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カテゴリ:国際( 99 )

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  (NEWSWEEKの画像と記事より)

トランプ政権のティラーソン国務長官が来日し、安倍首相、岸田外相と主として北朝鮮問題について会談するようです。

北朝鮮は、安倍=トランプ会談にタイミングを合わせてミサイル発射を行って以降、ミサイル発射を繰り返しています。
しかも発射実験は「在日米軍基地を攻撃する任務を負った部隊」が指揮したなどという発言もあり、日米を同時に挑発しているとしか言いようがありません。

その一方で、クアラルンプールにおいて、金正恩・朝鮮労働党委員長の異母兄である金正男氏が殺害される事件も起きています。

北朝鮮は、死亡したのは別人だと頑強に否定していますが、正男氏は長年中国が北朝鮮のリーダーの代替候補として「温存」していたと言われた人物ですから、金正恩政権が中国などから「政権交替」を迫られるのを防止、あるいは拒否するメッセージとして、殺害に及んだという見方はできます。

そんな中で、韓国では朴槿恵・前大統領が罷免され、5月に出直しの大統領選が行われることとなりました。

後任の大統領は、野党の「共に民主党」系の候補(複数)をはじめとした候補たちの間で争われるわけですが、選挙後に安定した政権ができるのかは不透明な情勢です。

これに加えて、米韓による「高高度ミサイル防衛システム(THAAD)」配備に対して中国が強く反発し、中国と韓国の関係は急速に悪化しています。

このような状況下、日本としては「朝鮮半島有事」に備えなければならないわけですが、その際に最も日本として警戒しなくてはならない点が1つあります。

それは「日本を仮想敵国とする求心力のもとに統一国家が成立する」という事態です。

韓国の人々はその誇りにかけて、再統一時を実現したいと思っている一方で、これを可能にする経済力は韓国には足りないことも痛いほど感じています。
また、仮に実現できずに、不平等な形で北の住民との合邦を行えば、統一後の社会が著しく不安定になることも、長年の検討の結果、韓国の政府や知識人たちは覚悟しています。

仮に、このような北の住民を公平に遇するような「膨大なコストのかかる統一」を実行すれば、現在の韓国の経済では支えられないおそれがあり、せっかく再統一された朝鮮半島は、内部に大きな不安定要因を抱え込むことになります。

そこで、日本を敵視することで国家の求心力、国論の統一を図ろうという為政者が登場する可能性は、残念ながら否定できません。

そうなれば、日本はバランス・オブ・パワーを維持するために、経済的にも政治的にも膨大なコストを払わざるを得ないことになります。

日本国内の世論は割れ、社会も不安定化するかもしれません。
産業の国外流出は加速するでしょう。
経済の停滞に苦しんでいる日本にとっては大きなダメージになります。

そう考えると、日本の戦略としては以下の2点が重要になってきます。


1点は、北朝鮮という国を何とかもう少し維持してもらい、国家の崩壊による性急な統一という悲劇を回避することです。

仮に、今日の時点で統一は不可能、そのように国際社会と韓国が理解しているのであれば、北朝鮮に関しては「何らかの形で安定化」しつつ「緩衝国家として残す」ことが具体策になります。


2点目としては、まず日米が腹を割って話し合い、不必要な米国側から北朝鮮への挑発を止めさせるべきです。

その上で、日米の立場が完全に擦り合わせられたところで、中国を入れて日米中で合意形成を行うことです。

そして、韓国の新政権にもその政策を受け入れてもらわなければなりません。


トランプ政権下のアメリカが極端に内向きになっている現在、日本はよりハッキリした戦略を持って動くべきです。

間違っても、日米中の3カ国が韓国の新政権と良い関係を築けず、韓国を孤立させて北朝鮮に接近させるようなことがあってはなりません。


今後の対韓国外交は、日本にとっても緻密さと粘り強さが求められる特殊な局面になるでしょう。

例えばですが、現時点では駐韓の長嶺大使が一時帰国中ですが、新大統領が決まった時点で間髪を入れずに再赴任して関係修復を図る(もっと早期に戻るという策もありますが)など、事態に対してイニシアティブを取りつつ、戦略的に動くことが重要だと思います。



by mnnoblog | 2017-03-29 08:45 | 国際

不確実性増す欧州情勢

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  (ロイターの画像と記事より)

英国は今週、EU基本条約(リスボン条約)第50条を発動させ、欧州連合(EU)離脱に向けた第1歩を踏み出す。
その後、スコットランドの独立を巡る2回目の住民投票も行なわれるだろう。
今や、北アイルランドが英国を離脱して、アイルランド共和国と合流する可能性さえゼロではないという憶測が広がっている。

15日のオランダ総選挙では、ヘルト・ウィルダース党首率いる極右政党の自由党が最も多くの票を獲得する可能性がある。
主流派寄りの政党連立により政権獲得は阻まれるだろうが。

フランスでも、マリーヌ・ルペン党首の極右政党・国民戦線が、4月23日に行なわれる大統領選挙の第1回投票において第2位となることはほぼ確実だ。
ただし5月7日の第2回投票では中道派のエマニュエル・マクロン前経済相がルペン党首を破る公算が大きい。

東方、北方の欧州各国は、自己主張を強めるロシアへの懸念が広がっている。
今月、スウェーデンは2010年にいったん廃止された徴兵制の復活を発表した。
想定されるロシアからの脅威に対する防衛力強化が狙いだ。

フィンランドはハイブリッド戦争への反撃を狙いとする軍事演習を実施している。
バルト海沿岸諸国では、北大西洋条約機構(NATO)が冷戦期以来となる最大規模で部隊を配備している。

欧州統一通貨であるユーロ危機も解消していない。
実際、2008年の金融危機以来、悪戦苦闘を続けてきたユーロは、今や新たな不安定期に入りつつあるかもしれない。

早ければ6月にも予想されるイタリアの選挙において、ユーロ圏残留に批判的な政党に権力バランスが傾いたとしても不思議はない。
長年続く低成長と失業増大がユーロのせいだと考えるイタリア国民は多い。

とはいえ現状否定派が予想するほど、あらゆるものが急速に崩壊しているわけではない。

ドイツでは、なるほど極右政党の「ドイツのための選択肢」が、強い不満を抱えた旧東独地域を中心に急速に成長している。
だが、同党が9月の連邦選挙において確かな政治権力をつかむ可能性は依然として低い。

これは、欧州の極右がどれほど苦戦しているかを思い起こさせる。
確かに、英労働党の長引く苦境など、欧州の左派は依然として混乱している。
それても、本格的な右派と呼べる政権が支配する国は、欧州ではハンガリーとポーランドだけだ。
その2カ国の右派政権でさえ、往々にして、多くの人が楽勝と考えていた戦いで苦戦してきたのである。

欧州は解体しつつあるわけではないにせよ、半恒久的な危機状態にあるように見える。

問題の大半はリーダーシップにあるように思われる。
国家と地域の双方レベルで、欧州指導者は、信頼性、支持率、そして(最悪なことに)政治的な正統性という点で危機に直面しているように見える。

ロシアのプーチン大統領は、こうした欧州の不安定な状態に喜び勇んでつけ込んでくるだろう。

欧州と米国双方の国家安全保障部門の主流派には、ロシアによるシリア介入は、部分的には、難民危機を煽ることで欧州政界をギリギリまで圧迫しようという意図によるものだという考えが多く見られる。

米国の情勢は、こうした欧州の不確実性に拍車をかけたと言える。
トランプ大統領が先月、ロイターとのインタビューで、EUとその機構に対する支持を表明したことは、一部の欧州ウォッチャーを驚かせた。

米国外交担当者の主流派の多くはこうした見解を共有している。
欧州解体がもたらす結果を恐れているだけかもしれないが。
しかし、トランプ大統領の周辺には、特にスティーブ・バノン首席戦略官などのイデオロギー信奉者のように、EUを自分の世界観における邪魔者と見なして、その失敗を心待ちにする者もいる。

ロッテルダムでのトルコ系住民集会に参加しようとしたトルコ閣僚の入国をオランダ政府が拒否したことで、トルコとオランダ両政府の対立は激化している。
トルコのエルドアン大統領はオランダ政府をナチスに例えるまで関係が悪化しているが、これによりオランダ総選挙でのウィルダース自由党党首への支持はいっそう高まると見られている。

真の問題は、こうした話が完全に自己実現的なものになるかどうかだ。
今のところ、欧州の機構には明らかな崩壊の兆しが見られる。
だがその抵抗力は、少なくともこれまでのところは、依然として印象的だ。

現在、圧力を受けているEUやNATO、統一通貨、及び各国の基本的な政治制度や仕組みは、不完全なものだ。
だが、いくつか目をみはるような成果も挙げてきた。
特に60年以上にわたって欧州大陸で平和を維持したこと、そして(少なくとも、大体において)効果的な福祉と人権を住民に与えてきたことである。

欧州のリベラルな民主主義は、往々にして偽善的であり、ときには無力だ。
だが、EU諸国の市民はおおむね、ここ数十年にわたって、特に国家権力の暴走など、いくつかの非常に悪い事態を味わうことなく過ごしてきた。

欧州は確かに、他者を暖かく迎え入れる大陸ではなくなりつつある。
特にセルビアなどEUの境界に位置する国で厳しくなる一方の状況に置かれている難民はそれに気づいている。

状況がこの先どうなっていくかは予想しがたい。
欧州統合の仕組みが最善の希望ではあるが、各国が自らを防衛するという点において独自の動きをとるとしても、それを責めることはできない。

欧州は何とかして、事態が見かけほど悪くはないことを自らに納得させ、今後に向けて何か楽観的な針路を見つけなければならない。
さもなければ、誰も思い描きたくないほどひどい状況へと陥っていく恐れがある。


by mnnoblog | 2017-03-16 08:45 | 国際
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  (日経新聞の画像と記事より)

韓国の憲法裁判所は10日、国会が可決した朴槿恵(パク・クネ)大統領の弾劾訴追を妥当と認定し、大統領は即時失職した。

朴氏が友人に便宜を図った行為を法治主権違反と認定した。
大統領の罷免は韓国の憲政史上初めて。

5月に大統領選を実施し、次の大統領を決める。
それまで黄教安(ファン・ギョアン)首相が大統領代行を続けるが、韓国は外交や安全保障などで課題が山積しており政情混迷が一段と深まりそうだ。

弾劾は憲法裁判官8人の全員一致で認定した。

憲法裁は、朴氏が友人の崔順実(チェ・スンシル)被告の利益のために大統領の地位と権限を乱用したと認定した。
崔被告が実質支配した財団の資金集めに朴氏が協力し企業の財産権と経営の自由を侵害したほか、国家機密を含む大統領文書を流出させた行為が国家公務員法の守秘義務違反にあたるとした。

李貞美(イ・ジョンミ)所長代行は弾劾認定の理由について「大統領の行為は否定的な影響が重大だ。
罷免することで得られる憲法守護の利益が圧倒的に大きい。
大統領の違憲・違法行為は国民の信任に対する裏切りにあたる」と説明した。

韓国憲法は大統領が罷免された場合、60日以内に大統領選を実施すると定めている。
直近の世論調査では、革新系の最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)前代表が、次期大統領を巡る支持率で他の候補を大きくリードする。


by mnnoblog | 2017-03-10 12:54 | 国際
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  (Newsweek の画像と記事より)

弾道ミサイル4発を日本海に向けて発射した北朝鮮だが、対するトランプ米政権では「あらゆるオプション」を検討しているという。
その中には、韓国に戦術核兵器を再配備するというショッキングな戦略も含まれていた。

まだ検討段階であり、現時点では実現する可能性は低いと見るべきだが、それでもショッキングな話である。

戦術核兵器は、戦場において通常兵器の延長として使用することが想定されているものだ。
大陸間弾道ミサイル(ICBM)など、敵国の人口密集地や産業集積地、軍事施設の壊滅を狙う戦略核兵器は、使ったらたちまち全面核戦争になり、人類が存亡の危機に立たされる。
だから、使うに使えない。
そこで、よりコンパクトな「使える核兵器」として開発されたのが、戦術核兵器なのである。

では、このような物騒なシロモノを韓国から北朝鮮に向けることで、金正恩体制の核開発を抑え込むことはできるのだろうか。
筆者は、難しいと考える。

まず、中国とロシアが猛反発するだろう。
とくに中国は、米韓が北の弾道ミサイルに対抗して最新鋭高高度迎撃システム「THAAD(サード)」を在韓米軍に配備しようとしていることに激怒。
自国における韓国企業のビジネスや中国人の韓国観光を妨害するなど、実質的な「経済制裁」に動き出している。
戦術核兵器の韓国配備となれば、反発の強さはこの比ではないだろう。

そうなれば、国連安全保障理事会の足並みは大きく乱れ、対北朝鮮制裁の網に次々と穴が開くことになるはずだ。

次に、韓国社会は「核戦争」の心理的負担に耐えられるのか。
2015年8月、自国兵士が北朝鮮の仕掛けた地雷に吹き飛ばされる様を見せつけられた韓国の世論には、「一戦も辞さず」との気分が少なからずあった。

ただしそれは、北朝鮮の核・ミサイル開発が2016年に大きく進展する前のことであり、朴槿恵政権がスキャンダルに瓦解し、政治が国民の信頼を失う前のことだった。

国論が完全に分断された状況下で、韓国の政治が戦争を、それも核戦争を想定することなどとうてい不可能だ。

ここで認識しておくべきなのは、われわれが暮らす民主主義国家と、北朝鮮のような独裁国家の違いである。
韓国に戦術核兵器を配備しよう、などという計画が動き出したら、多くの人々が激しく反発し、大規模なデモで社会が騒然とするかもしれない。

しかし、独裁国家は民主主義国家と異なり、国民の合意など必要とせず独裁者のトップダウンで動くから、より極端な行動に出るのが容易なのである。
ということは、破滅的な「核の先制パンチ」を繰り出すのも、独裁国家である可能性が高くなる。

冒頭で触れたニューヨークタイムズの記事によれば、米国のオバマ前政権はサイバー攻撃を駆使し、北朝鮮の弾道ミサイルを無能力化する取り組みに途中まで成功したという。
しかし、結果的には失敗した。
外科的な方法で北朝鮮の核・ミサイル開発を挫く余地は、ほとんどなくなっているのだ。

残された方法は、北朝鮮の体制を変更するということだ。
それも内部からの変化によってである。
そのように言うことができるのは、文字通り命がけで外国の情報と接しつつ、北朝鮮国民がその内面で起こしている自由への意識の変化が、近年の北朝鮮情勢における(我々の側にとっての)唯一肯定的な変化だからだ。

そのために、関係各国にできることはたくさんある。
たとえば、中国当局が北朝鮮に協力し、脱北者を強制送還するのを止めさせることだ。

それをするだけで、北朝鮮国民と外部世界との接点が増えて、北朝鮮国内の変化を誘う余地も大きくなる。

もちろん、北朝鮮国内に変化を起こすのは大変な取り組みだ。
時間も予算もかかる。
しかし日米韓などの主要国は、現実的に言って金正恩体制と戦争も出来ず取引も出来ない状況にある。
ならば国内の変化の誘発はいずれやるべきことなのだから、どうせなら今すぐ始めた方が良いだろう。


by mnnoblog | 2017-03-08 08:13 | 国際
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  (ロイターの画像と記事より)

年金生活者のディミトラさんは、食料配給に頼る生活にまで落ちぶれるとは想像もしていなかった。
今月は、コメ、パスタ2袋、ひよこ豆1パック、デーツ(ナツメヤシ)と牛乳1缶を受け取った。

かつては赤十字の給食施設で生活困窮者の支援に当たっていた73歳のディミトラさんは、ギリシャで増加している生活困窮者の1人だ。

数十億ユーロを投じたギリシャ救済から7年、貧困の状況はまったく改善されていないどころか、欧州連合(EU)のどの国よりも悪化している。

ローバル金融危機とその副次的な影響により、ユーロ圏の4カ国は国際融資団に頼らざるをえなくなった。
アイルランド、ポルトガル、キプロスはいずれも救済を受けたが、救済が終わった後、これら諸国の経済は成長を再開した。

だが2010年にいち早く救済を受けたギリシャは、その後も3次にわたる救済を必要とした。

EUと国際通貨基金(IMF)が供給した救済資金により、ギリシャは破綻を免れたが、国際債権団が課した条件である財政緊縮や改革政策の影響もあって、景気後退は本格的な不況へと転じてしまった。

世論調査での支持が低迷する左派主導政権を率いるギリシャのチプラス首相は、追加支援に反対している債権団との長期交渉の最新段階において、ギリシャ国民の苦境を大義名分にしようと試みた。

「欧州の名の下に略奪を受けた国家に対して、そしてこれほど多くの犠牲を払い、今も払い続けている国民に対して、私たちは皆、注意を払わなければならない」とチプラス首相は今月語った。

巨額の救済資金の多くは、過去の債務の返済に充てるための新規債務という形になっている。
だが、生活水準の崩壊の責任は誰にあるかはさておき、EU統計局からの貧困状況を示す数値には驚かされる。

ギリシャはEU内の最貧国ではない。
貧困率はブルガリアとルーマニアの方が高い。
ギリシャは、この2国からさほど差のない第3位にある。
EU統計局のデータによれば2015年、ギリシャ全人口の22.2%が「物質的に深刻に困窮」している。

また、世界金融危機が発生した2008年以降、旧共産圏のバルカン諸国において貧困率の数値が低下している(ルーマニアの場合は約3分の1低下した)のに対して、ギリシャの貧困率はほぼ2倍に上昇した。
この時期、EU全体の水準は8.5%から8.1%に低下している。

こうした統計が示す状況は、ディミトラさんが毎月の配給を受けるアテネが運営するフードバンク(無料給食施設)のような場所に色濃く反映されている。

ここでは、何十人ものギリシャ国民が、配給を受けるためのチケットを握りしめて粛然と待っている。

皆、月約370ユーロという貧困ライン以下の生活にあると登録された人々だ。


このフードバンクの登録者は約1万1000世帯(約2万6000人)で、2012年のわずか2500世帯、2014年の6000世帯から大幅に増加している。

約5000人は子どもだ。


ここにある倉庫の棚や冷蔵庫の多くは空だ。フードバンクによる配給の内容は支援企業からの寄付次第だが、これらの企業もやはり経営に苦しんでいる場合が多い。


経済開発協力機構(OECD)などの国際機関は、ギリシャ政府に対し、貧困や格差対策を優先するよう促している。


失業率はピーク時の28%から23%へとわずかに低下したが、依然としてEU内で最悪の水準に留まっている。

危機が始まって以来、ギリシャ経済は4分の3の規模に縮小し、何千社もの企業が倒産した。


今年は経済が上向くのではないかという期待が強いものの、先週発表されたデータでは、2四半期連続で成長が続いたあと、10─12月期には再び後退に転じた。

生活水準の改善となると、これまで以上に遠い夢だ。


経営者団体のGSEVEE及び世論調査会社マルクの調査結果によれば、昨年は75%以上の世帯で所得が大幅に減少した。

少なくとも1人の失業者を抱える世帯は全体の3分の1、食費を削らざるを得なかったと回答した世帯は40%に及んだ。


グリーク・オンブズマンによれば、水道・光熱費の支払いに苦しむ人の数が増えているという。


「誰もが苦しんでいる。すべてのギリシャ人が」。

ギリシャ正教会が運営する給食施設でボランティアとして働く61歳の元教師Eva Agkisalakiさんはそう漏らす。


彼女には年金受給資格がない。救済プログラムに基づいて定年退職年齢が67歳に引き上げられたときに契約が切れており、次の仕事を見つけられなかったからだという。

やはり国際債権団が要求する改革に基づいて、夫の年金は980ユーロから600ユーロに削減されたが、その一部は息子や娘の家庭への仕送りに回している。


ボランティアの見返りとして、彼女は給食施設からの配給を受け取り、それを失業中の娘や息子と分け合っている。


「私たちは何もしていない」。

「ただ生きているというだけ。ほとんどのギリシャ人は、ただ生きているだけだ」と彼女は語った。



by mnnoblog | 2017-03-06 08:10 | 国際
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  (現代ビジネスの記事より)

クアラルンプール空港での「金正男暗殺事件」は、2月13日の発生から2週間余りを経て、北朝鮮・マレーシア間の国際問題に発展している。
このまま対立が続けば、これまで蜜月関係を築いてきた両国が、国交断絶にもなりかねない情勢だ。

だが実際には、北朝鮮とマレーシアという「小国」のバックには、アメリカと中国という「大国」が控えている。
そして「小国同士の戦い」の舞台裏では、米中両大国の激しい神経戦が展開されているのである。

例えば、今回の事件捜査に関して、マレーシア警察の手際の良さが際立っている。
それは、アメリカが多くの捜査情報を提供し、捜査のお膳立てをしてあげているからである。

現在キーパーソンになっているのが、金正男氏の息子である金ハンソル氏(21歳)である。

アメリカは、マレーシアをバックアップするという名目で、軍の輸送機をマカオまで飛ばして、ハンソル氏をクアラルンプールまで連れて来ようとしているという。

金正男暗殺事件に関して、アメリカがそこまでマレーシアに肩入れする目的は、主に二つある。

第一に、金正恩政権の転覆を視野に入れているからである。

アメリカで対北朝鮮外交を主導しているのは、ダニエル・ラッセル国務次官補である。
ラッセル次官補は、昨年12月17日に来日し、「トランプ政権になったら金正恩政権の転覆もオプションの一つになる」と、日本政府側に通告している。

北朝鮮問題に関しては、アメリカ国内で北朝鮮が2月12日に中距離弾道ミサイル「北極星2号」の発射実験を行ったこともあって、2008年に解除した「テロ指定国家」を9年ぶりに復活させるべきだとの声も上がっている。

アメリカが北朝鮮空爆を検討する場合、最も重要なのは、中国をいかに説得するかである。

ティラーソン国務長官は、2月17日にドイツのG20外相会合の場で行った王毅外相との初会談で、北朝鮮問題に多くの時間を費やした。

王毅外相も楊潔篪国務委員も、ティラーソン国務長官に対して、朝鮮半島の非核化、地域の安定、対話と交渉による解決という北朝鮮問題に関する「中国の3原則」を繰り返した。

第二に、中国には経済的観点から見ても、北朝鮮有事を誘発しやすい材料がある。
それは、中朝国境の遼寧省と吉林省の経済の沈滞である。

この両省では、鉄鋼業と石炭産業が盛んで、2016年現在で、遼寧省には670社、吉林省には186社もの石炭採掘会社がある。
これらの会社の多くが、未曽有の不景気に苦しんでいる。

両省が不景気に苦しむ理由の一つが、北朝鮮から安価で良質な石炭が、中国市場に大量に流れ込んでくるからである。

中国商務部と税関総署は、2月18日についに、「今年いっぱいの北朝鮮産石炭の輸入を禁じる」という「第12号通達」を発表した。

第三に、習近平主席自身も、いつの日か自らが「3原則」を破る可能性がある。

習近平主席は、今年後半に、5年に一度の中国共産党大会を控えている。
習主席はそこで、国内の権力を完全に掌握したいと考えている。
それには外部に向けて何らかの「アクション」を起こすのが一番だ。

つまり、「共に悪の金正恩を倒そうではないか」と囁くトランプ大統領の提案に応じる機運が整いつつあるのだ。

中国がアメリカと組んで金正恩政権を転覆させるという、いわゆる「北朝鮮生贄論」は、習近平政権内部で一度、検討されたことがあった。
それは北朝鮮が4度目の核実験を強行した昨年1月のことだ。

それまでは、北朝鮮はアメリカ軍が鴨緑江まで押し寄せるのを食い止める屏風のようなものだという「北朝鮮屏風論」や、北朝鮮は中国に代わってアメリカに対して吠えまくってくれるという「北朝鮮番犬論」などが、伝統的な考えだった。
それとはまったく異なる戦略が、昨年年初に俎上に上ったのである。

だが、アメリカが昨年2月7日に、韓国へのTHAAD配備の検討を開始すると宣言したことで、この「北朝鮮生贄論」は沙汰止みとなった。

それでもトランプ政権が、THAAD配備を中止するのなら、「北朝鮮生贄論」は十分復活の可能性があるのだ。

それではもしも今後、米中が共同戦線を張って金正恩政権を転覆させるとなれば、その後の北朝鮮はどうなるのか?

戦後アメリカが、世界中で幾多の政権を転覆させてきたパターンから推測すると、1948年の建国以来、一貫して北朝鮮を統治してきた金王朝の血族の誰かをトップに擁立する可能性が高い。
そのほうが、1800万北朝鮮国民が動揺しないからだ。

そのためアメリカは、金正恩政権転覆の第一段階として、まずは金正男氏をアメリカか韓国に亡命させることを画策していた。
逆に北朝鮮からすれば、金正男氏に亡命されては万事休すなので、その前に刺客を送って亡き者にしたのである。
その意味で米朝戦争は、事実上すでに始まっているのだ。

ハンソル氏は2012年、フィンランド公営テレビとのインタビューで、叔父の金正恩委員長を「独裁者」と呼び、「将来は南北の統一に貢献したい」と述べている。
そのため政治学を専攻し、昨年秋には英オックスフォード大学への留学が決まっていたが、北朝鮮による暗殺を恐れて断念したと報じられている。

それならばアメリカとしては、ハンソル氏を安全なアメリカの名門大学へ留学させることで、将来の北朝鮮のトップ候補として養成できるわけだ。

こうした思惑があるからこそ、アメリカは金ハンソル氏のマレーシア行きにこだわっているのである。
世界がマレーシアを注視しているいまこそ、ハンソル氏に「外交デビュー」させたいのだ。

だがあいにく、現在ハンソル氏が暮らすのはマカオである。
つまり、ハンソル氏の身柄を確保しているのは、中国なのである。

中国としては、おいそれとハンソル氏をマレーシアに送ることはできない。
ハンソル氏がマレーシアへ行けば、この先の北朝鮮問題が、アメリカ主導で進んでしまうからだ。

そのため中国は、「身の安全を確保する」という大義名分で、ハンソル氏を事実上の軟禁状態においている。

思えば、いまから100年ほど前に第一次世界大戦が勃発したきっかけは、サラエボでオーストリアの皇太子が暗殺されたことだった。
今回の金正男暗殺事件も、米中両大国の思惑が交錯し、アジアに大きな波紋を広げるリスクを抱えている。


by mnnoblog | 2017-03-04 08:04 | 国際
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  (PRESIDENT Online の記事より)

北朝鮮は長年、「やがて体制が崩壊する」といわれ続けてきた。
しかし朝鮮戦争から半世紀以上経った今も国家として存続している。

韓国は憲法で、自国の領土を朝鮮半島全域と規定している。
韓国にとって北朝鮮は国家ではなく、韓国内にあって韓国領土の一部を不当に占拠しているインサージェンシー(反政府団体)なのである。

「敵はやがて崩壊する」と主張しているのは、北朝鮮もまったく同じ。
「資本主義の韓国では貧しい民衆の権利は守られず、迫害された大衆はやがて革命を成功させ、我々に合流するであろう」と喧伝しているのだ。
韓国と同様、北朝鮮もまた朝鮮半島全域を自国の領土と規定している。
北朝鮮側から見れば、韓国政府こそ消滅させるべきインサージェンシーである。

北朝鮮が今、崩壊していないのは、崩壊する理由がないからである。

よく「北朝鮮は経済が悪化して崩壊する」という人がいるが、約20年前、食料供給体制が崩壊して餓死者が相次いだ時代でさえ、その支配体制は揺るがなかった。
そもそも経済の不振が理由で国家が崩壊するなら、アフリカの貧困国はとっくに崩壊して存在していないはずだ。

「北朝鮮で軍事クーデターが起きて、金正恩政権が倒れるのでは」と予測する人もいるが、その可能性は低い。
実は、北朝鮮軍には党に逆らわないための安全装置が付いている。

それが「政治委員」による二元指揮制度、2つの命令系統の存在である。
一般の軍の将校のほかに、党から派遣された政治委員が各部隊に配置され、軍の将校のみならず、政治委員が命令書にサインしない限り、部隊を動かせないシステムになっているのだ。

これは北朝鮮に限らず、旧ソ連や中国など革命で政権を奪取した国の軍隊にはよく見られるクーデター防止システムであり、北朝鮮では朝鮮戦争後に導入され、組織内で粛清を重ねるたびにその権力を増してきた。

たとえクーデターで金政権が倒れたとしても、新たな政権が北朝鮮に誕生するだけで、北朝鮮という国家そのものが消滅することはない。

そもそも国家は、戦争以外のどんな状況で“崩壊”するのだろうか。

経済と国家の安定性の関係については、研究者の間でも明確な答えは出ていない。
「産業化で急速に経済発展した国では、政権が倒れやすい傾向があった」ということぐらい。あくまでも「傾向」である。

目ぼしい産業がなかった国で工業化が進むと、労働人口が農村から都市周辺に大量に移動し、人々の教育水準も上がる。
それによって従来の統治体制がうまく機能しなくなり、デモやクーデターが発生して政権の崩壊に至る……というパターンが多くみられた。
が、インドや中国を見れば、経済発展が政権崩壊に直結するわけではないことは明らかだ。

「経済が発展すると民主化が進む」と主張する者もいるが、これとて現実には双方が比例関係にあるわけでは決してない。
シンガポールやカタール、UAE、クウェートなど1人当たりGDPが日本より高い国でも、政治制度は必ずしも民主的ではないし、10年以降の「アラブの春」による動乱で民主化したといえる国は、チュニジアのみである。

このように、経済発展の程度と国家の安定性の間には、さしたる因果関係が見当たらないのである。

日本としては当分の間、現体制が継続するという前提で対北朝鮮政策を考えねばならない。

すると今、一番気になるのは、北朝鮮の核兵器とミサイルの存在だ。

現在の北朝鮮にとって、核兵器とミサイルは自国の安全保障上、不可欠のものである。
去年1月の水爆実験後、韓国との南北共同の工業団地「開城工業地区」が封鎖されたが、いかに厳しい経済制裁を科されても、北朝鮮がこれらを手放すことは、まず考えられない。
国民の負担がいかに増えようとも、国家が消滅するよりはましであるからだ。

互いに相手を滅すべき存在と見なす両国の間には、常に戦争の危険性がある。
南北どちらも「平和的統一」を唱えてはいるが、武力統一の可能性も排除していない。
双方の違いは、「外国を交えず民族間で統一するのが正しい道筋」と主張する北朝鮮に対し、韓国側はできうる限り米国を巻き込もうとしていることだ。

韓国と北朝鮮が開戦した場合、在韓米軍基地があるため、米国も戦争に巻き込まれる可能性が高い。
日本政府も支援を求められることになるかもしれない。
この状況を北朝鮮側から見れば、日本も米国も韓国政府という傀儡政権を後押しする敵国である。

そこで核兵器とミサイルの存在が問題になる。

仮にミサイルに搭載した核爆弾が、40キロ以上の上空で爆発しても、周辺の電子機器は一切使用不能になり、付近を飛行中の航空機は全滅するともいわれる。
地上でも信号機が動かなくなるなど大きな混乱が起きるだろう。これを高高度電磁パルス攻撃という。

もちろん核兵器は最終兵器であって、北朝鮮もそう簡単には使わないだろう。
仮に米国に対して核兵器を使えば、核による報復を覚悟しなければならない。
しかし国家として滅亡寸前に追い込まれれば、使う可能性はある。
そうなると米国といえど、うかつには北朝鮮を攻撃できない。これが核兵器の抑止力である。

そうした事態を防ぐためには、日本が北朝鮮のミサイルを迎撃する能力を備えたうえで、「北朝鮮から米国に向けたミサイルが発射されたら、日本政府は必ずその迎撃を命ずるだろう」と信じてもらうことが必要だ。
日本にとっては、米国からの信頼を確保し、日米同盟を確実に履行してもらうことが、自国の安全保障上、死活的な問題となる。


by mnnoblog | 2017-02-27 08:33 | 国際
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  (NHK NEWS WEB の記事より)

中国政府は、北朝鮮に対する国連安全保障理事会の制裁決議に基づく措置として、19日から、今年いっぱい、北朝鮮からの石炭の輸入を停止すると発表した。


中国が去年1年間に北朝鮮から輸入した石炭は、総額で11億8000万ドルに上がりましたが、新たな制裁決議では年間の輸入額について、4億ドルの上限が設けられている。

北朝鮮を巡っては、今月17日の米中外相会談で、米のティラーソン国務長官が中国の王毅外相に、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮を、あらゆる手段を尽くして制止するよう求めた。


by mnnoblog | 2017-02-22 08:05 | 国際
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  (Business Journal の画像と記事より)

北朝鮮金正恩・朝鮮労働党委員長の異母兄である金正男氏(45)がマレーシアで何者かによって殺害されたが、すでに伝えられているように、それが北朝鮮の女性工作員の仕業であれば、中国と北朝鮮の関係破綻は決定的だ。

少なくとも、金正日指導部までは、中朝両国は互いに「血で固められた友誼」という友好関係を強調していたが、金正恩指導部の発足後、そのような言葉は鳴りを潜め、中国の習近平国家主席と金正恩の相互訪問も実現していないという、極めて異常な関係に陥っているだけに、場合によっては、中国が今後、金正恩政権の転覆を画策しても不思議ではないだろう。

なぜならば、正男氏がクアラルンプール空港から向かおうとしていたのが中国領のマカオであり、そうであるならば、正男氏は中国の賓客といってもよい。
正男氏はこれまでもマカオで頻繁に目撃され、妻ら家族とマカオに住んでいるともいわれており、これは正男氏が中国の庇護下にあることを物語っている。

韓国の情報機関、国家情報院(国情院)は15日、「中国が(北朝鮮の)金正男氏の身辺を保護していた」と明らかにしており、「第3国で」とはいえ、中国の賓客がむざむざ殺害されたことで、中国の習近平指導部が「メンツをつぶされた」と考えても不思議ではなく、北朝鮮指導部に報復してもおかしくない。

しかも、北朝鮮による正男氏暗殺計画は初めてではない。
北朝鮮の特務組織である偵察総局が2010年、北京に滞在中の金正男氏を暗殺するために工作員を送り、交通事故にみせかけて正男氏を暗殺しようとしたが、正男氏を警護していた中国当局によって未然に防がれた。

その際、中国当局が北朝鮮側に「中国国内ではそんなことをするな」と警告し、強い不快感を表明したと伝えられる。
その後、中国国内での北朝鮮工作員の暗躍は収まったようだ。

とはいえ、国情院は「北朝鮮は5年前から(何度か)暗殺を試みていた」と指摘しており、金正恩指導部が中国側の警告を無視していたことを明らかにしている。

金正恩氏が最高指導者に就任してから、中国の度重なる警告にもかかわらず、北朝鮮は核実験や実質的なミサイル発射実験を繰り返しており、中国政府は米国政府と共同歩調をとって、国連での制裁決議に賛成し、北朝鮮に制裁を課すという従来ではまったく考えられない行動をとるようになっている。

共同通信によると、中国人民解放軍の作戦専門家が軍事演習に関する最近の文書で、北朝鮮を米国に次ぐ「中国の脅威」と位置付けている。
共同通信は「北朝鮮は外交的には依然、中国の『友好国』だが、核・ミサイル開発などにより軍事的には『仮想敵』に匹敵する脅威と見なしていることを示唆している」と伝えているのだ。

かつて筆者は中国の外交専門家にインタビューした際、中国の核心的利益について質問したことがある。


この専門家は「核心的利益は3つある。1つは主権・領土問題。2番目は中国の国家体制、政治体制の護持。つまり、共産党一党独裁体制の堅持。3番目が経済発展の継続だ」と答えてくれた。


「とくに、北朝鮮の金正恩指導部が核心的利益を損なう可能性がある。それは朝鮮半島を戦火にさらして、中国の平和的環境を破り、経済発展が持続できなくなるからだ」と指摘した。


それが、今回の正男氏の暗殺によって現実味を帯びつつあるだけに、金正恩指導部による中国への対応次第では、中国人民解放軍による北朝鮮侵攻の可能性も皆無とはいえないだろう。


それほど、中朝間の関係は悪化しており、今回の正男氏暗殺によって、その危険性はいっそう高まっているのである。



by mnnoblog | 2017-02-20 08:09 | 国際

真実と嘘とトランプ政権

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  (JBpress の画像と記事より)

ドナルド・トランプ大統領の就任式に集まった群衆の数についてホワイトハウスが虚偽の発表を行ったと報じたとき、英国放送協会(BBC)の記者は笑っていた。
だが、ここは泣くべきだった。
我々が目撃しているのは、米国政府の信用が音を立てて崩れていく事態にほかならないからだ。

みえみえの嘘をホワイトハウスがばらまいているこの光景は、米国の民主主義にとって悲劇である。
世界のほかの国々、とりわけ米国の同盟国も恐ろしい気持ちになるはずだ。

「大きな嘘」をつくことにすっかり慣れてしまっているトランプ政権は、世界の安全保障に非常に危険な影響を及ぼすからだ。

英国の報道番組制作会社ITNのワシントン特派員、ロバート・ムーア氏が述べているように、「もしもホワイトハウスの報道官が明らかに虚偽だと分かることを言っているとしたら、北朝鮮やロシア、イランについて、さらにはISIS(イスラム国)との戦争について報道官が言うことをどうして信用できるだろうか」。

これは極めて重大な問いかけだ。
どの米国大統領の任期中にも国際的な危機は起こる。
激しやすく攻撃的な新大統領の気質を考えると、トランプ政権はとりわけ危機に見舞われやすいだろう。

国際的な対立が生じそうになると同盟国に支援を求めるのが、米国のこれまでのパターンだった。
国連の会議場でそうすることもあるし、戦場でそうすることさえある。
だが、トランプ時代に入って、大統領やその側近の言うことを同盟国が信じられなくなってしまったら、米国はそうした支援をどうやって得るのだろうか。

確かに、米国の発言の信用度は、2003年のイラク侵攻後に大量破壊兵器を見つけられなかったことによって著しく損なわれた。
しかしそれでも友好国のほとんどは、米国が戦争を正当化するためにわざと嘘をついたとは考えず、誤った情報に基づいて行動してしまったのだと信じた。

イラク戦争以降は、オバマ政権が米国政府の信用を回復しようと大変な努力をしてきた。
トランプ氏はわずか数日間で、こうした取り組みをすべて台無しにしている。

同氏の不正直さは、ジョージ・W・ブッシュ政権のディック・チェイニー副大統領のような過去の悪漢のそれとは種類が異なる。
トランプ氏の嘘はあまりにも回数が多く、あまりにもあからさまなので、否定しようがないのだ。

一部には、就任式の観衆の規模や諜報機関とのもめ事についての嘘は「小さな」嘘でしかなく、戦争と平和という重大な問題についてのトランプ政権の信頼性には必ずしも影響しない、などと捨て鉢に論じる人もいるかもしれない。

しかしその見方は、トランプ氏の政治家としての活動が最初から虚偽まみれであることを無視している。
同氏の活動は、オバマ大統領は米国生まれではないという嘘を土台にして始まり、そこから続いているのだ。

もしトランプ政権が米国の信用を失墜させてしまったら、同政権はロシア政府と中国政府に歴史的な大勝利をもたらすことになるだろう。

かつての冷戦は、経済力や軍事力だけでなく真実についての戦いでもあった。
ソビエト連邦が最終的に崩壊した理由の1つは、嘘を土台にした体制であることがあまりにも明白だったからだ。

現代のロシアは、そのときよりも高度な不正直さを取り入れている。
ウラジーミル・プーチン大統領率いるロシア政府は、すべて分かっているのだと言わんばかりに、嘘をついたり改ざんしたりすることは誰でもやっているとか、ホワイトハウスもクレムリンと何ら変わらないなどと主張している。
ロシアはこの戦略でいくらかの進歩を遂げた。

ただ、これには明らかな限界もある。
2014年にウクライナの上空でマレーシア航空17便を撃ち落とすのに使われたのがロシアの兵器だという指摘を否定したものの、人々を納得させることができず、諸外国から追加的な経済制裁を受けることになった。

だが、国際的な危機が将来発生し、そこで起こった出来事の正しい説明はどれなのかという争いが起きても、世界のほかの国々は、プーチン氏のロシアよりもトランプ氏の米国の方を信じようという気にはもうならないかもしれない。

ホワイトハウスに嘘つきがいるということは、世界の安全保障にとってだけでなく、世界中の民主主義という大義にとっても災難だ。

今まで、ロシア、中国、そのほかの権威主義的な体制が支配する国々の反体制派は、真実を求めて孤独で危険な戦いすることができた。
また、もっと良いやり方があるという実証を西側諸国に求めることができた。
嘘をつくのは標準的なことではない、「真実が我々を自由にしてくれる」と論じることもできた。

だが、トランプ氏の就任演説では、自由(フリーダム)という言葉がほとんど登場しなかった。
おまけに、現大統領は明らかに、真実というものに無関心だ。
政治における標準的な正直さのために立ち上がることをトランプ政権に期待できないとしたら、世界はどの国を頼りにすればよいのだろうか。

アンゲラ・メルケル首相率いるドイツ政府だけでは力不足だ。
英国は、米国との貿易協定締結に躍起になるあまり、トランプ氏との関係を損なう恐れのある行動を取れなくなるかもしれない。
実際、テリーザ・メイ首相がワシントンを訪れる際、トランプ氏に妥協しすぎて自分自身と英国の評判を下げてしまう恐れもあった。

欧州の民主主義国にはまだ、西側諸国のほとんどはトランプ主義の品のない対話をしないとはっきり表明することにより、範を示すことができる。
しかし、真実を守ること、そしてそれゆえに民主主義自体を守ることで最も大きな役割を担うのは、やはり米国人だ。

報道機関は今後、強固な意志を持って勇敢に行動しなければならない。
最終的には司法制度がこの政権の運命を決めることになるかもしれない。
メディアから連邦議会、裁判所に至る米国の機関は、以前、ホワイトハウスからの独立を世間に示したことがある。
それらの機関は今、かつてないほど真価を問われようとしている。


by mnnoblog | 2017-02-05 08:33 | 国際

のほほんと---


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