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    (JB press の画像と記事より)

マイナス金利に踏み込んでもインフレを作り出すことができない。
それは日本だけの現象ではない。


ヨーロッパ中央銀行もマイナス金利を採用しているが、思ったように物価を上昇させることができない。
米国のインフレ率も低くなっている。
ほぼ全ての先進国でインフレ率はゼロ付近をうろついている。

そして、一時は石油価格が1バレル=140ドルになるなど、あれほど騒がれた資源インフレもウソのように終焉してしまった。

なぜ、このようなことが起きているのであろうか。
昨今の世界経済の変化には、中国の農民の動きが大きく関わっている。

中国の人口は農村から都市へと移動している。
日本でも昭和20年代後半から昭和が終わる頃まで、多くの人が農村から都市へと移住した。
同じ現象がアジア各地で起きている。
そして、それは13億人の人口を擁する中国で特に顕著である。

経済成長とは、農業が主な産業であった国が工業化することである。
もちろん農業部門も少しは成長するが、その速度は工業部門に比べて著しく遅い。
途上国の経済成長とは、地方で農業に従事していた人が都市に出て工業部門で働くことを意味する。

上図に、世界で1年間に増えた都市部の人口を示す(アフリカを除く)。
中国を除いた地域では、都市人口の増加はほぼ一定である。
毎年3000万人から4000万人が都市部へと流入している。

一方、中国の都市人口は開放改革路線に舵が取られた1970年代後半より急上昇して、21世紀に入った頃からは毎年約2000万人も増加している。

先進国では都市と農村の生活水準の差はそれほど大きくない。
しかし中国では都市と農村の差が極めて大きい。
その中国で毎年2000万人もの人々が農村から都市に流入している。

農村から都市に出た人々は消費者であると共に生産者である。
中国ではその多くは工業部門で働いた。いわゆる農民工である。
彼らの職場は大量の石油、石炭、鉄鉱石を必要とし、中国は世界から大量の資源を輸入した。

日本も高度成長時代に中国と同じことを行ったが、中国の人口は13億人。
それは世界の歴史をも変えるインパクトをもつ。

世界人口の1割にも及ぶ人々が農村から都市へ移動して、その多くが工業部門で働いた。
それが資源需要を急増させ、資源国であるブラジル、オーストラリア、アンゴラなどの景気を浮揚させた。

都市に出てきた中国の農民が世界経済のエンジンだった
統計を見ると、1990年頃から2010年頃まで中国だけでなく世界の多くの国々で成長率が明らかに高くなっている。

だが、ここに来てそのエンジンが逆回転し始めた。

中国における農村から都市への人口移動のピークは2011年である。
その数は2270万人。2016年は若干減って2040万人と推定される。

中国で農民が都市へ流入する時代は過ぎ去ろうとしている。

都市で経済が爆発的に増大する時代は終わった。
それが資源バブルの崩壊を招いている。

今後、インドで同様の現象が起きることを期待する向きもあるが、それは中国ほど爆発的な現象にはならないであろう。
中国以外では農村から都市への人口移動は緩慢である。

農民が都市へ移ったことにより中国は世界の工場になった。
安い労働力を使って安い工業製品を輸出している。
その結果、世界中に安い中国製品が溢れ、世界にデフレをもたらしている。
そして、それは先進国の工業部門に打撃を与えて、雇用を奪っている。

今後もこのような状態はしばらく続くだろう。
中国は過剰投資によって急成長した国である。
そのため、過剰投資が問題となっても投資を止めることができないジレンマがある。

どの国でも成功体験の自己否定は難しい。
だから、過剰設備を抱えながら、投資を増やすことによって景気を下支えしようとしているのだ。

21世紀に入ってからの資源価格の高騰と下落。
そして世界的なデフレの背景には図に示した中国の人口移動があった。

しかし、現在そのピークは過ぎ去り、今後、中国が世界経済をリードすることはない。
いくら中国政府が力んでも、農村からの元気な若者が都市に出て来ることがなくなれば、経済を成長させることは難しい。
そして、これまでに作った生産設備があまりに巨大であるために、中国だけでなく世界がデフレに苦しむ時代に突入してしまった。

なお最後に一言追加すれば、農村部からの人口移入はピークを過ぎたからと言って、図に示すように、止まったわけではない。
それが、中国経済が崩壊しそうだと言われてもなかなか崩壊しない理由である。
このような状況がしばらく続く。重苦しい限りである。


by mnnoblog | 2016-05-31 08:09 | 経済
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      (現代ビジネスの画像と記事より)

定年後の再雇用でも業務が同じままならば、賃金を引き下げるのは違法――。
そんな判決が5月13日、東京地方裁判所で下った。

企業では、60歳で定年を迎えた後、大幅に給与を引き下げたうえで再雇用する仕組みが定着している。
それが違法だということになれば、大幅な制度見直しが不可欠になる。

安倍晋三首相は「同一労働同一賃金」を目指すとしており、今回の判決はその流れと一致しているように見える。
一方でこれまでの日本の雇用慣行を大きく突き崩す可能性も出てきた。

日本では60歳定年制が定着しているが、2012年8月に成立した改正高年齢者雇用安定法によって、希望者全員を65歳まで再雇用するよう企業に義務付けた。
年金の支給開始年齢が引き上げられるのに合わせて空白期間を作らないことが狙いで、再雇用義務の年齢を3年ごとに1歳ずつ引き上げ、2025年4月から65歳とすることが決まっている。
2016年4月からは62歳までの義務付けが始まった。

単純に定年を引き上げた場合、人件費が大きく増加することになるとして財界を中心に反対論が根強かったが、賃金の大幅な引き下げなど雇用条件を変更して再雇用することで妥協が成立。
改正法が成立・施行された。

一方で、ほぼ同じ仕事をしているにもかかわらず、定年後の再雇用で給与が激減することへの不満は根強い。
とくに、ここへ来て人手不足が顕在化しており、給与引き下げに理不尽さを感じる人が増えているのも事実だ。

今回の判決で法律に触れるとされたのは、労働契約法の20条。
有期契約の労働者と無期契約の労働者の労働契約に相違がある場合、「労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない」と定めている。

今回の訴訟は、定年後に再雇用されたトラック運転手の男性3人が、定年前と同じ業務なのに賃金を下げられたのは違法だとして、定年前と同じ賃金を払うよう勤務先である横浜市の運送会社を相手取って提訴していたもの。

今回の場合、有期の労働者とは定年後に再雇用されたドライバー、無期契約の労働者とは正社員のドライバーを指す。
この法律に違反しているとされたということは、職務内容も責任も正社員時代とまったく変わらなかったのに給与だけが引き下げられ「不合理だ」と裁判所が判断したということだろう。

定年後の再雇用に当たっては、国の雇用保険から、「高年齢雇用継続給付金」が支給される。
つまり、定年後に報酬が減ることを前提に制度設計がなされているのだ。

日本の終身雇用を前提とした給与体系では、若いうちは働きに見合う報酬は得られず、一定年齢以上になると働きに見合う以上の報酬を得る形になっている。
同じ仕事をしていても、勤続年数が長い人が高い報酬をもらうという仕組みを許容してきたのだ。

ここへ来て安倍内閣が実現を掲げる「同一労働同一賃金」では、欧米では、性別や国籍による差別の禁止に加え、年齢による差別を禁止する意味合いが強い。
本気で「同一労働同一賃金」を突き詰めていけば、今回のように定年を迎えただけで賃金が下がるというのは「不合理」ということになりかねない。

上級審ではこの判決は修正されるという見方が強いが、もし仮に、この判決が上級審でも支持されて確定した場合、日本企業の雇用慣行を大きく揺さぶることになるだろう。

65歳まで「働きに見合った報酬」を支払い続けることが義務付けられた場合、企業は、定年前の「働き以上に高い報酬」を見直さざるを得なくなる。
「同一労働同一賃金」として説明のつかない手当などを廃止することになるに違いない。
結果、若い社員の給与は相対的に上昇し、高齢者の給与は相対的に下がる方向に動くだろう。

労働組合が存在する大企業などでは、そんなに簡単に報酬体系の見直しはできない。
そうなると65歳まで高い賃金を支払い続けなければならなくなる。
そのしわ寄せは若い世代の新規雇用や給与水準に行く可能性が高い。

ますます企業の活力が失われ、生産性が下がっていくことになりかねない。

厚生労働省や労働組合や一部の学者の間には、定年から年金受給までの空白期間を作らないために、定年の延長を企業に義務付けるべきだ、という声がある。
65歳どころか70歳にまで定年を引き上げよという主張がくすぶる。

現在の法律でも、65歳まで定年を延長することや、定年制自体を廃止することもできる。
実際に定年を延長したり廃止した企業もあるが、その場合、実際の働き方に見合った報酬体系に変更している企業が多い。
欧米企業も定年がない企業が少なくないが、実績が上がらなければ解雇されるし、一定の年齢になると自分自身の意思でリタイアするのが慣行になっている。

定年後もそれまで以前の給与を支払えという今回の判決は、一見、労働者に有利な判決に見える。
だが、「同一労働同一賃金」の哲学を突き詰めていくと、定年までは解雇される心配もなく、給与も安定的に増えていた従来の日本型の雇用形態が根底から破壊されることになりかねない。
“守られてきた”日本のサラリーマンにとっては、厳しい時代がやってくる予兆かもしれない。


by mnnoblog | 2016-05-30 08:10 | 産業
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  (Huff Post SOCIETY の画像と記事より)

5月27日夕方、広島の原爆慰霊碑前で「核なき世界」への決意を語ったオバマ大統領は、演説後に被爆者団体「日本原水爆被害者団体協議会」(日本被団協)の代表委員を務める坪井直氏らと握手をしながら笑顔で会話を交わした。

NHKが放送したインタビューによると、坪井さんはオバマ氏と握手を交わしながら、「人類の幸せを掴むためにいろいろなことを語ってくれて、私は胸がワクワクしました。91歳ですけどまだ生きますよ」と話しかけたという。

坪井さんによると、「あの事件は既に歴史の一コマであり不幸な一コマであった。アメリカではなく、人類の過ちであった。未来に向かって頑張りましょう。プラハ演説(2009年)でノーベル平和賞を取ったのだから、遊んどったらダメですよ。未来志向で、核兵器のない世界を作り上げましょう」と語りかけるとオバマ氏は笑顔で同意するように応じ、2人で何度も握手をしたという。

自身も被爆者で、原爆で亡くなった元米兵捕虜の研究や追悼を続けてきた森重昭さんは、オバマ大統領と対面すると涙ぐみ、抱き寄せられると感極まったような表情を見せた。
記者に「どんな話を?」と聞かれたが「舞い上がっちゃって覚えてない」と話した。

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5/27, BBC NEWS JAPAN

大統領は岩国基地で「第2次世界大戦で命を落としたすべての人の思い出を尊重するための機会だ」と演説。
「平和と、核兵器がもはや必要なくなる(世界の)安全保障を追及していくと、あらためて確認する機会だ」と述べた。

大統領は基地でさらに、米国と日本の同盟関係は「世界で最強の(同盟の)ひとつ」だと強調し、「いかにかつての敵国同士が単なるパートナーというだけでなく、最高の友達になれるか」を自分の訪問が示していると述べた。

【広島で取材するBBCのジョン・サドワース記者の解説】

被爆者を抱きしめるオバマ米大統領の姿は、日本人の間に深い印象を残すだろう。
世論調査によると、日本の大半の人が今回の訪問を歓迎しており、謝罪がないこともほとんどの人は気にしていない様子だ。

深い象徴性で十分なのだ。
原子爆弾を実際に使用した唯一の国の指導者が、核の時代の危険性の記念碑となった町で、花輪を捧げたのだから。

しかし中には、確かにその演説は高邁な理想に溢れてはいたが、世界最大級の核兵器備蓄量を誇る国の最高司令官であることには変わりないと指摘する人もいるだろう。
しかもその核兵器の備えを刷新するため、数十億ドルの予算措置を承認した当人でもあるのだ。

大統領からわずか数列後ろにはいつものように、核攻撃命令の暗号を収めたブリーフケースを手にした将校が待機していた。


by mnnoblog | 2016-05-29 08:00 | 歴史
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   (現代ビジネスの画像と記事より)
伊勢志摩サミットが5月26日、G7の「協調」をアピールして開幕した。
だが、各国が足並みを揃えられるのは、今回が最後になるかもしれない。

米大統領選で共和党のトランプ候補が躍進しているのをはじめ、世界で「自国優先主義」が勢いを増しているからだ。

1975年、フランスのランブイエから始まったサミットの時代は、一言で言えば「協調の時代」だった。
石油ショック(73年)への対応を話し合うために集まった首脳たちは、それぞれの国益をひとまず横へ置いても、結束して景気をテコ入れする必要に迫られた。

その後、冷戦が終結し91年にソ連が崩壊すると、旧ソ連圏諸国の民主主義的移行を後押しするために、94年からロシアが政治討議に参加する。
それからしばらくは世界がユーフォリア(幸福感に満ちた楽観主義)に包まれた時代だった。

ところが、そのロシアは2014年3月にクリミア半島に侵攻する。
その結果、同年6月にロシアのソチで開かれるはずだったサミットは中止され、代わりにブリュッセルで開かれたサミットでロシアの除名を決めて現在に至っている。

G7各国はロシアのクリミア侵攻を一致して非難したが、世界を見渡すと、残念ながら事態は改善するどころか悪化の一途を辿っている。

中国は尖閣諸島を脅かす一方、東シナ海の上空を「防空識別圏」と称して縄張り化を目論んだ。
南シナ海では次々と人工島を建設し、軍事要塞化を進めている。
中ロの無法はテロリストに伝染して、中東では「イスラム国」が暴虐の限りを尽くしている。

米大統領選でトランプ候補が健闘したり、フランス地方選でル・ペン党首率いる右翼の国民戦線が躍進したのは、中ロやテロリストたちの無法が広がっているのと裏腹の関係にあるとみていい。

テロリストが難民に混じって欧州に浸透している。
その恐怖が「国境の壁を高くして国を守ろう」という主張に共感しているのだ。

英国で欧州連合(EU)離脱論が勢いを増しているのも、同じ潮流である。
ロンドンや隣のパリはテロに見舞われた。
人の自由移動がEUの重要な柱になっている。
テロへの恐怖が自由移動のEUから脱退して国境を高くしようという議論に勢いを与えている。

もしも英国がEUを脱退すれば、英国は関税同盟(=EU)の下で関税ゼロだったEU諸国とはもちろん、100ヵ国近い国々と関税協定を結び直さざるをえない。
相手国の関税引き上げ圧力に加えて自国への投資減退から、目先の景気だけでなく中長期的にも成長力が衰える。

それでも「島国で孤立していた方が安全」と考える人々が増えている。
オーストリアでも、結局は敗北したが右翼の大統領候補が大善戦した。

トランプはけっしてトランプだけではなく、あちこちに「ミニ・トランプ」が出現している。

もしもトランプ候補が11月の大統領選に勝利すれば、来年のサミットは様変わりするだろう。
トランプ氏は環太平洋連携協定(TPP)に反対し、日本や中国に高関税を課すと公言している。
それは、いまのG7が掲げる自由貿易主義と相容れない。
外交面でもトランプ氏は「中国をサミットに加えよう」と言い出すかもしれない。
トランプ氏は中国とは互いの縄張りを認め合えば、共存共栄できると考えているようだから、サミットを縄張り確認の場にしようと考える可能性がある。
もちろん中国は大歓迎するだろう。

英国がEUから離脱すれば、英国だけでなくEUにも打撃になる。
自国優先主義がEUの中で勢いを増すきっかけになる。ル・ペン党首が出馬するとみられている来年のフランス大統領選にも影響を与えるのは間違いない。

こうした中で、日本はどうふるまうのか。
安倍政権が昨年成立させた一連の安全保障関連法は、米国との同盟関係を強化して、中国や北朝鮮の脅威に対抗しようという狙いだった。
オーストラリアやベトナム、フィリピン、インドなどとも安保協力を強化している。
その路線は周辺国との協力関係を強めて共同で脅威に対処しようとする国際協調主義であり、自分の城を固めて閉じこもる「自国優先主義」とは正反対と言っていい。

では、日本で自国優先主義を唱えているのは、どういう勢力か。
それは野党勢力である。

彼らは基本的に「日本が攻められた時に日本が守ればいい」という考え方に立っている。
言い換えれば「他国が攻められても、それは日本に関係ない」。
あくまで日本が優先なのだ。

実は、そういう考え方の米国版がトランプ氏の主張である。
野党が言うように「他国は知らない。
日本は日本のことだけやる」という考え方を貫くなら、トランプ氏の「米国は米国を守るだけで精一杯だから、日本が米軍駐留費用を全額負担しないなら米国は出ていく」という主張に反対できないだろう。

自国優先主義という亡霊が世界を彷徨いだした。
国際協調主義に立つG7サミットが今後、どうなるか。いまは分岐点だ。

日本は自国優先主義ではやっていけない。
国土が25倍、人口は10倍、国内総生産は2倍、軍事力は4倍の「中国という脅威」を隣に抱えて、自国だけでは対抗できないのだ。

もしも自国だけで対抗しようとすれば、とてつもない軍事国家を目指す話になってしまう。
加えてエネルギー資源もない。

だから日本は安保防衛はもちろん、経済面でも国境の壁を低くして他国と協調しながら生きていくほかはない。
伊勢志摩サミットは自国優先主義が勢いを増す中、日本が世界でどう生きていくのかを見直す絶好の機会である。

サミットが終われば、日本は参院選を控えている。
サミットで他国に財政出動を促しながら、当の日本が消費税増税するなどという身勝手は許されない。

増税はもちろん先送りだろう。
衆参ダブル選はどうするのか。永田町ではダブル選見送り論が強まっている。

だが、大きな時代の潮流を見れば、安倍政権はサミットを終えるいまこそ、野党勢力に「あなたたちは日本をどういう方向に導こうとするのか」戦いを挑む絶好の機会ではないか。
安倍首相は衆参ダブル選で日本の針路を問うべきだ。 
 
by mnnoblog | 2016-05-28 08:11 | 国際
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(WOTOPIの記事より)

現在、大学生の2人に1人が何らかの奨学金制度を利用していると言われている。
しかし高い学費や就職率の悪化などを背景に、その返済に困難を抱える人は増加の一途をたどり、日本学生支援機構の2011年度末の延滞額は876億円、延滞者数は33万人にも上る。

その問題の原因はどこにあるのか。
奨学金問題対策全国会議事務局長の岩重佳治弁護士に伺った。

――奨学金の返済に困難を抱える人が増えています。
その背景にはどのような理由があるのでしょうか。

岩重佳治弁護士(以下、岩重):大きな2つの変化が関係していると考えています。
まずひとつめは、学費が非常に高くなってしまっているということ。

1970年代の初年度入学金や授業料は、国立で1万6000円、私立では17万5000円程度でした。
しかしこれが2010年には国立で約82万円、私立で約130万円となっており、物価の上昇を考慮しても非常に高くなってきていることが分かると思います。

こうした学費の値上がりには、教育費は社会全体で負担するものではなく本人が支払うべきであるという「受益者負担」の考え方が強く表れています。
また当時は、国立と私立の学費の格差が問題となっており、これを是正するために、私立の学費を下げるのではなく、国立の授業料を引き上げたことも学費上昇の原因のひとつになりました。

そして、ふたつめの大きな変化が雇用状況の悪化です。
昔は就職状況もよかったですし、会社に勤めれば年がたつにつれて給与があがっていきました。
でも今は非正規労働などの不安定・低賃金労働も増えていますし、雇用状況が非常に不安定になっています。

この2つの変化の結果何が起こったかというと、高い学費を個人が払う必要が生じ、それを負担するために、奨学金を借りる人が増えました。
つまり卒業するときには数百万円の借金を背負っている人たちがたくさん生まれたわけです。

しかし、同時に雇用状況の悪化によって生活が苦しい人が増え、その借金を返すことができない人も増えてきた。
これが奨学金問題と呼ばれ、表面化してきたというわけです。

――上記の社会変化に加えて、奨学金の制度自体も大きく変化したといわれていますよね。

岩重:はい。以前は日本育英会というところが奨学金事業を行っていましたが、2004年から日本学生支援機構というところが運営母体となりました。

日本学生支援機構では奨学金制度を「金融事業」と位置づけ、民間資金を次々に導入していきました。
簡単に言えば、奨学金という名前のついた学生ローン、つまり「金貸し」によってビジネスを行う仕組みを整え始めたということです。

これに伴い無利子ではなく、有利子でお金を貸し出す奨学金が一般化していきました。

無利子の第一種奨学金と、有利子の第二種奨学金は、その財源が違うんですね。
第一種のほうは国の貸付金や学生さんからの返還金を財源にしていますが、有利子のほうは民間からの借入金や債権をもとに運用をしています。

有利子枠のように外部資金で奨学金を運用するということになると、お金を集めてくるために「良い債権」にしなくてはいけなくなります。
つまり貸したお金の回収率が高く、金融商品として安全だということをアピールしていく必要がでてくるんですね。

その結果、回収の強化が行われるようになっていきました。
まず始めたのが延滞した場合の罰則金、つまり延滞金の回収強化という仕組みです。

返済期日までに返還しなければ、貸付金の10%の割合で(平成26年以降は5%)延滞金が発生します。
また延滞が3か月に達すると個人信用情報機関に登録され、ローンやキャッシング、クレジットカードなどの審査に通りにくくなり、4か月を超えると債券回収専門会社(サービサー)からの取り立てが始まります。
さらに、回収したお金は元本ではなく、まずは延滞金や利息の返還に充てられていきます。

その結果借金の元本が減ることなく、延滞金や利息の返済を続けている人がいるという状況が生まれています。

――奨学金と他の借金、ローンはどう違うのでしょうか?

岩重:決定的に違うのは、借りるときには将来の仕事や収入が分からず、返せるかどうかが分からないという点です。

よって、返せなくなる可能性というのは誰にでも生まれうるわけです。
こうしたことを考えると、返せなくなった際の救済制度を整備することが非常に重要になってくるはずです。

しかし、現状として救済制度は不十分だといわざるをえません。
例えば、救済制度のひとつに、返せなくなった人が返還を先延ばしにすることができる猶予という制度があります。

しかし、この猶予制度には様々な制約があります。
まず、借金返済の延滞が生じてしまっている人はこの猶予制度の利用が制限されるという点です。

つまり生活状況が苦しくなり、借金を返せなくなった結果延滞をしてしまったとします。
そこで猶予を申請しようとしても、一部の例外を除いては、延滞している元金と延滞金をすべて支払うまでは猶予制度を適用することができないということです。

また、猶予は10年間にわたって認められるため、過去に延滞が発生していた場合でも当時の収入が少なかったことを証明できれば延滞金を支払わなくてもいいはずなんですね。

しかし猶予の申請のために必要な所得証明書などは、一般的に役所では5年分しか取得できません。
ですから、必要な書類が手に入らず猶予制度の申請ができないという人が生まれてしまうわけです。

さらに、10年の猶予期間を過ぎればたとえ収入がなくても返済を開始しなくてはなりません。
このように猶予という制度は、生活が苦しくて返済が困難な人にとってかなり使いづらい制度になっているといえます。

最近では、生活が苦しい人が返済に苦しまなくていいよう、所得に応じて返還する金額を決める「所得連動型返還制度」という制度も検討されていますが、これも現在の素案には疑問を抱く点が多々あります。

まず、収入が0円、つまり全く収入が無い人にも返済を要求するという設計になっているという点です。
いくら収入が少なくても2000円~3000円程度だったら支払えるはずだという考えがあるようですが、特別な資産がない限り返済をすることは不可能でしょう。

また、1週間の食費を2000円程度でまかなっているような家庭の現状を考えれば、2000円~3000円という金額がどれだけの負担になるかということは想像に難くありません。

せっかく新しい制度を作っても、このように不十分な点が多い。
ですから、実際に奨学金を借りている人の実情を踏まえた議論を行うことの重要性をとても感じています。

岩重:日本では一種、二種ともに貸与の形がとられていますが、諸外国では給付型の奨学金が一般的なんですね。

ですから、奨学金というのは給付というのが本来の形なのだと訴えていく必要があります。
また学費がこれだけ高騰していることを考えれば、学費の引き下げといった改革も必須であるといえるでしょう。

こうした大きな制度改革と同時に、現在の奨学金制度のおかしな点を直していくということも重要です。

例えば、猶予制度を申請しやすくしたり、延滞金を柔軟に減免したりとできることは沢山あるはずなんですね。

そもそも延滞金というのは金融事業の儲けの部分なので、本来はいらないもの。
ですから延滞金というのは予算がなくてもなくすことができるはずです。
こういった今からできることを訴えていく必要もあると考えています。


by mnnoblog | 2016-05-27 08:20 | 政治
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    (日経新聞の記事より)

第一次大戦中、英国とフランスがひそかに中東の分割を決めた「サイクス・ピコ協定」から100年がたった。

恣意的な国家建設につながる両国の密約は、内戦が続くシリアやイラクなど現在の中東混乱の元凶の一つであり、過激化組織ISの「欧州列強に押し付けられた国境を消し去り、イスラム教徒の手で真の国家を建設する」という動機になっている。

中東で国家の枠組みが今ほど揺さぶられたことはない。
「国と国の境界が意味を失いつつある」とカイロ大学のハッサン教授は言う。

「サイクス・ピコ協定」により、イラク、シリア、トルコにまたがって暮らす少数民族クルド族は、ISとの戦いで存在感を強め、国籍に関係なくつながりを深めている。

フセイン政権による独裁のタガが外れたイラクは、イスラム教のスンニ派とシーア派の溝が深まり、国家としての一体性を失った。

シリアは5年以上にわたる内戦で、多くが国を離れざるを得なくなっている。
ISが「国家」を名乗り、イラクとシリアに支配地を築き、100年来の秩序に挑戦している。

エルサレム公共問題研究所のフレディ・エイタ氏は「中東問題の中核には国が生まれた基盤の不安定さがある」という。

戦後、アラブの独裁指導者は国の発展をなおざりにして専制支配体制を築いた。
欧米も「中東の戦略的重要性」を理由に黙認した。

過激派に付け入るスキを与えらのは、中東の国家統治の失敗という側面がある。

※三つの協定
イギリスは第一次世界大戦中に中東問題に対して、以下の三つの協定を結んでいた。

 *1915年10月ーフサイン=マクマホン協定(中東のアラブ独立)
 *1916年5月ーサイクス・ピコ協定(英仏露による中東分割)
 *1917年11月ーバルフォア宣言(パレスチナにおけるユダヤ民族居住地建設)

これにより、第二次世界大戦後のパレスチナ問題や、1921年3月21日のカイロ会議ではガートルード・ベルの意見が採用され、現在も不自然な国境で分断されているクルド人問題など多くの問題を生じた。
  (ウィキペディアの記事より)


by mnnoblog | 2016-05-26 08:37 | 国際
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   (日経新聞の画像と記事より)

昔、銀行強盗といえば目出し帽をかぶり、トンネルを掘ったが、もはやそうではない。
3か月前、世界は史上最大の銀行強盗を経験した。
窃盗団がバングラデシュの中央銀行から1億100万ドル(約110億円)を盗んだのだ。

21世紀の銀行強盗は銃を使わなかった。
その代わり、国際銀行通信協会(スイフト)が運営する銀行間の決済情報をやり取りする国際的なシステムへのアクセスコードを入手し、これらのコードを使って米国の連邦準備銀行を信じ込ませ、自分たちの口座へ資金を送金させた。
その後、関係銀行のソフトウエアを書き換え、自分たちがサイバー空間に残した痕跡を消し去った。

これは当然、世界中に衝撃を走らせ、米JPモルガンなどの銀行は従業員にスイフトコードへのアクセスを制限すると通達している。

金融界はこの事態にどう対応すべきか。明白な優先事項が少なくとも2つある。
まず世界の規制当局者と民間金融機関の幹部は早急にサイバー防衛のレベルを引き上げる必要がある。

近年、大半の大手欧米銀行はサイバー防衛を強化した。
ただ、個別の銀行のセキュリティーレベルは高いものの、国境を超えた協力体制の動きは鈍いことが多く、システムには驚くべき穴が複数ある。

ハッカーを訴追する法的な枠組みは不備が多い。
銀行間の情報共有も往々にしてお粗末だ。
英国とスエーデンの中央銀行は民間銀行に自行のスイフトコードの監視強化を求めたが、新興国の政府は公式な対応をほとんどしていない。

第2の優先事項は、規制当局も投資家も金融システムの「つなぎ目」にもっと注意を払う必要がある。
鎖の強さは一番弱い輪で決まるからだ。
スイフトという輪への監視を厳しくし、もっと公の議論を深めることだ。

スイフトは1973年に非営利の協同組合として設立され、1万強の銀行が加盟している。
従業員数もわずか2400人だが、組織の規模を大きく上回る影響力を持つ。
スイフトのシステムは国境を超えた高額な支払いのほぼ半分を送金するために使われているからだ。

スイフトに何らかの将来があるとすれば、スイフトコードの安全を確保できることを疑問の余地なく証明し、何にもまして加盟銀行にもっと強固なサイバーロックを取り付けるよう説得する必要がある。

我々はスイフトがこの難題に対処できることを祈りたい。
もし対処できなければ、すでに様々な問題を抱えている国際金融には、ほかにも深刻な弱点があることが新たに判明してしまうことになる。


by mnnoblog | 2016-05-25 08:43 | 産業
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      (日経新聞の記事より)

全国のコンビニのATMで今月15日、偽造されたとみられるクレジットカードで現金が一斉に引き出される被害があったことが22日、捜査関係者への取材で分かった。

捜査関係者によると、不正な引出しは少なくとも10数都道府県で行われ、被害額は10数億円に上がる可能性があるという。

南アフリカの銀行が発行したクレジットカードの情報が流出し, 日本のATMで現金を借りるキャッシング機能が悪用されたとみられる。

警察当局は国際犯罪グループが関与しているとみて、窃盗容疑などで捜査を開始。
国際刑事警察機構などと連携し全容解明を急ぐ。

15日の数時間のうちに、東京や大阪など10数都道府県で、ATMから一斉に限度額の現金が引き出されていた。

各地で動員された多数の「出し子」によって現金が引き出されたとみられ、警察当局は防犯カメラの映像などを解析し、行方を追っている。

国内の金融機関からの情報提供で被害が発覚した。
ATMの取引記録から、南アフリカの銀行が発行したクレジットカードの情報が使われていたとみられる。

警察当局は犯罪グループが流出したカード情報をもとに偽造カードを作り、キャッシング機能を悪用して現金を引き出した可能性が高いとみている。


by mnnoblog | 2016-05-24 08:49 | 社会

厚生労働省の分割論

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    (日経新聞”大機小機”の記事より)
自民党内で厚生労働省の分割論が浮上している。
2001年の中央省庁再編は、縦割り行政の防止と内閣機能強化を目指した。
しかし、現実には巨大な官庁による業務の効率性低下の弊害が深刻となっている。
特に厚生労働省の業務は、膨張する社会保障費への対応、成長戦略のコアである労働改革、災害時の緊急対策など幅広く、これを一人の大臣が所轄するのは限界がある。

国会の厚生労働委員会は常に満杯で、重要法案の審議も進まない。
こうした実情から昔の労働・社会保障への2分割論、さらに子育ても含めた3分割論が出ている。

しかし組織の分割は、本来、中長期と短期の政策の差に対応することが必要だ。
長期の政策の典型は公的年金である。
高齢化社会で増え続ける高齢者の年金費用を、減少する勤労世代に負わせる現行方式のリスクは高まる一方だ。
また毎年の年金給付額を社会保険料で賄えず、一般会計からの補助金に依存している。
その膨張が慢性的な財政赤字を通じて国の債務の持続的拡大の主因となっている。

公的年金を運営する厚労省年金局は、事実上は国営の年金保険会社である。
旧簡保のような独立の事業体ではないため、選挙のたびに「給付は多く、負担は少なく」のシルバー民主主義に翻弄されてきた。

保険会社の基本は保険給付と保険料収入の均衡化にある。
また後の世代への負担先送りを防ぐには、国民の老後の資産を守る年金保険財政の透明化、支給開始年齢引き上げなどの改革、およびその監督責任の強化が不可欠である。

民間保険会社は金融庁が監視している。
米国にあるような政府の年金保険財政の経営の健全性をチェックする独立機関は日本には存在しない。
年金保険を厚労省が自ら運営する結果、非現実的な経済前提の基づき年金積立金が膨れ上がるという「100年安全年金」の看板は維持されたままだ。

年金保険の問題点は、単年度決算で企業や地方自治体が保険者の医療・介護保険と対比される。
これらの公的保険の赤字は明確で、それに対応して診療・介護報酬が調整される。
問題は国が直営する年金保険の透明性の欠如だ。
監督責任を明確にするため、年金保険組織の分離独立が必要とされる。
by mnnoblog | 2016-05-23 08:40 | 政治
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      (朝日新聞 DIGITAL の記事より)

横浜港の米陸軍施設「横浜ノース・ドック」と周辺で大型連休中などに、米空軍横田基地(東京)のヘリコプターが、日本側へ通知せず特殊訓練をしていたことがわかった。

一帯は訓練施設ではなく、訓練は日米地位協定に抵触する可能性がある。
付近は商業・観光施設が集まる横浜の中心部で安全面の懸念もあり、防衛省や横浜市、県は事態の確認を始めた。

横浜ノース・ドック(ND)は、瑞穂埠頭(ふとう)と水域の計約63万平方メートルを港湾施設として米側に提供。
主に陸軍が管理し、物資の搬出入や貨物輸送、備蓄に使われている。
湾岸の南西側は観光施設が集まるみなとみらい地区、北東側は工場や発電所が並び、西には横浜駅周辺の商業地域がある。

連休中の4月29日午前11時前、灰色のヘリが横浜港上空を何度か旋回した後、ND上でホバリングし、特殊器具で機内の兵士を地上へつり下ろした。
ヘリはその後、埠頭にある風力発電ハマウィングの風車の上部より低空で旋回飛行してからNDへ戻り、地上の兵士を機内につり上げた。

在日米軍司令部は朝日新聞の取材に、空軍横田基地のヘリUH1がNDで訓練をしたと回答した。
29日に加え、同月25日にも昼と夜に同型ヘリが訓練をしたと公表した。

在日米軍によると、この訓練は、新たに機体へ装備したホイスト(つり下げ装置)を使った特殊任務飛行班によるもので、夜間は暗視ゴーグルも用いて難易度が高いという。
ホイスト訓練について、自衛隊パイロットは「高度な技術と判断力が必要で、かなりの危険が伴う」と語る。


by mnnoblog | 2016-05-22 08:48 | 政治

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