ、観光客が来ないようにするのは至難の業だ。
訪問を制限するには、法的にもビジネスの面でも実際の運用上でもさまざまな課題にぶつかる。

中部の都市フィレンツェでは2016年に観光バスの乗り入れ料金を引き上げる市の条例を定めたが、地方裁判所が一部を無効にする決定を下した。
同市は決定を不服として上訴し、一時差し止めの仮処分を勝ち取った。

地中海に面する海岸に沿って小さな漁村が集まるチンクエテッレには、昨年250万人が訪れた。
住民の数の実に500倍に相当する。
これに対し、地元当局は今春、5カ所をつなぐ風光明媚な散歩ルートに入場制限を設ける考えを明らかにした。
反対論はあったものの、6月にこの制度は施行された。

水の都ベネチアは、米ニューヨークのセントラルパークの5倍ほどの広さにもかかわらず、年間1500万人の日帰り観光客が押し寄せる。
市民や一部の政治家からは観光客の制限を求める声が強まっているが、法的な問題などもあってらちがあかない状況だ。

「都市を閉鎖することは望まない」と、同市観光局トップのパオラ・マール氏は話す。
「法律でもそれは許されない」

今月、何らかの方策を求める住民投票が実施された。
大勢の観光客を乗せた巨大クルーズ船が乗り入れ、サンマルコ広場に危険なほど近づいて航行するのをこれ以上放っておけないからだ。
政府は2012年に航路の変更を求める法令が定めたが、それが形骸化していることに住民の怒りは募るばかりだ。

by mnnoblog | 2017-07-09 08:27 | 国際
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  (NEWSWEEK の画像と記事より)

ISIS(自称イスラム国)はおそらく今後1年のうちに終焉を迎えるだろう。
支配地域を失うからだけでなく、収入源も失うからだ。

ロンドンに拠点を置く軍事コンサル「IHSマークイット」によると、ISISはイラクとシリアの国境をまたいで支配していた地域をすでに60%以上失ったが、収入はこの2年で80%を失った。

アメリカ主導の有志連合の空爆やイラク、シリアの地上軍の攻撃で、石油生産や密輸、徴税、誘拐による身代金や収奪といったISISの収入源となっていた活動はほとんど消失した。

6月30日、イラク北部モスルを包囲していたイラク軍部隊が、14年7月にISISの最高指導者アブバクル・バグダディが建国を宣言したヌーリ・モスクを制圧した。

モスルはイラク国内で唯一ISISが支配する都市で、間もなくイラク国軍が奪還すると見られている。

この8カ月間、モスル奪還作戦を指揮してきたイラクのハイダル・アバディ首相は、今週29日にISISが終焉を迎えたと声明で述べた。
「ヌーリ・モスクと(付属する)アル・ハドバの尖塔を奪回したことは、偽りの国の終焉を意味する」

同時にシリアでは、ISISが「首都」と称する東部の都市ラッカで、シリア民主軍(SDF)と呼ばれるクルド・アラブ連合部隊が掃討作戦を続けている。
シリアに広範な情報源を持つ英人権監視団体「シリア人権監視団(SOHR)」は、本誌取材に対してラッカが「完全に包囲された」と語った。

電話取材に応じたSOHRのラミ・アブデルラーマンは、「(SDFが)全方向からISISを包囲している。もう逃げ場はない」と話している。

この7月で4年目を迎えるISISに未来はない。

前述のストラックによれば、イラクとシリアに点在する支配地域も、ISISが拠点都市を失えばいずれ制圧される。


「ISISの残りの支配地域も今後1年以内に解放されるだろう」とストラックは見ている。

「分断された一部の都市でISISの統治が続いても、2018年には消滅する」


by mnnoblog | 2017-07-07 08:10 | 国際
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  (日経新聞の記事より)

トランプ米大統領は今月、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から離脱すると発表した。
離脱発表は、いまの世界が安定した指導力を発揮する国の存在しない「Gゼロ」であることを明確に示した。

自由世界のリーダーは一体どこにいるのだろう。

トランプ氏は1930年代以降の米大統領としては初めて、世界のリーダーになることが米国の国益ではないと考えている。
彼でないことは確かだ。

彼は協力することも、対立することもあるコミュニティーとして世界をとらえるのではなく、強い指導者たちが支配的な地位を巡って戦う場とみなしている。
トランプ氏自身がこうした考え方に引きつけられ、彼の忠実な支持者も同じ考えだと我々は知っている。

いまの自由世界の指導者は欧州だろうか。

それも違う。
大西洋を隔てた米欧の同盟は長年にわたって徐々に空洞化してきたが、トランプ氏が米大統領に選ばれたことで、ドイツのメルケル首相のようなベテランの指導者もフランスのマクロン大統領のような新しい指導者も、新しい戦略を探して右往左往している。

米国は北大西洋条約機構(NATO)に懐疑的で、英国は欧州連合(EU)を離脱し、反EU政党が支持を伸ばし続けている。
メルケル氏とマクロン氏は欧州の進むべき最善の道について合意できないようにみえるが、欧州の指導者が変革を求める国民の要求に応えることができなければ、近年欧州の政治を変貌させてきたポピュリスト(大衆迎合)勢力が今後も台頭を続けるだろう。

中東でも形勢が変わりつつある。

トランプ氏はオバマ前米大統領よりロシアのプーチン大統領やトルコのエルドアン大統領、イスラエルのネタニヤフ首相との関係は良好かもしれないが、不安定な状況が続く地域に新たな秩序をもたらすわけではない。

シリアの戦闘地帯では米国やロシア、イラン、トルコ、サウジアラビア、イスラエルの利害は異なり、自らの意志を押し通すのに十分な強さを持つ国はない。

過激派組織「イスラム国」(IS)はわずかしか残っていない領土もいずれ失うとみられるが、今後も新たなメディアのツールを使い、支持者や模倣者、情緒的に不安定な者を感化しようとするだろう。

Gゼロの世界におけるテロの主な問題は、世界の情報機関の間で情報を共有する必要性が認識されるべきなのに、相互不信がサイバー空間の特徴になってしまっていることだ。
Gゼロがこれほど鮮明な分野はほかにない。

自由貿易の旗手はどの国だろうか。

米国は長らく自由貿易を擁護してきたが、太平洋の両側の経済大国を結びつける歴史的規模の合意だった環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱を表明した。
日本の安倍晋三首相の努力にもかかわらず、少なくともトランプ氏が大統領であり続ける限り米国の参加はなさそうだ。

しかしTPPに反対しているのはトランプ氏だけではない。
民主党の大統領候補だったクリントン元国務長官はしぶしぶ、(候補指名を争った)サンダース上院議員は断固としてTPPに反対していた。

トランプ氏はカナダやメキシコとの間に結んでいる北米自由貿易協定(NAFTA)も再交渉を希望すると表明している。
欧州との大規模な貿易協定、環大西洋貿易投資協定(TTIP)は複数の国の反対を受け交渉が停滞する。

中国が貿易の新しいリーダーなのだろうか。

それも違う。
習近平国家主席は今年初め、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で国際貿易を強く擁護して注目を集めた。
しかし中国のほか東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国とオーストラリア、インド、日本、韓国、ニュージーランドが参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)はTPPほど本格的な市場統合をもたらすものではない。
例えばRCEPは投資や知的財産、競争政策についてほとんど言及していない。

そして、中国の広域経済圏構想「一帯一路」だ。
南アジアと中央アジアへ大規模に投資し、アジアと欧州の間の貿易ルートをつくるという極めて野心的なプロジェクトだ。賢明な方法で実施されれば、中国やEU、その間にある貧しい国の多くの経済をかつてなかったほど後押しするだろう。

しかし残念ながら、政治的な理由ではなく経済的な理由で投資が実施される保証はない。
汚職と能力不足が前進を遅らせ、野心をくじき、政治的な紛争につながる可能性がある。

また中国は安全保障の問題に関し、信頼できる指導力を発揮する準備はできていない。
米中が北朝鮮の問題解決に向けて有効な協力ができないことは、東アジアにおいてさえ紛争が貿易に勝利する可能性を示唆している。

世界の火薬庫と「国境を越える問題」は今後も増加を続け、原因となった問題を解決するどころか、管理するための信頼できる協力計画もない。
いまのところ、Gゼロの世界秩序が続くと考えてよさそうだ。

by mnnoblog | 2017-06-28 08:46 | 国際
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  (AFP の画像と記事より)

ロシア各地で12日、ウラジーミル・プーチン政権の汚職に抗議するデモが行われ、野党指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏とその支持者ら1500人以上が当局により身柄を拘束された。

直後に裁判にかけられたナワリヌイ氏はデモを主催した罪で有罪となり、30日間の拘留が言い渡された。

活動家らの拘束状況を記録している非政府組織(NGO)の「OVD-Info」によると、拘束された人の数は首都モスクワで823人、サンクトペテルブルクで推定600人に上った。
同NGOは先に、ウラジオストクやカリーニングラード、ノリリスク、ソチなどの各都市で計100人以上が拘束されたと述べていた。

米国のショーン・スパイサー大統領報道官は、この一斉拘束を非難し、デモ参加者の即時釈放を要請。
ドナルド・トランプ政権がロシアの人権侵害を批判するのはまれだ。

by mnnoblog | 2017-06-13 10:19 | 国際
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  (NEWSWEEKの画像と記事より)

ロシアが、ヨーロッパとアジアの両方で軍事プレゼンスを拡大すると警告している。
米軍が海外で軍備を増強していることに対する対抗措置だという。

NATOは米政府の計画に沿って昨年、バルト3国とポーランドに4つの戦略戦闘グループを配備。
数千人規模の部隊と広範な軍事資源を投じて多国籍軍の防衛力を強化してきた。
ロシアはこれを、ロシア国境にアメリカが既にもつ十分過ぎるほどの軍事インフラに追加するものだとして敵対視している。

NATOの軍備増強は嘘ではないが、それには理由がある。
2014年にロシアがウクライナのクリミアを併合してから、ロシアと国境を接するバルト3国などでロシアの侵攻に対する危機感が強まったのだ。
NATOはロシアのクリミア侵攻を非難したが、ロシアはウクライナ危機からロシア系住民を守るためだったと正当化している。

さらにアジア太平洋地域についても、アメリカの軍事的野心に対抗する用意があるとロシアのウラジーミル・プーチン大統領は言う。

サンクトペテルブルクでの記者会見でプーチンは、日本が返還を求めているクリル諸島(北方領土を含む千島列島)における最近のロシア軍増強の動きは、アメリカのミサイル防衛に対抗するものだと言った。

ロシア政府は長年、アメリカが世界に展開するミサイル防衛網は、潜在的にロシアの核戦力を無効にしかねない脅威だと言ってきた。

ロシアが千島列島に軍事資産を送ると決めたのは、アメリカがまたロシア国境近くにミサイル防衛を食い止めるためだ、とプーチンは言う。

アメリカがアジアとヨーロッパにこれほど高度な防衛力を持つことは到底正当化できないと、プーチンは言う。

プーチンは言う。「状況は悪化している。アメリカは軍拡競争を新たな次元へと押し上げようとしている。ならば我々は対抗措置を考える。ミサイル防衛システムも改善しなければならない。まさに軍拡競争の新ラウンドだ」

by mnnoblog | 2017-06-11 08:32 | 国際
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  (NEWSWEEKの画像と記事より)

<ブレグジット交渉に向けて政権基盤の安定化を図るはずだったメイの思惑は完全に外れた。英与党・保守党の過半数割れで、今後ブレグジットの行方も影響される可能性が>

イギリスのメイ首相が今年4月、2020年に予定されていた総選挙を前倒しで実施することを決めたのは、与党・保守党の支持基盤を強化し、より強いリーダーシップでブレグジット(EU離脱)に向けた交渉を進めたいという思惑があったから。

しかし8日の総選挙は、メイにとって完全にやぶ蛇の結果になってしまった。

保守党は議会下院650議席のうち、改選前の330から316前後へと大きく議席を減らし、下院の単独過半数を失うことが確実になった。
総選挙の前倒しを決めたメイが責任を問われることは避けられない情勢だ。

4月の時点でメイは、今後のブレグジット交渉を念頭に置いて、与党勢力を拡大して政治的に安定した状態で交渉に臨みたいと話していた。
当時の労働党の支持率はかなり低かったので、メイは総選挙で保守党の支持基盤を強化できる自信があったのだろう。

保守党はマニフェストで、高齢者の介護費用を本人が死亡した後の自宅売却でまかなう福祉改革を提案したが、これに対して、残された家族が自宅を手放さなければならならない「認知症税」だという批判が上がった。
そこでメイは、この負担分の上限を設けることで、実質的な政策の「撤回」を余儀なくされた。

これに対してコービンの労働党はマニフェストで、医療サービスへの大規模支出や大学授業料の再無料化といった福祉充実策を並べて有権者の支持を拡大した。

メイは政権安定のために実施した総選挙で保守党の議席を改選前より減らし、単独過半数まで失った。
さらにブレグジットに立ち向かうイギリスの団結も揺らいでいる。
むしろこの選挙で、イギリスが今やそれどころではないことを示してしまった。とんだ計算違いだ。

by mnnoblog | 2017-06-10 08:49 | 国際
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  (日経新聞の記事より)

ハンガリーのオルバン首相の下で日増しに強まる「反リベラル民主主義」は、欧州連合(EU)の価値観と対立するものだ。

同氏はこのほど、海外資金で設立された大学への規制を強化した。
これにより、中・東欧では最高水準の大学院大学で、首都ブダペストにある中央ヨーロッパ大学(CEU)が閉鎖に追い込まれる可能性がある。

CEUは26年前、ハンガリーの共産主義体制が崩壊した後、同国出身の米著名投資家ジョージ・ソロス氏が設立した。
「開かれた社会」の推進者であるソロス氏は、反リベラルのオルバン氏には批判的だ。

オルバン氏は何年も、民主主義と法の支配に逆行する政策をとってきた。
難民を不当に扱い、EUの難民割り当て政策に反対することで、寛容と忍耐というEUの価値観を公然と無視してきた。

ここにきては、ハンガリー政府が進める減税や雇用創出にEUが反対していると非難し、よりあからさまにEUを攻撃しているように見える。

国民にはEU支持が根強い。
ハンガリーはソ連圏の崩壊以降、西側の機関に加盟することで大きな恩恵を受け、国民は欧州大陸全土で働ける権利を享受してきた。

これまで数百億ユーロにのぼるEU補助金を得てきたほか、地域間格差を解消するための多額の「構造基金」も2020年までに受け取ることになっている。

これまで、このやりたい放題の加盟国にEUは毅然と対応してこなかった。
26日、EU欧州委員会のティメルマンス第1副委員長は、ハンガリーの新教育法がEU法に抵触しないか精査するよう命じた。

今後、ハンガリー政府は説明を求められる可能性がある。

一方、ドイツのメルケル首相は、欧州議会の最大勢力で中道右派の欧州人民民主党(EPP)に所属するオルバン氏率いる「フィデス・ハンガリー市民連盟」をEPPから追放する動きを主導すると考えられる。

オルバン氏は16年、移民や難民はEU諸国の寛大な社会福祉と、域内の国境開放を悪用していると主張した。
だが、首相としてオルバン氏自身がEUから貴重な資金を搾り取っている。

オルバン氏の勝手な振る舞いと、東欧全域に広がる「反リベラル」の波を食い止めるため、EUはハンガリーに「罰」を与えなければならない。


by mnnoblog | 2017-05-05 08:28 | 国際

のほほんと---


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