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カテゴリ:防衛( 23 )

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  (聯合ニュース の記事より)

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏が殺害された事件で、マレーシア警察が24日、猛毒の神経剤「VX」が殺害に使用されたとする暫定分析結果を発表した。

殺害が北朝鮮の「国家犯罪」だった疑いが強まっている中、北朝鮮が保有する化学・生物兵器の種類に関心が集まっている。

政府系シンクタンクの韓国国防研究院(KIDA)が昨年発刊した資料によると、北朝鮮は25種に達する化学剤を保有していると推定される。
化学剤は化学的性質により人命を殺傷する化合物で、神経剤、窒息剤、血液剤、びらん剤などがある。

北朝鮮はサリンやV剤などの神経剤6種、マスタードやルイサイトなどのびらん剤6種、シアン化水素などの血液剤3種、ホスゲンなどの窒息剤2種、嘔吐剤・催涙剤8種を保有しているとみられる。

V剤のうち代表的なものがVXだ。
マレーシアの保健当局は正男氏の顔や目から採取したサンプルを調べた結果、神経剤のVXを検出したという。

VXは現在知られている毒ガスのうちで最も有毒な神経剤で、数分で命を奪うこともある。
呼吸器や直接の摂取、目、皮膚などを通して体内に吸収され、サリンガスよりも100倍以上強い毒性を発揮する。
現在は生産が全面禁止されている。

北朝鮮の金正恩政権が正男氏の暗殺にVXを使用したとすれば、絶対に失敗し得ない手段を用いたことになる。

一方、KIDAによると、北朝鮮は生物兵器用の病原体も13種保有していると推定される。
7種の細菌(炭疽菌、ブルセラ菌、野兎病菌、腸チフス菌など)と1種のリケッチア(発疹チフス)、3種のウイルス(天然痘、黄熱、流行性出血熱)、2種の毒素(ボツリヌス、T2トキシン)だ。

KIDAと韓国軍当局は「このうち兵器化が進められると推定されるのは炭疽菌、天然痘、ペスト、コレラ、ボツリヌスの5種」とし、「特に炭疽菌は致死率が高く、兵器化が最も有力視される細菌」だと説明している。

北朝鮮は平壌の国家科学院内の第1生物研究所、平城の微生物研究所、平安北道・枇ヒョンの細菌武器研究所、平安北道・定州の25号工場、平安北道・宣川の細菌研究所など、生物兵器の研究や培養・生産施設を17か所運営中とされる。

韓国軍は、北朝鮮がさまざまな種類の生物兵器を独自に培養・生産する能力を備えており、2500~5000トンの化学兵器を貯蔵しているとみている。


by mnnoblog | 2017-02-26 08:35 | 防衛
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  (日テレNEWS24の記事とウィキペディアの画像より)

アメリカ海軍は18日、南シナ海で原子力空母カールビンソンが活動を始めたと発表した。
海洋進出を強める中国をけん制する狙いがあるとみられる。

アメリカ海軍によると、原子力空母カールビンソンやミサイル駆逐艦などからなる艦隊が18日、南シナ海で活動を始めたという。

アメリカ海軍は「定期的なパトロール」と位置づけていて、国防総省の当局者もNNNの取材に対し、中国が造成した人工島の周辺を通行する「航行の自由作戦」ではないとしている。

トランプ政権として、海洋進出を強める中国をけん制すると共に中国がどう対応してくるか見極める狙いがあるものとみられる。


by mnnoblog | 2017-02-21 08:18 | 防衛
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  (JBpress の画像と記事より)

オバマ政権最後の年である2016年、中国は南沙諸島に誕生させた7つの人工島の軍事拠点化を急ピッチで進めた。

オバマ政権は中国の軍事的拡張政策に対して強硬策をとらなかった。
だが、次の政権が引き続き対中軟弱政策をとる保証はない。
そこで、人工島に各種軍事施設を次から次へと建設していったわけである。

2016年当初、中国は南シナ海の7つの人工島のうちスービ礁、ファイアリークロス礁、ミスチーフ礁に、それぞれ3000メートル級滑走路の建設を進めていた。
今やそれらの滑走路は、戦闘機から爆撃機や大型旅客機まであらゆる航空機が使用できる状態になっている。

滑走路周辺にはまだ完全には完成していないものの、戦闘機や爆撃機などの格納施設や整備施設も姿を現しており、管制施設やレーダー施設をはじめとする空軍設備群の建設も完成目前である。
そのため、2017年中には、それら3カ所の航空基地に人民解放軍海軍あるいは空軍の航空部隊が配備されることは十二分に可能な状態である。

それぞれの人工島には、航空施設に加えて、中国海軍艦艇や中国海警局巡視船艇が拠点とすることができるだけの港湾施設の建設も進められている。
いまだ海軍艦艇などが母港化している状態ではないものの、2017年中にはいくつかの人工島港湾に海軍フリゲートやコルベットそれに海警局武装巡視船が配備されるかもしれない。

それぞれの人工島には、地対艦ミサイル部隊や地対空ミサイル部隊が各種レーダー施設と共に配備され始めている。
かねてより米海軍戦略家たちが危惧していた通り、南沙諸島に中国海軍が数セットの空母艦隊を展開させたような状況が現実のものとなりつつあるのだ。

また、中国が誕生させた人工島には、軍事施設だけでなく巨大灯台や海洋気象観測所、漁業基地、それに大規模リゾート施設の開発まで予定されている。
多数の旅行者を含む民間人が滞在し、軍事施設と非軍事民生施設が混在する人工島基地群を軍事攻撃することは、各種ピンポイント攻撃能力を有するアメリカ軍といえども避けざるを得ない。

要するに、南沙諸島に出現した7つの人工島基地群は、中国海洋戦力にとっては不沈空母艦隊以上の働きを期待できる前方展開拠点となるのである。

米海軍戦略家の多くは中国による人工島建設の動きを事前に探知し、オバマ政権に「中国の南シナ海における拡張政策にストップをかける諸対策を実施すべき」との進言を繰り返していた。
しかしながら、中国との深刻な軋轢を何よりも恐れていたオバマ政権は、そうした提言に耳を貸そうとはしなかった。

2015年後半になって、かなり進展した人工島建設状況をCNNが実況して騒ぎになると、ようやくオバマ政権は中国に対する牽制作戦にしぶしぶゴーサインを出した。
しかし、海軍が許可された「FONOP」(公海航行自由原則維持のための作戦)はあくまで中国側を過度に刺激しない限度に制限されたため、さしたる効果が期待できる代物ではなかった。

おまけにそれらのFONOPは、中国側にさらに次の行動を起こさせる副作用まで引き起こしてしまった。
つまり中国側は、全く軍事的脅威など受けていないにもかかわらず、「アメリカ海軍が中国の領域に軍事的威圧を加えてきたため、中国の領域を守り、島嶼に居住する人民を保護するため」と称して、アメリカがFONOPを行った島嶼環礁やその周辺の人工島に地対艦ミサイル部隊や地対空ミサイル部隊を配備したのである。

このようにオバマ政権の“腰が引けたFONOP”は何の牽制効果ももたらさず、中国がせっせと南沙人工島や西沙諸島で進める軍事施設の充実を後押ししただけの結果に終わった。

トランプ新政権の海軍長官には、以前より南シナ海問題での対中強攻策を主張してきたフォーブス議員(あるいはフォーブス議員と同じ海軍戦略の唱道者の誰か)が就任するとみられる。
したがって、南シナ海における中国の軍事的拡張政策に対するトランプ政権の態度が強硬なものとなることは間違いない。

とはいっても、すでに西沙諸島には立派な軍事拠点と政府機関それに商業漁業施設などが誕生している。
また、7つの人工島でも軍事施設と民間施設の建設が完成の域に近づいており、スカボロー礁での中国の実効支配態勢も盤石になってきている。
したがって、アメリカが中国にそれらの軍事施設や人工島からの撤収を迫ることは、かつて日本に対して満州からの総引き揚げを迫ったのと同様に、戦争を意味することになる。

そのため、いくら対中強硬派がトランプ政権の南シナ海政策を舵取りするとは言っても、アメリカ自身の領土が侵されているわけではない以上、対中軍事衝突といったような選択肢をとるわけにはいかない。
なによりも、オバマ政権の8年間でアメリカの海洋戦力は大幅に弱体化してしまっているので、中国との戦闘を覚悟した対中強攻策などは全く論外のオプションである。

当面の間は、トランプ次期大統領が口にする「アメリカ第一」という標語の通り、中国の南シナ海侵攻戦略への対抗以前に、アメリカ自身の海洋戦力再興を推し進めることにプライオリティーが置かれることには疑いの余地はない。
あくまでもアメリカの海洋戦力が強力になってから、次の一手が開始されるのだ。

もっとも、オバマ政権と違って、中国の侵略的海洋政策に断固として反対する立場を明示するために、より頻繁に、そしてやや強硬なFONOPを南シナ海で実施することになるであろう。

その際、日本にもFONOPの参加を(オバマ政権とは違って)強く求めてくる可能性が高い。
なぜならば、2016年9月に稲田防衛大臣が米国の南シナ海でのFONOPを支持すると明言したからだ。
そして何よりも、トランプ政権の考える日米同盟の強化とは、理念的な言葉の遊びではなく、日米双方が実質的に軍事力を出し合って、共通の目的を実現していくことを意味するからである。


by mnnoblog | 2017-01-16 08:16 | 防衛
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  (Newsweekの画像と記事より)

英国のキム・ダロク駐米大使は1日、日本に派遣している英空軍のタイフーン戦闘機に南シナ海上空を飛行させ、2020年に就役する空母2隻を太平洋に派遣する見通しだと述べた。

南シナ海での航行の自由を守るのが目的だという。

ダロク氏は「航海の自由を守り、航路や空路を維持するという米政府の目標を共有する」と述べた。

南シナ海や東シナ海における中国の動きをめぐって緊張が高まる中、英国は10月、自衛隊との演習に参加させるため戦闘機4機を日本に派遣していた。


by mnnoblog | 2016-12-11 08:57 | 防衛
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  (JBpressの画像と記事より)

ロシア海軍極東艦隊が、国後島と択捉島に島嶼防衛用の地対艦ミサイルシステムを配備したことを公表した。

ロシア外交当局ならびにロシア軍部に、占領地域を日本に返還する発想など存在しないことは周知の事実である。
それにもかかわらず日本側には安倍・プーチン会談への期待が高まっていた。
だが、安倍・プーチン会談の直前に地対艦ミサイルが南千島に配備されたことにより、日本当局は改めてロシアとの領土問題交渉の困難さを再認識させられたようである。

地対艦ミサイルの南千島への配備は、ロシア軍がプーチン大統領の日本訪問に合わせてあわてて実施したわけではない。

強力な地対艦ミサイルシステムを国後島、択捉島などに配備する計画は、すでに2013年には明らかにされており、2015年には2016年中に配備を完了する旨が再確認されている。
ロシア軍にとっては「以前からの予定通り、2016年12月までに南千島に配備した」だけのことである。

したがって、これら地対艦ミサイルシステムの配備が明らかになったからといって「プーチン大統領の訪日直前というタイミングで地対艦ミサイルを南千島に配備しなくともいいではないか」という感情論が日本政府筋から湧き出るのは、むしろ外交の無策さをさらけ出すことになる。

ロシア軍が国後島に配備した地対艦ミサイルシステムは、Zveda Kh-35対艦ミサイルの地上発射バージョンで、3K60「バル」地対艦ミサイルシステムである。
Kh-35対艦ミサイルは航空機発射型、艦艇発射型それに地上発射型があり、西側諸国でポピュラーなアメリカ製対艦ミサイル「ハープーン」になぞらえて、「ハープーンスキー」と呼ばれている。

国後島のバル地対艦ミサイルシステムから発射されるKh-35対艦ミサイルの最大射程距離は、従来型の場合130キロメートル、最新型の場合300キロメートルと言われている。
いずれも、非核弾頭(高性能爆薬弾頭)が搭載され、海上から10~15メートルの低空を巡航速度マッハ0.8で飛行し、攻撃目標に突入する際には海上すれすれの高度4メートルを飛翔する。

バル地対艦ミサイルシステムを国後島に配備した主たる目的は、アメリカ海軍の水上艦艇、とりわけ空母打撃群が国後島周辺の海峡部を自由に航行するのを妨げるとともに、アメリカ海軍水陸両用戦隊の国後島への接近、上陸を阻止することにある。

もちろん、国後島、色丹島、歯舞諸島の周辺海域を航行する海上自衛隊水上艦艇を撃破するには十二分な威力を発揮する。

バル地対艦ミサイルよりも数段強力なのが、択捉島に配備されたK-300P「バスチオンP」沿岸防備ミサイルシステムである。
この地対艦ミサイルシステムは、地上移動式発射装置から飛翔速度マッハ2.5のP-800「オーニクス」超音速対艦ミサイルを発射する。
現在のところ史上最強と言われている地対艦ミサイルである。

オーニクス超音速対艦ミサイルは、敵の迎撃ミサイルを回避しながら、対艦攻撃だけではなく地上目標の攻撃も可能である。対艦攻撃の場合、最大射程距離は120キロメートル(発射直後から着弾まで超低空飛行を続けた場合)から350キロメートル、対地攻撃任務の場合には450キロメートルとされている。

択捉島中央部に配置についたバスチオンP地対艦ミサイルシステムからは、択捉島、国後島、色丹島、歯舞諸島、それに得撫島周辺海域に接近する日米の水上艦艇を攻撃することが可能である。
国後島に配備されたバル地対艦ミサイルと連動すれば、アメリカ海軍空母打撃群や、海兵隊が乗り込んだ水陸両用戦隊が南千島へ接近するのを阻止する態勢は極めて強固なものとなる。

日本にとっては、有事の際には海上自衛隊艦艇が北方4島へ接近するのが困難になるだけでなく、旭川や帯広を含む北海道の東半分が、オーニクス超音速対艦ミサイルの攻撃圏内にすっぽり収まってしまうというきわめて深刻な事態となったのだ。


by mnnoblog | 2016-12-08 08:32 | 防衛
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  (JB press の記事より)

8月上旬、尖閣諸島海域で中国の大量の漁船、公船が領海侵犯を繰り返した。
1カ月後の9月4~5日に、今年の中国における最大の外交イベントとなる杭州でのG20開催を控えて、外交が大事であるならやるべきでないことを中国は平気でやってのけた。

この時期、中国では「北戴河会議」と呼ばれる夏休みを利用した避暑地での非公式会議が行われ、そこでもG20の成功裏の開催に向けた調整がなされたことはまず間違いない。
それにもかかわらず、中国は日中関係をいたずらに緊張させる行動をこの時期に起こしたのである。

7月に常設仲裁裁判所は南シナ海問題に関する中国側の主張を退ける裁決を下した。尖閣諸島海域での挑発的な行動は「裁決の背後に日本の策謀があった」と言いがかりをつけた中国による「逆ギレ」対応とする見方もできる。

だが、中国海軍の最近の動き、例えば6月の尖閣諸島接続水域でのウラジオストクに帰還するロシア艦隊との連携行動や、中国海軍艦船の「無害航行」を口実にした口永良部島付近の航行などの延長で考えれば、様々なやり方で日本側の対応を試していることが分かる。

つまり、8月の尖閣海域での行動も、中国にとっては長期的な尖閣諸島奪取のための準備行動と見ることができるのである。
そこには「軍の忠誠」を確保したい習近平がそれを黙認し、軍より格下の外交部は文句をつけることもできないという背景が想像できる。

なぜそういった見方ができるのか。
基本的な部分から論じると、1年後の来年秋に中国は第19回中国共産党大会を控えている。
5年に一度の開催であり、習近平にとっては政権基盤をより強固なものにするチャンスである。

習近平は2012年の第18回党大会で政権の座について以来、江沢民派排除の権力闘争と連動した反腐敗キャンペーンで権力固めに邁進してきた。
江沢民派が影響力を残す党中央政治局常務委員会のこれまでのやり方であった「集団指導体制」を形骸化させ、多くの中央領導小組を作り、自分がトップを務めることで意思決定の「独占」を図ってきた。

そして歴代のトップ指導者が手を付けられないできた人民解放軍の機構改革にも大胆に取り組み、強力な指導力を内外に見せつけてきた。

党内には、習近平に正面から異を唱える人物も見当たらない。
その意味で言えば、習近平はすでに党大会に向けて万全の態勢を整えていると言ってもいいのかもしれない。

しかし、その一方で反腐敗キャンペーンは多くの敵を作っているはずであり、習近平に対する暗殺の可能性さえ語られている。
腐敗撲滅に合わせて施行された過度な倹約令は公務員の活動を萎縮させてもいる。
習近平が言論統制を強化しているのは、「党の権威を守る」ためというよりも政権批判を封じ込めるためである。
いかに自分の威信を保つかに、習近平は汲々としているのである。

さらに別の観点から見ると、習近平政権の底の浅さが分かる。
習近平は、「中華民族の偉大な復興」という「中国の夢」を国家的スローガンとして掲げてきた。
それから4年が経過したが、習近平は成果らしきものを何ら実現していない。

中国は胡錦濤時代の2010年に経済規模で日本を抜き、米国に次ぐ存在になった。
しかし、習近平時代になって国内経済は成長鈍化を続け、過剰生産能力の削減や赤字を垂れ流し続ける国有の「ゾンビ企業」排除に四苦八苦している。
地方を中心とした公的債務の増大も危険視されている。
一時期脚光を浴びた習近平の世界戦略である「一帯一路」(陸路のシルクロード経済ベルトと海路の21世紀海上シルクロード)も最近ではトーンダウンの印象がある。

対外関係については目も当てられない状況となっている。
とりわけ習近平が重視しているとされる周辺諸国との関係で言えば、内陸の中央アジア方面は別として、北朝鮮、韓国、日本、フィリピン、ベトナムという東シナ海から南シナ海にかけての近隣諸国との関係はことごとく悪化している。

それもすべて中国の対応が原因となっている。
北朝鮮の核開発や弾道ミサイル実験に有効な制裁策が取れず、北朝鮮のミサイル脅威に対抗するために韓国が米国の提案する終末高高度ミサイル防衛システム(THAAD)の在韓米軍への配備決定に同意したら、それが中国の安全利益を脅かすとして強硬に反対し、フィリピンが提訴した南シナ海仲裁裁判では裁定を断固拒否し、国連安保理常任理事国としてはあるまじき国際法廷軽視の態度を取ってきた。
もちろん、南シナ海における「航行の自由」を掲げる米国との関係も悪化している。

このように内憂外患が深刻化する状況にあって、習近平が局面打開を切実に望んでいるとすれば、来年の党大会に臨むに当たり、「歴史に名を残す」実績が欲しいのではないか。

厳しい見方をすれば、習近平時代になって権力の集中は進んだものの、政権としての実績は「反腐敗」以外見るべきものがないのが実状だ。
習近平自身の求心力を高め、自分の意のままに党大会を乗り切り、盤石の体制を作り上げ、あわよくば政治局常務委員の定年制を改定し政権3期目を目指すとすれば、ぜひとも国を挙げて拍手喝采を受ける成果を上げたいはずだ。

その文脈で言えば、習近平が掲げる「中華民族の偉大な復興」は、「失われた領土主権の回復」に絡んだ次の3つの課題実現と考えていいだろう。

第1に「台湾統一」、第2に「南シナ海の『中国の内海』化」、第3に「尖閣(釣魚島)回収」である。

もちろん、これらを同時に実現することなど不可能だろう。
中国革命を完結させる「台湾統一」はますます困難の度を高め、「現状維持」がやっと、という状況にある。

オプションとして「武力統一」は残されているものの、それが中国にもたらす国際的ダメージは計り知れない。
台湾内部では、自らを「中国人ではなく台湾人だ」と認識する台湾人アイデンティティーの高まりは不可逆的なものであり、「事実上の独立国」だと認識する台湾人が常態化している現実を中国は直視する必要がある。

「南シナ海の『中国の内海』化」は、中国にとってはミサイル原潜を遊弋させるための聖域確保という戦略的要請が背後にあるが、人工島建設など強引な実効支配の拡大は国際的な批判を招いてきた。
国際法を軽視する言動とあいまって、南シナ海問題であまりに対中懸念を高めてしまったため、しばらくは習近平政権として強硬策は取りづらいだろう。

問題は「尖閣(釣魚島)回収」である。

前ニ者と比べ、中国側にもたらす利益は小さい。
しかし、日中国交正常化以来の懸案を「解決」したという実績は大きい。

中国の一般民衆が「釣魚島は中国のものだ」と信じて疑わない現実に照らせば、「尖閣(釣魚島)回収」の国内的な政治効果はとてつもなく大きいことは間違いない。
しかも、ここ1年以内に実行が可能であることも指摘しておくべきだろう。

ただし、当然ながらリスクを伴う。
最大のリスクは、回収に失敗することである。失敗すれば、場合によっては習近平の政治生命に関わるだろう。

尖閣海域を含む東シナ海での中国海軍の行動が「尖閣(釣魚島)回収」のための準備であるとすれば、日本側の反応を探ることでリスクを最小化するための努力の一環であることは間違いない。

また、中国にとってもう1つ重要なのは、米国と話をつけ、米中戦争にエスカレートさせるのはお互いの利益とならないことを説得し、事態を極限化することを条件に米国から暗黙の了解を得ることである。

米国は尖閣諸島を日米安保条約の適用範囲内であるとしてきたが、実際に尖閣有事となった場合、無人の島を守るために米軍がわざわざ介入することも考えにくい。
米国に話をつけ、「口先介入」に留めることができれば中国側のリスクはクリアできる。

米国と話をつけるならば、事を起こす直前となるはずだが、年内に日中韓首脳会談の日本開催が実現しそうな状況下で中国が事を起こすのは可能性として大きくはないだろう。

しかし、11月の米大統領選挙で誰が当選しようが、来年1月下旬の大統領就任から政府高官の人事が固まり切るまでにおよそ半年かかる。
米国の新政権が意思決定しづらいこの時期が中国に取ってのチャンスかもしれない。

実際の回収作戦がどのような形になるかは分からないが、きわめて短期間の局地戦で中国が勝利し、兵員を上陸させ実効支配態勢を取り、尖閣諸島上空の制空権を確保できれば「中国の勝利」ということになる。

いかに海上自衛隊が精強であっても、作戦の時間と場所を自分で設定できる先制攻撃が中国を優位に立たせることは間違いない。

唯一、有効な対応策があるとすれば、それは「自衛隊の尖閣諸島常駐」しかないかもしれない。
しかし、そこから生じる政治・外交的リスクは、「中国に尖閣諸島攻撃の口実を与える」ことも含め、きわめて高いものとなることを覚悟しなければならないだろう。

上記のことを杞憂だと考えるのはその人の自由だ。
しかし、世界各地で無秩序化が進む中で、「考えられないことが起こる」事態でさえも備えなければならない。
いや、尖閣危機は十分考えられる「起こりうる危機」だと肝に銘じる必要がある。


by mnnoblog | 2016-09-07 08:09 | 防衛
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   (日経新聞の画像と記事より)

5日の北朝鮮の弾道ミサイル発射で、自衛隊は事前に兆候をつかめなかった。
8月から常時、ミサイルを迎撃できるようにする破壊措置命令を出したままにし、警戒レベルを上げているが、発射準備の把握が難しい移動式発射台を使ったとみられるためだ。

発射の「第一報」をつかむのは、発射時の赤外線を探知する米軍の早期警戒衛星に頼らざるを得ないのが実情だ。
自民党内には「初動が遅れる」との懸念があり、政府は2019年度に独自開発の可能性を探る実証実験を予定。
とはいえ、独自の早期警戒衛星はコスト面でも技術面でもハードルが高い。

地理的に近い韓国からの情報も重要視し、日韓で米国を介して核・ミサイルの防衛情報を共有する。
6月には日米韓3カ国のミサイル防衛演習を初開催した。
ただ、日韓両国が直接やりとりするための軍事情報包括保護協定は締結に至っておらず、情報網は完全ではない。

北朝鮮が探知が難しい潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の開発も進めているのも課題だ。
海上自衛隊は対潜水艦の探知能力を持つ最新鋭の哨戒機P1を投入。防衛省は水中音波探知機の技術に役立つ民間研究に助成するなど対潜戦闘力の向上に力を注ぐが、日本近海に近づく潜水艦をどこまで捕捉できるかは未知数だ。

弾道ミサイルに対処できる海上自衛隊のイージス艦は4隻。
常に日本全体をカバーするには東日本、中・西日本、九州から南西諸島と、それぞれカバーする3隻のイージス艦の展開が必要になる。
整備や訓練を考慮すると、常時この態勢を取るのは難しい。
イージス艦の改修や新造で将来的には8隻体制に増強する計画だが、当面は苦しいやりくりが続く。

迎撃能力も課題になる。
イージス艦から発射する迎撃ミサイルの高度は300キロメートル程度。
日米は1千キロメートル超で迎撃できる新型を開発するが、配備は19年度ごろになる。

地上から迎撃する地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)は航空自衛隊の全国6高射群に全て配備するが、1地域の防護範囲は半径数十キロにとどまる。
能力増強でこれを2倍に広げるものの、広い日本列島を守る観点からすると限定的だ。
防衛省幹部は「ミサイルを発射する側より迎撃する側の方がハードルは高い。
一筋縄ではいかない」と話している。


by mnnoblog | 2016-09-06 08:41 | 防衛
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  (DIAMOND online の画像と記事より)

中国船の尖閣周辺への領海侵入が連日相次いでいる。
6日午前には中国海警局の船6隻が沖縄県の尖閣諸島周辺の接続水域(領海の外側)に入り、中国の漁船およそ230隻がその周辺を航行した。

このように尖閣諸島周辺に大量の中国漁船等が押し寄せたのは、1978年4月の約100隻以上以来とみられ、極めて異例だ。

尖閣諸島について、日本固有の領土であることは歴史的にも国際法上も明らかであり、現に我が国はこれを有効に支配している。
このため、尖閣諸島をめぐって解決しなければならない領有権の問題はそもそも存在しない。

こうした歴史事実にもかかわらず、尖閣周辺へ、中国は、中国海軍の軍艦、中国海警局の公船、漁民の漁船が、連係・一体化して尖閣諸島周辺に侵犯してくる。

一般に、中国海軍の軍艦が中心の芯となり、その外側が中国海警局、さらにその外、一番外側が漁船となっている。
これは「キャベツ戦略」ともいわれている。

中国海警局の公船は漁船を引き連れて、尖閣周辺に侵入してくるが、それらを中国海軍の軍艦が常時護衛しているのだ。

ここで、注意しなければいけないのは、中国漁船である。
日本のような純粋な漁民による漁船ではなく、射撃などの軍事訓練を受けた漁民であり、中国当局や中国海軍の意向で動く民兵の一種である。

中国船による尖閣周辺への侵入は、いわゆるグレーゾーンの問題であるといわれている。
しばしば、日本政府から持ち出される例として、多数の武装した漁船が領海侵犯したり、一部の漁民が不法上陸する場合だ。
この場合、海上保安庁や警察では対応できない時、自衛隊に「海上警備行動」や「治安出動」を命じることとなる。

尖閣諸島には米軍射爆撃場が設定されている。

日米両政府は72年5月15日の日米合同委員会で、尖閣諸島のうち、久場島と大正島を、それぞれ「黄尾嶼射爆撃場」「赤尾嶼射爆撃場」とし、米軍提供施設として合意している。

であれば、この際、米軍に使ってもらってはどうだろうか。
ここまで、尖閣周辺への中国侵入では日本政府も対応策を考えておいたほうがいい。


by mnnoblog | 2016-08-16 08:36 | 防衛
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   (JB pressの画像と記事より)

米国のオバマ大統領は、中国の南シナ海人工島建設問題でようやく「航行の自由作戦」の実施を決断した。

大統領の決断に従い、米海軍イージス艦ラッセンは、10月27日、中国が建設した人工島周辺12カイリ内を航行した。
この航行自体は海洋法上認められている自由航行権の行使であり、国際法上も全く問題のない行動であるが、中国側は激しく反発している。

そもそも根拠の全くない九段線に依拠した南シナ海における領有権主張は論理的に破綻しているし、人工島周辺12カイリを自らの領海であるとの主張についても海洋法上否定されている。

米海軍の作戦は極めて妥当なものであるが、これに対して中国が今後さらに軍事的に反発をエスカレートさせていくか否かが注目される。

オバマ大統領が「航行の自由作戦」を決断する際には、国防省などが様々なシナリオを列挙し、数多くのシュミレーションを繰り返し、最悪のシナリオにも対処できることを確認して決断しているはずである。

米国の国防省が実施したシュミレーションをうかがい知ることはできないが、「米国と中国がもしも南シナ海で紛争状態になったら、どちらが有利であるか?」を知りたくなる。

この素朴な疑問に対して答えてくれるのが、ランド研究所が最近発表した「米中スコアカード」という報告書である。

この報告書は400ページを超える。
本稿においては、そのエキスを紹介したいと思う。

まず結論を紹介したい。

「2017年の時点では、まだ米国の軍事力が全般的な優位を保持するであろう。
しかし、中国本土に近い台湾紛争シナリオでは厳しい状況になり、人民解放軍の航空基地攻撃能力や対水上艦艇攻撃能力が米軍に対して優位となる。
中国本土から遠いスプラトリー諸島紛争シナリオでは米軍が全般的に優位である」
という事である。

その他の結論は以下の諸点である。

*人民解放軍は。1996年以来、長足の進歩を果たし、全般的に人民解放軍が米軍との能力差を縮小させている方向だが、総合的な能力において米軍事力に追いつくまでには至らない。
しかし、中国本土近傍を支配するためだけであれば米軍に追いつく必要はない。

*人民解放軍は、紛争の初期において一時的及び局所的な航空優勢と海上優勢を確立する能力を有する。
特定の地域紛争におけるこの一時的及び局所的な優勢により、人民解放軍は米軍を撃破することなく限定的な目的を達成できるであろう。

*戦場までの距離と地形は米中双方の緊要な目的達成に重大な影響を与える。
中国本土に近くなればなるほど米国に不利となり、米国の軍事行動に対し大きなマイナスとなる。

*中国の戦力投射能力は低いままであり、米国は中国沿岸から遠く離れた地域におけるシナリオではより決定的な優位性を維持している。
人民解放軍の事態対応能力と戦闘に勝利する能力は、戦闘機及びディーゼル潜水艦の無給油での行動半径を超えると急速に低下する。
中国から長距離離隔した作戦は常に中国にとって不利に働く。

*しかし、中国の戦力投射能力は向上していて、中国沿岸から離れた地域における相対的戦闘力は変化しつつある点に注意が必要である。

*日本にとって深刻なのは中国の準長距離弾道ミサイル(「DF-16」射距離1000キロ、「DF-21C」射距離2500キロ)で、在沖縄米軍基地のみならず日本の全体を射程内に収めることができる。

(戦力投射能力とは、軍事力を海外に展開し作戦する能力で、空母や長距離輸送機などが典型的な装備品である)

「米中軍事スコアカード」では、戦術、作戦,会戦、戦略の4段階で分析するが、中核となる分析は作戦レベルの分析である。

シナリオは台湾シナリオとスプラトリー諸島シナリオの2つであり、この2つのシナリオを会戦レベルと呼んでいる。

作戦レベルでは10個の任務分野(例えば中国の対水上艦艇戦、米軍の中国地上目標に対する航空攻撃など)における分析を行い、10個のスコアーカードを作成する。

10個のスコアーカードの要約。

スコアーカード1:空軍基地を攻撃する中国の能力

中国は、現代戦における空軍力の重要性に鑑み、前方展開する米空軍基地に脅威を与える弾道ミサイルと巡航ミサイルを開発してきた。
中国は今や1400発の弾道ミサイル、数百発の巡航ミサイルを保有している。
その大部分は射程が1000キロ以下の短距離ミサイルであるが、在日米基地に到達する準中距離弾道ミサイルの保有数を増加させている。
さらに重要なことは,命中精度が向上しCEP(半数必中界)が1990年代の数百メートルから今日では5~10メートルに大幅に向上し、射距離も短距離(1000キロ以下)から準中距離(1000~3000キロ)に伸びている。
ランド研究所のモデルによると、嘉手納基地に対する比較的少数の弾道ミサイルの攻撃により、紛争初期の緊要な数日間基地が閉鎖され、より集中的な攻撃の場合は数週間の閉鎖になる危険性がある。
米国の対抗手段(防空の改善、飛行機格納の硬化、より迅速な被害修復、航空機の分散)により、その脅威を減少させることができる。
しかし、米国の技術的なブレークスルーをもってしても、中国のミサイルの数と種類の増加は、米軍の前方基地からの作戦能力にとっての脅威となる。
大部分の米航空機が影響を受けやすい基地化紛争地域からはるかに遠い所から出撃を余儀なくされるため、基地問題は戦場における航空優勢の獲得を複雑にするであろう。

スコアーカード2:台湾及びスプラトリー諸島上空での航空戦

1996年以来、米国は「F-22」及び「F-35」などの第5世代機を導入してきた。
一方、中国は1996年時点で大半が第2世代機であったが、今や第4世代機が人民解放軍空軍の半数に達し、米軍との質的ギャップを縮めつつあるが、肉薄はしていない。
1996年以来の変化のために米国は、その当時よりも数百倍の作戦上の考慮が必要になっている。
米国の指揮官は、2017年の台湾シナリオで開戦から7日間作戦出来る基地を見つけるのが困難になるであろう。
そのため作戦期間を長めに考えなければいけないが、その間地上戦力と海軍力は脆弱な状態に置かれるであろう。
スプラトリー諸島シナリオでは台湾シナリオの戦力の半分の戦力で対応が可能である。

スコアーカード3:米国の中国空域に侵入する能力

中国の防空能力の向上は中国内及びその近傍での米軍の作戦をより困難にしている。
1996年においては中国の地対空ミサイルはロシア製の旧式の「SA-2」であったが、2010年には約200基の高性能SAM(SA-10C,SA-20など)を配備している。
新式のミサイルはより洗練されたシーカーと200キロの飛距離を有している。
より能力のある戦闘機と早期警戒機により中国の総合防空システム(IADS)は手強いものになっている。
しかし、米国の侵入能力もステルス航空機と新SEAD機により改善している。
「目標カバー・モデル」を使用して台湾シナリオ及びスプラトリー諸島シナリオにおける米軍の侵入能力を分析すると、全般的に中国の能力が向上し、中国の改良IADSが米軍の侵入能力を低下させている。
米国のスタンド・オフ攻撃能力、ステルス、SEADにもかかわらず、台湾対岸地域に低いリスクで侵入し目標を打撃する能力は2017年において非常に低下する。
しかし、スプラトリー・シナリオにおける米軍の侵入能力は非常に強力である。
これは、米空軍力が台湾シナリオに比べより小さな目標でより海岸に近く配置されている中国の航空基地に指向されるからである。

スコアーカード4:中国航空基地を攻撃する米国の能力

中国の領空に侵入することは犠牲を伴うが、特に脅威の高い台湾シナリオにおいては、1996年以来の新世代精密誘導兵器の開発が米国に新たな選択肢とより強烈な打撃能力を付与した。
米軍はJDAMのような全天候の精密兵器を保有している。
様々なプラットホームから発射可能な射程数百キロのスタンドオフ兵器を活用できる。
台湾シナリオでは無給油で台湾の対岸にある40か所の中国航空基地を攻撃できる。
いずれの年もスプラトリーのケースではすべての中国の航空基地を最初の1週間閉鎖することができる。
ただし、対地攻撃においてはスタンドオフ兵器の在庫には制限があることに留意すべきである。
(JDAMとは、総合直接攻撃弾。JDAMの誘導装置を装着すると無誘導弾が全天候型の誘導弾に変身させる)

スコアーカード5:中国の対水上艦艇戦闘能力

人民解放軍は、陸上に基地を置く米空軍力に打撃を与えることと、米国の空母打撃部隊に損害を与えることを重視している。
中国は2000年に最初の軍事偵察衛星を打ち上げ、2007年にはOTHレーダー3を配備した。
OTHレーダーは、中国の海岸線から2000キロまでの目標の補足が可能である。
中国の宇宙・電子分野の発達は、人工衛星の発射のペースを向上し、高度なISR衛星の配置を可能にした。
中国のDF-21Dなどの対艦弾道ミサイルは米海軍に新たな脅威となっている。
一方、米軍は対抗手段の開発を進め、中国の対艦弾道ミサイルに対する弱点の追及は人民解放軍に大きな脅威を与えることになる。
対艦弾道ミサイル例えばDF-21Dは、空母キラーとして有名になったが、メディアで言われるようなミサイル1発で米空母を1撃できるという万能の兵器ではない。
一方、航空戦力そして特に潜水艦は、相手に対しより確実に脅威を与える兵器になってきた。
1996年から2015年の間に中国海軍のディーゼル潜水艦は2隻から37隻へ急増し、そのうち4隻は巡航ミサイルと魚雷を装備している。
中国の潜水艦隊は1996年から2017年まで着実に発展を続け、台湾及び南シナ海における紛争において米水上艦艇に対し間違いなく脅威となろう。

スコアカード6:米国の対水上艦艇戦闘能力VS中国海軍艦艇

中国の水陸両用戦力は1996年から2017年で2倍になる。
米軍が保有する中国水陸両用戦力を撃破する能力は1996年から比較すると相対的に少し低下しているが、いまだに協力である。
中国は対潜水艦用ヘリや船舶を配置してきた。
米国の潜水艦が与え得る損害は相対的に低下しているが、2017年における7日間の紛争で中国の両用戦能力の40%を破壊し得る。
これは上陸部隊の組織的な統合性を破壊するものになるだろう。
米国の中国水上艦艇に対する能力は相対的に低下してきたが、潜水艦、航空機、水上艦艇による攻撃は、中国の両用戦力と両用戦を実施し継続する能力に大きな脅威となろう。

スコアーカード7:米国の対宇宙能力VS中国の宇宙システム

2015年1月の段階で、米国は526基の衛星を運用中であり、132基の中国の衛星を凌駕している。
しかし、中国は、2009年から2014年には2003年から2008年の間の2倍、1997年から2002年の間の3倍の衛星を打ち上げている。
米国は、伝統的に作戦としての対衛星兵器の配置に消極的であった。
なぜなら米国の対衛星兵器の配置は他国の同様な配置を正当化する恐れがあるし、米軍の軍事作戦は人工衛星に依存しているからである。
しかし、2002年に従来の方針を転換し、2004年には限定的な対衛星能力(敵の通信衛星を妨害する能力)の予算を承認した。
米軍は、軍民両用のシステム、例えばレーザー照準ステーションを活用でき、高出力レーザーシステムは中国の衛星の光学センサーを妨害できる。
実運用上の制約や政治的考慮により破壊的な攻撃を実施することは実際には難しいが、対弾道ミサイル迎撃兵器を対衛星用の運動エネルギー兵器として使用できる。
地上作戦を支援するための宇宙の利用では米国はリードしているがその対衛星能力の点では、開発途上にある。

スコアーカード8:中国の対宇宙能力VS米国の宇宙システム

中国は広範な対宇宙能力を追求してきた。
2007年には高度850キロにある自国の衛星に対するミサイルテストで同衛星を破壊し、その対衛星能力を実証した。
この実験により、この高度に依存する米国の多くの低軌道衛星は脆弱であることが明らかになった。
2014年7月には弾道ミサイル迎撃試験を3度実施したが、対衛星兵器の試験と同高度であり、その技術も対衛星兵器に必要な技術である。
しかしながら、最終的には政治的考慮、エスカレーションの危険性、中国システムの宇宙ゴミに対する脆弱性により、衛星に対する運動エネルギー兵器の使用は抑制されるかもしれない。
より厄介なのはロシア製のジャミングシステムと高出力軍民両用のラジオ送信機である。
これらは米国の通信衛星やISR衛星に対し使用可能である。
中国は、米国と同様にレーザー照準ステーションを運用し、米国の衛星をかく乱したり、衛星を追跡し他の攻撃方法を容易にすることができる。
また、米国衛星の高度・数・衛星軌道、攻撃を受けた時の機能推進力により脅威は違ってくる。
ジャミングに弱い通信衛星及び4基と数は少なく低軌道を飛行するイメージング・システムに対する脅威は大きい。
GPSやミサイル警戒衛星については衛星機能の改善や数の増加でリスクを軽減できるかもしれない。

スコアカード9:米国と中国のサイバー戦能力

中国のサイバー戦は、米国と同盟国の主要な懸念事項になっている。
中国からもたらされる悪意あるサイバースパイ活動は人民解放軍が発信源になっている。
米国のサイバーコマンドの設立は2009年であるが、中国のサイバー部隊の設立は1990年代後半である。
しかし、米国のサイバーコマンドは、サイバー戦分野で極めて能力の高い国家安全保障局(NSA)と密接に連携し、NSAの最先端の技術を活用する利点を有する。
サイバー戦のすべての分野(攻撃・防御のスキル、ネットワーク管理、全般的な強靭性)において米国は中国を凌駕している。
しかし、米国の兵站分野は脆弱である。
なぜならインターネットにつながる秘匿されていない一般のネットワークに依拠しているからである。

スコアーカード10:米国と中国の戦略核の安定

核スコアーカードでは米中どちらの戦略核が優勢であるかではなく、米中間の戦略核の安定性を評価する。
相手からの第1撃に対する第2撃能力の残存性を検証した。
中国は、路上機動の「DF-31」、「DF-31A」(ICBM)と普及弾道ミサイル原子力潜水艦(12発のJL-2潜水艦発射型弾道ミサイルを搭載)の導入により残存能力を高めている。
そして、【DF-5】ミサイルをMIRV化し、さらに次世代の路上機動ICBM,SSBN,SLBMを開発中である。
米国も戦略核の近代化に予算を投入しているが、START(戦略兵器削減条約)と新STARTの拘束を受け核弾頭と戦略運搬システムの削減を行っている。
以上の状況ではあるが、2017年の段階で米国が核弾頭数において13対1で優勢である。
中国の第1撃はどの年度においても米国の第2撃報復能力を無効化することはできない。

中国の指導者は、一時的・局所的優勢により、周辺諸国との紛争に米国が介入することを抑止できると判断するかもしれない。

このことは米国の抑止力を低下させ、危機に際し、北京の軍事力の使用に関する判断を左右することになるかもしれない。

抑止力を強化し、紛争開始時の米軍の損害を減少させ、戦争が生起した場合には勝利を確実にするための5つの提言をする。

(1)バランス・オブ・パワーの変化は米国に不利なトレンドではあるが、戦争は北京にとっても大きなリスクであることを明確に認識させるべきである。

(2)兵器調達の優先順位において、基地の抗堪性(余剰と残存性)、高烈度紛争に最適なスタンドオフ・システム、ステルスで残存性の高い戦闘機及び爆撃機、潜水艦戦と対潜水艦戦、強力な宇宙・対宇宙能力を優先すべきである。

(3)米国の太平洋軍事作戦計画策定においては、アジアの戦略的縦深を利用し、米軍が被る当初の打撃を吸収し最終目標に向かって反撃を可能にする「積極拒否戦略」を考慮すべきである。
中国近傍の地域を静的に防護することは難しくなるであろう。

(4)米国の政軍関係者は、太平洋の島国及び南東諸国との連携、戦時における潜在的アクセス権の拡大に努力すべきである。
最も緊急なのはフィリピン及びベトナムとの防衛関係を深化させることである。
また、インドネシア及びマレーシアを含む南東アジアの南の部分の諸国との連携をしなければならない。
これは、米国により大きな戦略的縦深と米軍により多くの選択肢を提供することになる。

(5)米国は戦略的安定及びエスカレーション問題において中国に関与する調和の取れた努力をしなければならない。


by mnnoblog | 2016-07-24 08:01 | 防衛
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       画像はウィキペディアより
    (日経新聞の記事より)

米韓両政府は8日、地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD=サード)を在韓米軍に配備することを決めたと発表した。
北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイル発射実験などを受け、防衛力を高める必要があると判断した。

ソウルで記者会見した韓国国防省の柳済昇(リュ・ジェスン)国防政策室長は「サード配備はいかなる第三国も対象にはせず、北朝鮮の核、ミサイルの脅威に対してのみ運用する」と説明した。

サードで使う高性能レーダーの探知距離は1千~2千キロメートルとされ、北京もカバーできる。
韓国政府はレーダーの運用範囲を600~800キロメートルに限定して運用する方針を示したことがあるが、中国は「地域の均衡を崩す」などとして反対していた。

聯合ニュースによると、韓国国防省は中国とロシアには7日午後に通知。運用開始は「遅くとも2017年末」で、配備場所は数週間以内に発表するという。

中国外務省は8日、米韓両政府が地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD=サード)の在韓米軍への配備を発表したことについて「強烈な不満と断固たる反対を表明する。中国の戦略安全利益を損ねることをしてはならない」との声明を発表した。「米韓両国に対して配備プロセスの停止を強烈に促す」とも求めた。

地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD=サード) 
高性能レーダーや迎撃ミサイルで構成する米国のミサイル防衛(MD)システムの一つ。
移動式で発射台付き車両を使う。
敵の弾道ミサイルが飛行の最終段階に差し掛かり、弧を描いて落下し始める上空50~140キロメートルの高高度段階で、陸上から撃ち落とす。
米軍は北朝鮮の中距離弾道ミサイルの脅威に対処する目的として、2013年にグアムに配備した。
韓国への配備について、中国は自国のミサイル基地まで探知されると警戒を強めていた。


by mnnoblog | 2016-07-09 08:41 | 防衛

のほほんと---


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