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 (Newsweek の画像と記事より)

世界の主要国で、30~50代の中高年男女の不幸感がどう違うかを、既婚者と未婚者で比較してみた。

どの国でも既婚者より未婚者、同じ未婚者でも女性より男性の方が不幸感は高い。
しかし日本の未婚男性の不幸率は43.5%で群を抜いている。
未婚女性(8.1%)との差も際立って大きい。

結婚して家族を形成できないことの不幸は、日本では男性の方に集中しているようだ。

日本では、伝統的に「男性は結婚して家庭を持って一人前」という風潮があるので、未婚の男性に対する風当たりが強いのかもしれない。
家事スキルのない独身男性は生活が荒むとか、過重労働の疲れを癒してくれる「情緒安定」の場が得られないなど、他にもいろいろな要因は考えられる。

男性は、離婚率が高い年ほど自殺率も高い傾向にあるが、女性は逆になっている。
男性の場合、支える目的や情緒安定の場の喪失という意味で、離婚(家族解体)は自殺のきっかけになり得るが、女性は必ずしもそうではないことが示唆されている。
女性の場合は、家庭の諸々の束縛から解放されるという点で、離婚は自殺の抑止因になっていることも考えられる。

未婚男性の「不幸」感が未婚女性と比較して著しく高いというデータは、日本の家族の意味合いが男女で異なっていることがうかがわれる。
それは、日本社会の性役割規範(ジェンダー観)がいまだに根強いことの証左に他ならない。


by mnnoblog | 2016-07-31 08:33 | 社会
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   (Business Journal の画像と記事より)

超高齢社会の健康問題の核心である「老化」は、一生涯にわたる対策で取り組まなければならないことに気づき始めた方も多いと思う。
老化に対する耐性を身につけるために、若い頃の筋肉量を増やす運動(スポーツ)の経験が大きな役割を果たすのはその好例である。

しかし、若い頃にいかに運動に打ち込んだとしても、悲しいことに私たちの体の筋肉量は30歳から70歳までの40年間で10年ごとに3~8パーセントずつ減少することがわかっている。
そして70歳以降はさらに減少率が指数関数的に上昇する。
この減少は老化によるものであるが、個人差が極めて大きいのが特徴である。

この差を生む原因を特定するため地域の元気なシニアの方々の協力を得て、老化の進む速度を決めているライフスタイルをはじめとするさまざまな要因を明らかにする研究を続けてきた。

その中で、老化のレベルが鋭敏に反映される最大歩行速度とたんぱく質栄養の相関関係を示すデータを紹介しよう。
体のたんぱく質栄養を評価する指標にはさまざまなものがあるが、精緻な量反応性を備えた指標として血清アルブミンが最良である。

地域の元気なシニア約350名の協力のもと行った8年間の縦断研究である。

初回調査で採血し血清アルブミンを測定して、値の高くたんぱく質栄養の良いグループ(4.3g/dL以上)、中位グループ(4.2~4.1g/dL)、低いグループ(4.0~3.8g/dL)に分け、その後8年間の各グループの最大歩行速度が低下する程度を比較した。

その結果、たんぱく質栄養の良いグループに比べ、低いグループは約40%最大歩行速度の低下量が大きいことが明らかになり、中位グループはその中間の20%程度の低下量であった。
血清アルブミンと最大歩行速度の低下の関係は直線的なこともはっきりした。
たんぱく質栄養の良いシニアほど老化の速度が遅く抑えられ、足腰の衰えがわずかで済んでいることを示している。

この関係は、運動習慣があるかないか、年齢は何歳か、あるいは太っているか否かなど他にも関係している項目の影響を加味酌量しても、変わらない明瞭なものだった。
たんぱく質栄養が良好なシニアほど、体の虚弱化が予防され要介護リスクが低いのである。

この縦断研究で示された老化とたんぱく質栄養の関係は、その後アムステルダム在住のシニア集団の研究でも確認され、現在では国際的な共通認識となっている。


by mnnoblog | 2016-07-30 08:09 | 健康
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   (Business Journal の画像と記事より)

身体の歪みが全身にさまざまな症状を引き起こすことは、よく知られています。
身体の歪みは頭痛、首や肩の痛みやコリ・手足のしびれ・神経痛腰痛などの原因となります。
これは主に背骨の歪みやズレに起因するとされています。

それぞれの骨には脊髄があり、脊髄神経も出ていますので、身体の歪みで重要な神経が圧迫されて重篤な症状が出たり、歪みを補正しようと筋肉が無理に働くため、痛みやコリを発生させます。

身体を歪める原因は、同一作業やスポーツによる偏った姿勢、ケガや事故、内臓疾患などさまざまですが、噛み癖や噛み合わせなど、口の状態が原因になることもあります。
ブリッジ、入れ歯、矯正、インプラントなどの歯科治療が原因になることも多いのです。

偏った噛み方の原因は、痛い歯があり、そこを避けて噛む、歯が抜けたままになっているので残った歯だけで噛むといったわかりやすい場合のほかに、歯列矯正やブリッジ、入れ歯、インプラントなどの歯科治療でも起こります。
これらの治療は複数の歯を一度に治療しますので、噛み方が偏りやすいのです。

歯科治療が原因とは気づかずに身体の不調に苦しみ、マッサージや整体、整形外科、内科などで対症療法を繰り返し受けている方が多いことは容易に想像できます。

歯は、治療して数が揃っているだけでは不十分で、偏りなく左右均等に噛めることが重要です。身体の不調の原因が口の状態に起因していないか、再確認してみることも必要です。


by mnnoblog | 2016-07-29 08:53 | 健康
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     (NewSphere の記事より)

東京在住8年の45歳の女性弁護士、シビル・ケインさんは、近くコネチカット州にある兄弟の家を訪ねる予定だが、その道中で2012年に乱射事件があったサンディフック小学校を通過する。
この事件では、20歳の男が校舎に侵入して100発以上の銃弾を発射、児童20人を含む26人が死亡した。
コネチカット州は富裕層が多い比較的治安が良いとされる地域なだけに、ケインさんは「(アメリカに)安全な場所はない」と語る。
そして、地震の不安と天秤にかけても、幼い娘を伴って帰国するよりも日本に留まりたいと思っている。

在日20年以上の大学講師、マリー・ノブオカさん(50)は、アメリカの父が13歳の息子と一緒に住み、英語を学ばせるために現地の学校に通わせることを提案してきた時、「スクール・シューティング」のことが頭をよぎり、申し出を断ったという。
彼女は「乱射事件が稀だということは分かっています。でも、進んでロシアン・ルーレットをする理由がありますか?」とWPに語っている。

日本在住歴20年の広告プロデューサー、ジョシュア・バリーさん(43)も、この夏の一時帰国には不安を感じるという。
アメリカを「ナーバスで怒りっぽい警官とナーバスで怒りっぽい市民が武装して跋扈する地」だと言い、子供が一人で地下鉄に乗って通学できる日本の治安には「安心しきっている」とのことだ。

こうした声を拾ったWPの記事には、100を超える読者コメントがついている。
その中には、日本の安全神話に疑問を投げかける意見もある。
「銃がなくても日本では毎日人が殺し合っている」と語るコメント主は、刃物による殺人事件の残虐性はむしろ日本のほうがひどいという意見だ。

2年間日本で英語を教えているという別のコメント主は、銃規制の有無に加えて、「集団の和を大切にする日本」と「個人主義のアメリカ」という日米の文化的な違いを銃規制の有無の背景として強調する。
しかし、この意見に対しても、「実際に日本で仕事をすれば、日本も『自分の身は自分で守らなければいけない』社会だということが分かる。
この国ではたとえ目の前で何か良くないことが起きても誰も助けてくれない。
この点では、西洋社会にはある種の人情がある」という反論が寄せられている。

銃で人が死なない代わりに、自ら命を絶つ人が多い日本を「天国だなんてとんでもない」と語る読者もいる。
このコメント主は日本の自殺率はアメリカの2倍であるとしたうえで、日本の方が人命が尊重されているとは決して言えないという見方だ。

日本と銃規制の問題をテーマにした本の著書、デビッド・コペル氏は、日本で銃規制が機能している理由を『サザン・カリフォルニア・パブリック・ラジオ』(SCPR)に次のように語っている。

「1500年代の日本は戦乱の社会だった。上流階級(武士)は戦に銃を使ったが、本当は地位を危うくするものだと嫌っていた。
刀を持ったサムライは普通の農民には勝てるが、もし、農民が拳銃やライフルを持っていたら力が対等になってしまうからだ。
そして、日本にはまだ、社会のコントロールが強い内向的な文化が残っている。
私たちアメリカ人は、政府は市民が作ったものだと思っている。
日本人は政府や権力を、社会に初めから備わっていたものだと考えている。
政府組織の存在に勝る個人の人権は存在しない」。

つまり、「お上に従う」という、個人よりも組織重視の社会構造により、銃規制という「お達し」にも皆が従っているということだろうか。
日本と並んで治安が良いとされるスイスでは、逆に成人男性は国防のために自動小銃を自宅に所持し、定期的に射撃訓練を受けることが義務付けられている。
銃の所持に対して正反対な政策を取る両国が安全神話を築いているのは、「強い家族の絆と強力なセーフティーネット、社会の強い結びつきがあるからだ」とコペル氏は言う。

「自分の身は自分で守る」という個人主義においては、スイスとアメリカには共通点があるが、スイスの場合は自分の身を守ることが「国を守る」こととイコールになっている。
対してアメリカは、西部開拓時代に「自分の土地」を守るために銃を手にしたのが銃社会の始まりだと言われている。
このようにそれぞれのお国柄もあり、銃規制の是非は、単純に個人主義か集団主義かで測れるものではないようだ。


by mnnoblog | 2016-07-28 08:50 | 社会
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  (NewsSphere の記事より)

日本を訪れる外国人観光客にとってラッシュアワーの電車ほど不思議な光景はないであろう。
失礼だとわかりながらも思わず写真を撮りたくなるほどである。
車両の中の人の多さに驚くと同時に、絶望的な表情を浮かべたたくさんの顔が目に焼きつき、思わず疑問が湧いてくる。
「仕事にとらわれて毎日長時間働く人は幸せだといえるのか」と。

だが、この問いに向き合い、仕事の効率と幸福度との密接な関係について考え直す必要があるのは、経営者のほうではないだろうか。
日本でもより「幸せな働き方」は可能なのだろうか。
世界一幸せの国デンマークやそれに倣った国々の近況を見てみたい。

1人当たりのGDP、社会的自由、健康寿命などに基づく世界幸福度報告書にて、デンマークが2016年の世界一幸せな国となった。
当然「幸せ」の定義は文化によって異なるため調査結果には限界があるが、他の研究成果と同様、同報告書においても幸福度と仕事の関係は明確とされている。

デンマークは世界一幸せな国であると同時に、ヨーロッパの中で労働生産性が最も高い国の一つでもある。
その生産性は、長い労働時間によるものではない。
1週間の法定労働時間は37時間だが、最近のOECDの調査によると、デンマーク人の労働時間は平均33時間なのである。

では、デンマーク企業の高い生産性はどこから来ているのであろうか。
研究者は従業員の幸福度だと指摘している。
イギリスのウォーリック大学の研究成果によると、幸福度と仕事の効率が相互に影響し合い、幸福度が高い従業員の労働生産性は、幸福度が低い従業員よりも12%高いという。
即ち、与えられた仕事を短時間でこなすことによって家庭や趣味で使える時間が増え、それに従い幸福度が上がる、ということだ。
また、幸福度が高ければ高いほど仕事の効率が上がるという好循環も成り立っている
のである。

では、どのように生産性に悪影響を与えず労働時間を短縮させ、このような好循環を生み出しているのだろうか。
デンマークと並んでワーク・ライフ・バランス度が高いスウェーデンでは、今でも一日6時間の労働時間制を導入している企業が多い。
長時間にわたる労働が効率を下げると考えているこれらの企業は、労働時間を短縮するために長いミーティングや仕事中のソーシャルメディアの利用を禁止している(英紙インデペンデント)。

また、労働環境をめぐる柔軟性も非常に重要であろう。
北欧のワークスタイルが他の文化にも当てはまるかどうかを確かめるため、アメリカや英国の様々な企業が実験的にフレックスタイム制を導入している。
6時間制度を導入している英国のマーケティング企業「Agent」では、社員は8時半〜3時半と10時半〜5時半という二つのシフトから働く時間帯を選択でき、在宅勤務も推奨されている。
また、一日の労働時間を減らすため、以前は1時間以上行っていた定例会議を8分にまで短縮したという(米ニュースサイト『CO.EXIST』)。

さらに休憩時間についても新たな規則を設けている。
これまで「Agent」の社員たちはパソコンの画面を眺めながら昼食をとりがちであったが、現在は1時間の休憩の間、オフィスから出て外で過ごすことを求められている。
そうすることによって新たな刺激を受け、斬新なアイディアを仕事に活かすことができると、同社のCEOが語っている(CO.EXIST)。

少子化問題に直面する社会においては、「ワーク・ライフ・バランス」が「ワーク・ファミリー・バランス」として捉えられがちであり、しばしば育児・子育てと仕事の両立を支援することに焦点が当てられている。
しかし競争力のある会社を目指す経営者ならば、子どもを持っているか否かに関係なくすべての社員に平等に、柔軟な働き方の選択肢を与えるべきだ。

子育てを満喫するのか美術館や旅に出るのか、プライベートライフをどのように過ごすのかを問わず、仕事から離れて費やした時間がどのように人の幸福度を上げるのか、また幸福度がどのように仕事のパーフォーマンスに影響しているのかに注目すべきだと研究者が指摘している。

「生きるために働く」か「働くために生きるか」、毎日残業に追われながら自分の働き方に疑問を抱く人は少なくないであろう。
もはや専門用語ではなくなった「ワーク・ライフ・バランス」を問うことが個人、そして企業の課題になりつつあり、現代社会のニーズに合わせた新たな働き方を検討する必要があるだろう。
デンマークをはじめ、北欧の国々は世界一ワーク・ライフ・バランスの達成度が高いと言われており、そのモデルを試してみる価値はある。

とはいえ、欧米で活用されているモデルは必ずしも日本社会のニーズに当てはまるとは限らない。
それでも、日本においてもワーク・ライフ・バランスの向上は可能であると自覚し、企業にせよ個人にせよ仕事と生活を調和させる理想のワークスタイルを模索し、働き方の変革を起こすべきではないだろうか。


by mnnoblog | 2016-07-27 08:11 | 生活
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   (日経ナショナルジオグラフィック社の画像と記事より)

インド亜大陸の北東部とユーラシア大陸との衝突は現在も続いており、それによってバングラデシュを中心とする南アジアの人口密集地帯で巨大地震が起きる危険があることが、新たな研究によって明らかになった。

研究ではバングラデシュに多数設置しているGPS追跡装置のデータを初めて活用し、時間をかけて分析を進めてきた。
その結果、一帯の地震活動がどれほど活発か、またその理由についての議論が一気に前進した。

今回の研究成果が正しいとすれば、1億4000万人以上が住むこの地域の真下に巨大活断層があることになる。
地質学的に見れば、2011年に日本でマグニチュード9.0の壊滅的な地震を起こしたものと同じ種類の活断層だ。

さらに、この活断層は動きが止まっていて、1600年代初期にムガール帝国がバングラデシュのダッカを州都とした頃から400年以上にわたって応力が蓄積していることが考えられる。

つまり、地殻活動にともなって幅200キロ以上にわたる地域が跳ね上がる可能性があると、研究者らは科学誌『ネイチャー・ジオサイエンス』で警告している。
もし断層全体が一度に崩壊すれば、最大でマグニチュード9.0の地震が発生するおそれがあるが、この地域は地震に対して無防備なため、きわめて大きな被害が生じるかもしれない。

しかし、本当に断層が崩壊するのか、あるいはいつ崩壊するのかは、研究者たちにもわからない。
「実際にこの一帯が一度の地震で滑ることになるかどうかは誰にもわかりません」と、インド国立地球物理研究所の地質学者でこの一帯の地震に詳しいビニート・ガハラット氏は言う。
「データが足りないので、それを証明することも反論することもできないのです」

インド亜大陸とユーラシア大陸との衝突は4000万年以上にわたってゆっくり起きている。
衝突によって隆起したのがヒマラヤ山脈だ。
この山脈は今も成長を続けている。

山脈が浸食されると、その土砂は世界有数の大河であるガンジス川やブラマプトラ川に運ばれ、1年に10億トンというペースでベンガル湾に流れこむ。

何百万年にわたって堆積した土砂によって、バングラデシュ沿岸の大陸棚は400キロほど広がった。
1400万人以上が暮らす大都市ダッカやその近郊地域が直面している脅威を明確に示すことができない一因はこの肥沃な堆積物にある。

「厚い堆積物があらゆる場所を覆っており、そういった場所にはさまざまな地質が含まれています」と米オーバーン大学の堆積地質学者であるアシュラフ・ウッディーン氏は言う。
「まだ観測もできていませんし、詳しい研究もできていません」

米コロンビア大学の地質学者マイケル・ステックラー氏らの研究チームは2003年から2014年にかけ、26台のGPS追跡装置を使ってバングラデシュ西部地域がインド半島と比べてどれほど動いたかを綿密に観測した。

過去にインド北東部やミャンマーで実施されたGPS調査のデータと今回のバングラデシュの観測データを組み合わせたところ、ミャンマーのシャン高原全体はインド半島に比べて毎年約46ミリのペースで南西方向に動いていることがわかった。
ここから既知の断層の動きを差し引くと、現在インドプレートがユーラシアプレートの下ですべっている距離と一致。
さらに、この一帯の動きの特徴から、インドプレートはミャンマー北西の山脈の下で動きを止め、引っかかった状態になっていることが示唆された。

「これは非常に危険な状態です。蓄積される弾性エネルギーが増えているからです」と、今回の論文の共同執筆者であるダッカ大学の地震学者サイード・ フマーユン・アクター氏は話す。

この地域の堆積物によって、今回発見された断層に沿ったひずみのいくらかは吸収されるものの、一帯の地盤は安定しているわけではない。
急速に開発が進むダッカ東部の郊外では特にそう言える。
大地震が起きれば、むしろ地震波が増幅される可能性もある。

「ダッカはゼリーの上に作られているようなものです」とステックラー氏は言う。

一方で、急成長するこの地域でずいぶん前から建築基準が無視されてきたばかりでなく、地震が起きたときにどう行動したらよいかも、人々はよく理解していない。

この無防備さはすでに脅威と言える。
2015年4月にネパールからバングラデシュ北西部にかけてマグニチュード7.8の地震が発生したとき、建物が傾いて少なくとも3人のバングラデシュ人が死亡したと報告されている。
パニック発作や心停止、先を争って逃げようとしたことがその原因だった。

「政府やNGOは人々の教育を行おうとしていますが、なかなか進んでいません」とアクター氏は語った。


by mnnoblog | 2016-07-26 08:19 | 社会
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                            (ウィキペディアの画像より)
   (Finanncial Timesの記事より)

どんな複雑な問題にも、その解決策として出されるものには必ず、明快で単純だが、間違ったものがある。
この言葉を残した米ジャーナリストのヘンリー・ルイス・メンケン(1880~1956)が、現在の政治情勢を目にすれば、やはりこう語ったかもしれない。
西側世界は今、間違いなく複雑な問題に直面している。
中でも顕著なのが、多くの市民が不満を抱いているという現実だ。

米大統領選の共和党指名候補を勝ち取ったトランプ氏やフランスの極右政党「国民戦線」のルペン党首など権力の座に就くことを熱望している人たちも、同じように明快で単純だが、間違った解決策を提示している。
彼らの掲げる政策で特に間違っているのが、国粋主義と排外主義と保護主義だ。

これらの政策はまがい物だ。
だが、多くの人が問題を抱えているのは事実だ。
国を統治するエリートたちが市民が納得するような問題解決策を今後も打ち出すことができなければ、彼らは早晩、その座から一掃されるだろう。
そして、市民が築いてきた民主的な政府と、互いが協調し合う開かれた世界秩序とを結びつけようと重ねてきた努力も、彼らと一緒に吹き飛ばされてしまうかもしれない。

なぜ大衆によるこのような反発が生じてしまったのか。
最大の要因は経済にある。
繁栄すること自体は有益だ。
繁栄するということは「ポジティブサム」の政治を生み出すことにもつながる。
つまり、誰かが潤えばその分誰かが損を被るゼロサムではなく、総和がプラスになるような政治だ。
こうした考え方が民主主義を支えているといっていい。

この考え方では、全員が同時に豊かになることが可能だからだ。
経済成長を遂げていれば、経済的な問題や社会的不満を和らげることができる。
だが経済成長がないと、怒りが増幅されていく。

米マッキンゼー・グローバル・インスティチュート(MGI)は「両親より貧しくなるのか」というまさにタイトル通りの内容の報告書を発表し、どれだけ多くの世帯が実質所得の停滞や低下に直面しているかを明らかにした。
報告書によると、2005~14年に、高所得国25カ国で平均65~70%の世帯が収入の停滞もしくは低下を経験したという。

だが、1993~2005年では、実質所得の停滞ないし低下に苦しんだ世帯は全体の2%だけだった。
税負担と社会給付などを相殺した後の実質可処分所得で見ても、2005~14年は20~25%の世帯が所得の低迷に苦しんだことが明らかになった。

MGIはフランス、英国、米国の国民6000人の調査を通して個人的な満足度も調べた。
その結果、人々は自分たちよりも裕福な人たちと比べて暮らし向きが向上しているかどうかより、自分たちと境遇が近い何年か前の人と比べ向上しているかどうかで満足度が大きく変わることがわかった。
つまり、たとえ自分より豊かな同世代の人間に追いつかなくても、自分の暮らし向きが上向いていればいいことが判明した。
そして格差の拡大よりも自分の収入の停滞を気にすることがわかった。

実質所得が長期間停滞している最大の原因は、08年の金融危機の発生に加え、その後の景気回復力が弱いことだ。
収入の停滞を経験した一般市民は、産業界や行政、政治を担うエリートたちの能力と誠実さを信じなくなった。
他にもマイナスに働いた要因がある。
その一つが高齢化だ(イタリアで特にそうだ)。
また国民所得に占める賃金の割合が低下しているという要因もある(これは米国、英国、オランダで特に重要だ)。

第2次世界大戦以降のどの時期よりもはるかに長い期間、実質賃金の伸びが停滞しているのは、政治にかかわる根本的な問題である。
だが、これだけが不満を生む唯一の原因なわけではない。
所得分布の中間に位置する多くの人は、文化的な変化にも脅威を感じている。
移民やグローバル化の進展も不満の一因だ。
自国の市民権は、豊かな国で大半の人が持っている最も貴重な資産だ。
彼らはこれを外部の人間と分かち合うのを嫌う。
英国が6月の国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を決めたのは一つの警告だ。

では、何をすべきか。

まず初めに、我々は繁栄するために互いに依存していることを理解することだ。
従って、主権の行使と国際協調との折り合いをつけることが問われる。
国際的な統治体制は重要で、特に各国が自国だけではなし得ないことを実現する際、必要になる。
欠かせない地球公共財の提供が一例だ。
今や気候変動の方が国際貿易や資本移動のさらなる自由化より優先度が高いといえる。

次に、資本主義を改革する。
金融の存在が大き過ぎる。
金融システムの安定性は以前より高まったが、安定には逆効果となるようなインセンティブがまだ残っている。
企業では株主の利益が、社員や取引先、地元住民といった他の利害関係者の利益に比べ重視され過ぎている。

第3に、各国政府は国内の意味のある政策目標を実現するのに役立つような国際協調を進めるべきだ。
最も重要なのは課税制度だ。
西側諸国の富裕層は、民主主義の法の下で財産が守られているのだから、課税逃れをしてはいけない。

第4に、経済成長を加速させ、機会の平等を改善することだ。
そのためには、特にユーロ圏では総需要を下支えすることが必要だ。
投資と技術革新を促すことも肝要だ。
経済見通しを大きく変えるのは不可能かもしれない。
だが、最低賃金を引き上げ労働者の税控除を厚くすれば、低所得層の生活水準を高められる。

第5に、各国で目立ってきた扇動政治家と戦うことだ。
未熟練労働者が自国へ流入するのを抑えろという圧力に抵抗することは難しい。
だが、流入を制限できても国内労働者の賃金低下に歯止めをかけられるわけではない。

同様に、安価な輸入品から国産品を保護しても結局は高くつくうえ、全雇用者に占める製造業従事者の割合を大幅に増やすことはできない。
確かに製造業従事者の比率はドイツでは米英よりかなり高い。
だが、ドイツは巨額の貿易黒字を計上しており、製造業の競争力は高く、これをそのまま他国に当てはめることはできない。

何にも増して、こうした難題を認識する必要がある。
経済停滞の長期化や異文化の衝突、政策の失敗とが相まって、国家としての民主主義の追求と、国内事情を時にある程度犠牲にしなければならない国際協調の推進とのバランスを取ることが難しくなっている。

トランプ氏が米大統領候補になったことがその一つの表れだ。
熱狂的な国粋主義の台頭を抑えるには、創意に富む野心的なアイデアを生かし、民主主義と国際協調のバランスを保たなければならない。
これは容易ではない。
しかし、失敗は許されない。
我々の文明そのものが危険にさらされているからだ。


by mnnoblog | 2016-07-25 08:16 | 社会
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   (JB pressの画像と記事より)

米国のオバマ大統領は、中国の南シナ海人工島建設問題でようやく「航行の自由作戦」の実施を決断した。

大統領の決断に従い、米海軍イージス艦ラッセンは、10月27日、中国が建設した人工島周辺12カイリ内を航行した。
この航行自体は海洋法上認められている自由航行権の行使であり、国際法上も全く問題のない行動であるが、中国側は激しく反発している。

そもそも根拠の全くない九段線に依拠した南シナ海における領有権主張は論理的に破綻しているし、人工島周辺12カイリを自らの領海であるとの主張についても海洋法上否定されている。

米海軍の作戦は極めて妥当なものであるが、これに対して中国が今後さらに軍事的に反発をエスカレートさせていくか否かが注目される。

オバマ大統領が「航行の自由作戦」を決断する際には、国防省などが様々なシナリオを列挙し、数多くのシュミレーションを繰り返し、最悪のシナリオにも対処できることを確認して決断しているはずである。

米国の国防省が実施したシュミレーションをうかがい知ることはできないが、「米国と中国がもしも南シナ海で紛争状態になったら、どちらが有利であるか?」を知りたくなる。

この素朴な疑問に対して答えてくれるのが、ランド研究所が最近発表した「米中スコアカード」という報告書である。

この報告書は400ページを超える。
本稿においては、そのエキスを紹介したいと思う。

まず結論を紹介したい。

「2017年の時点では、まだ米国の軍事力が全般的な優位を保持するであろう。
しかし、中国本土に近い台湾紛争シナリオでは厳しい状況になり、人民解放軍の航空基地攻撃能力や対水上艦艇攻撃能力が米軍に対して優位となる。
中国本土から遠いスプラトリー諸島紛争シナリオでは米軍が全般的に優位である」
という事である。

その他の結論は以下の諸点である。

*人民解放軍は。1996年以来、長足の進歩を果たし、全般的に人民解放軍が米軍との能力差を縮小させている方向だが、総合的な能力において米軍事力に追いつくまでには至らない。
しかし、中国本土近傍を支配するためだけであれば米軍に追いつく必要はない。

*人民解放軍は、紛争の初期において一時的及び局所的な航空優勢と海上優勢を確立する能力を有する。
特定の地域紛争におけるこの一時的及び局所的な優勢により、人民解放軍は米軍を撃破することなく限定的な目的を達成できるであろう。

*戦場までの距離と地形は米中双方の緊要な目的達成に重大な影響を与える。
中国本土に近くなればなるほど米国に不利となり、米国の軍事行動に対し大きなマイナスとなる。

*中国の戦力投射能力は低いままであり、米国は中国沿岸から遠く離れた地域におけるシナリオではより決定的な優位性を維持している。
人民解放軍の事態対応能力と戦闘に勝利する能力は、戦闘機及びディーゼル潜水艦の無給油での行動半径を超えると急速に低下する。
中国から長距離離隔した作戦は常に中国にとって不利に働く。

*しかし、中国の戦力投射能力は向上していて、中国沿岸から離れた地域における相対的戦闘力は変化しつつある点に注意が必要である。

*日本にとって深刻なのは中国の準長距離弾道ミサイル(「DF-16」射距離1000キロ、「DF-21C」射距離2500キロ)で、在沖縄米軍基地のみならず日本の全体を射程内に収めることができる。

(戦力投射能力とは、軍事力を海外に展開し作戦する能力で、空母や長距離輸送機などが典型的な装備品である)

「米中軍事スコアカード」では、戦術、作戦,会戦、戦略の4段階で分析するが、中核となる分析は作戦レベルの分析である。

シナリオは台湾シナリオとスプラトリー諸島シナリオの2つであり、この2つのシナリオを会戦レベルと呼んでいる。

作戦レベルでは10個の任務分野(例えば中国の対水上艦艇戦、米軍の中国地上目標に対する航空攻撃など)における分析を行い、10個のスコアーカードを作成する。

10個のスコアーカードの要約。

スコアーカード1:空軍基地を攻撃する中国の能力

中国は、現代戦における空軍力の重要性に鑑み、前方展開する米空軍基地に脅威を与える弾道ミサイルと巡航ミサイルを開発してきた。
中国は今や1400発の弾道ミサイル、数百発の巡航ミサイルを保有している。
その大部分は射程が1000キロ以下の短距離ミサイルであるが、在日米基地に到達する準中距離弾道ミサイルの保有数を増加させている。
さらに重要なことは,命中精度が向上しCEP(半数必中界)が1990年代の数百メートルから今日では5~10メートルに大幅に向上し、射距離も短距離(1000キロ以下)から準中距離(1000~3000キロ)に伸びている。
ランド研究所のモデルによると、嘉手納基地に対する比較的少数の弾道ミサイルの攻撃により、紛争初期の緊要な数日間基地が閉鎖され、より集中的な攻撃の場合は数週間の閉鎖になる危険性がある。
米国の対抗手段(防空の改善、飛行機格納の硬化、より迅速な被害修復、航空機の分散)により、その脅威を減少させることができる。
しかし、米国の技術的なブレークスルーをもってしても、中国のミサイルの数と種類の増加は、米軍の前方基地からの作戦能力にとっての脅威となる。
大部分の米航空機が影響を受けやすい基地化紛争地域からはるかに遠い所から出撃を余儀なくされるため、基地問題は戦場における航空優勢の獲得を複雑にするであろう。

スコアーカード2:台湾及びスプラトリー諸島上空での航空戦

1996年以来、米国は「F-22」及び「F-35」などの第5世代機を導入してきた。
一方、中国は1996年時点で大半が第2世代機であったが、今や第4世代機が人民解放軍空軍の半数に達し、米軍との質的ギャップを縮めつつあるが、肉薄はしていない。
1996年以来の変化のために米国は、その当時よりも数百倍の作戦上の考慮が必要になっている。
米国の指揮官は、2017年の台湾シナリオで開戦から7日間作戦出来る基地を見つけるのが困難になるであろう。
そのため作戦期間を長めに考えなければいけないが、その間地上戦力と海軍力は脆弱な状態に置かれるであろう。
スプラトリー諸島シナリオでは台湾シナリオの戦力の半分の戦力で対応が可能である。

スコアーカード3:米国の中国空域に侵入する能力

中国の防空能力の向上は中国内及びその近傍での米軍の作戦をより困難にしている。
1996年においては中国の地対空ミサイルはロシア製の旧式の「SA-2」であったが、2010年には約200基の高性能SAM(SA-10C,SA-20など)を配備している。
新式のミサイルはより洗練されたシーカーと200キロの飛距離を有している。
より能力のある戦闘機と早期警戒機により中国の総合防空システム(IADS)は手強いものになっている。
しかし、米国の侵入能力もステルス航空機と新SEAD機により改善している。
「目標カバー・モデル」を使用して台湾シナリオ及びスプラトリー諸島シナリオにおける米軍の侵入能力を分析すると、全般的に中国の能力が向上し、中国の改良IADSが米軍の侵入能力を低下させている。
米国のスタンド・オフ攻撃能力、ステルス、SEADにもかかわらず、台湾対岸地域に低いリスクで侵入し目標を打撃する能力は2017年において非常に低下する。
しかし、スプラトリー・シナリオにおける米軍の侵入能力は非常に強力である。
これは、米空軍力が台湾シナリオに比べより小さな目標でより海岸に近く配置されている中国の航空基地に指向されるからである。

スコアーカード4:中国航空基地を攻撃する米国の能力

中国の領空に侵入することは犠牲を伴うが、特に脅威の高い台湾シナリオにおいては、1996年以来の新世代精密誘導兵器の開発が米国に新たな選択肢とより強烈な打撃能力を付与した。
米軍はJDAMのような全天候の精密兵器を保有している。
様々なプラットホームから発射可能な射程数百キロのスタンドオフ兵器を活用できる。
台湾シナリオでは無給油で台湾の対岸にある40か所の中国航空基地を攻撃できる。
いずれの年もスプラトリーのケースではすべての中国の航空基地を最初の1週間閉鎖することができる。
ただし、対地攻撃においてはスタンドオフ兵器の在庫には制限があることに留意すべきである。
(JDAMとは、総合直接攻撃弾。JDAMの誘導装置を装着すると無誘導弾が全天候型の誘導弾に変身させる)

スコアーカード5:中国の対水上艦艇戦闘能力

人民解放軍は、陸上に基地を置く米空軍力に打撃を与えることと、米国の空母打撃部隊に損害を与えることを重視している。
中国は2000年に最初の軍事偵察衛星を打ち上げ、2007年にはOTHレーダー3を配備した。
OTHレーダーは、中国の海岸線から2000キロまでの目標の補足が可能である。
中国の宇宙・電子分野の発達は、人工衛星の発射のペースを向上し、高度なISR衛星の配置を可能にした。
中国のDF-21Dなどの対艦弾道ミサイルは米海軍に新たな脅威となっている。
一方、米軍は対抗手段の開発を進め、中国の対艦弾道ミサイルに対する弱点の追及は人民解放軍に大きな脅威を与えることになる。
対艦弾道ミサイル例えばDF-21Dは、空母キラーとして有名になったが、メディアで言われるようなミサイル1発で米空母を1撃できるという万能の兵器ではない。
一方、航空戦力そして特に潜水艦は、相手に対しより確実に脅威を与える兵器になってきた。
1996年から2015年の間に中国海軍のディーゼル潜水艦は2隻から37隻へ急増し、そのうち4隻は巡航ミサイルと魚雷を装備している。
中国の潜水艦隊は1996年から2017年まで着実に発展を続け、台湾及び南シナ海における紛争において米水上艦艇に対し間違いなく脅威となろう。

スコアカード6:米国の対水上艦艇戦闘能力VS中国海軍艦艇

中国の水陸両用戦力は1996年から2017年で2倍になる。
米軍が保有する中国水陸両用戦力を撃破する能力は1996年から比較すると相対的に少し低下しているが、いまだに協力である。
中国は対潜水艦用ヘリや船舶を配置してきた。
米国の潜水艦が与え得る損害は相対的に低下しているが、2017年における7日間の紛争で中国の両用戦能力の40%を破壊し得る。
これは上陸部隊の組織的な統合性を破壊するものになるだろう。
米国の中国水上艦艇に対する能力は相対的に低下してきたが、潜水艦、航空機、水上艦艇による攻撃は、中国の両用戦力と両用戦を実施し継続する能力に大きな脅威となろう。

スコアーカード7:米国の対宇宙能力VS中国の宇宙システム

2015年1月の段階で、米国は526基の衛星を運用中であり、132基の中国の衛星を凌駕している。
しかし、中国は、2009年から2014年には2003年から2008年の間の2倍、1997年から2002年の間の3倍の衛星を打ち上げている。
米国は、伝統的に作戦としての対衛星兵器の配置に消極的であった。
なぜなら米国の対衛星兵器の配置は他国の同様な配置を正当化する恐れがあるし、米軍の軍事作戦は人工衛星に依存しているからである。
しかし、2002年に従来の方針を転換し、2004年には限定的な対衛星能力(敵の通信衛星を妨害する能力)の予算を承認した。
米軍は、軍民両用のシステム、例えばレーザー照準ステーションを活用でき、高出力レーザーシステムは中国の衛星の光学センサーを妨害できる。
実運用上の制約や政治的考慮により破壊的な攻撃を実施することは実際には難しいが、対弾道ミサイル迎撃兵器を対衛星用の運動エネルギー兵器として使用できる。
地上作戦を支援するための宇宙の利用では米国はリードしているがその対衛星能力の点では、開発途上にある。

スコアーカード8:中国の対宇宙能力VS米国の宇宙システム

中国は広範な対宇宙能力を追求してきた。
2007年には高度850キロにある自国の衛星に対するミサイルテストで同衛星を破壊し、その対衛星能力を実証した。
この実験により、この高度に依存する米国の多くの低軌道衛星は脆弱であることが明らかになった。
2014年7月には弾道ミサイル迎撃試験を3度実施したが、対衛星兵器の試験と同高度であり、その技術も対衛星兵器に必要な技術である。
しかしながら、最終的には政治的考慮、エスカレーションの危険性、中国システムの宇宙ゴミに対する脆弱性により、衛星に対する運動エネルギー兵器の使用は抑制されるかもしれない。
より厄介なのはロシア製のジャミングシステムと高出力軍民両用のラジオ送信機である。
これらは米国の通信衛星やISR衛星に対し使用可能である。
中国は、米国と同様にレーザー照準ステーションを運用し、米国の衛星をかく乱したり、衛星を追跡し他の攻撃方法を容易にすることができる。
また、米国衛星の高度・数・衛星軌道、攻撃を受けた時の機能推進力により脅威は違ってくる。
ジャミングに弱い通信衛星及び4基と数は少なく低軌道を飛行するイメージング・システムに対する脅威は大きい。
GPSやミサイル警戒衛星については衛星機能の改善や数の増加でリスクを軽減できるかもしれない。

スコアカード9:米国と中国のサイバー戦能力

中国のサイバー戦は、米国と同盟国の主要な懸念事項になっている。
中国からもたらされる悪意あるサイバースパイ活動は人民解放軍が発信源になっている。
米国のサイバーコマンドの設立は2009年であるが、中国のサイバー部隊の設立は1990年代後半である。
しかし、米国のサイバーコマンドは、サイバー戦分野で極めて能力の高い国家安全保障局(NSA)と密接に連携し、NSAの最先端の技術を活用する利点を有する。
サイバー戦のすべての分野(攻撃・防御のスキル、ネットワーク管理、全般的な強靭性)において米国は中国を凌駕している。
しかし、米国の兵站分野は脆弱である。
なぜならインターネットにつながる秘匿されていない一般のネットワークに依拠しているからである。

スコアーカード10:米国と中国の戦略核の安定

核スコアーカードでは米中どちらの戦略核が優勢であるかではなく、米中間の戦略核の安定性を評価する。
相手からの第1撃に対する第2撃能力の残存性を検証した。
中国は、路上機動の「DF-31」、「DF-31A」(ICBM)と普及弾道ミサイル原子力潜水艦(12発のJL-2潜水艦発射型弾道ミサイルを搭載)の導入により残存能力を高めている。
そして、【DF-5】ミサイルをMIRV化し、さらに次世代の路上機動ICBM,SSBN,SLBMを開発中である。
米国も戦略核の近代化に予算を投入しているが、START(戦略兵器削減条約)と新STARTの拘束を受け核弾頭と戦略運搬システムの削減を行っている。
以上の状況ではあるが、2017年の段階で米国が核弾頭数において13対1で優勢である。
中国の第1撃はどの年度においても米国の第2撃報復能力を無効化することはできない。

中国の指導者は、一時的・局所的優勢により、周辺諸国との紛争に米国が介入することを抑止できると判断するかもしれない。

このことは米国の抑止力を低下させ、危機に際し、北京の軍事力の使用に関する判断を左右することになるかもしれない。

抑止力を強化し、紛争開始時の米軍の損害を減少させ、戦争が生起した場合には勝利を確実にするための5つの提言をする。

(1)バランス・オブ・パワーの変化は米国に不利なトレンドではあるが、戦争は北京にとっても大きなリスクであることを明確に認識させるべきである。

(2)兵器調達の優先順位において、基地の抗堪性(余剰と残存性)、高烈度紛争に最適なスタンドオフ・システム、ステルスで残存性の高い戦闘機及び爆撃機、潜水艦戦と対潜水艦戦、強力な宇宙・対宇宙能力を優先すべきである。

(3)米国の太平洋軍事作戦計画策定においては、アジアの戦略的縦深を利用し、米軍が被る当初の打撃を吸収し最終目標に向かって反撃を可能にする「積極拒否戦略」を考慮すべきである。
中国近傍の地域を静的に防護することは難しくなるであろう。

(4)米国の政軍関係者は、太平洋の島国及び南東諸国との連携、戦時における潜在的アクセス権の拡大に努力すべきである。
最も緊急なのはフィリピン及びベトナムとの防衛関係を深化させることである。
また、インドネシア及びマレーシアを含む南東アジアの南の部分の諸国との連携をしなければならない。
これは、米国により大きな戦略的縦深と米軍により多くの選択肢を提供することになる。

(5)米国は戦略的安定及びエスカレーション問題において中国に関与する調和の取れた努力をしなければならない。


by mnnoblog | 2016-07-24 08:01 | 防衛
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    (日経新聞の記事より)

政府は来年度から、年金を受け取るために必要な保険料の納付期間を現行の25年から10年に短縮する方針だ。
納付期間が25年に満たず、年金をもらえずにいる高齢者を救済することが目的だ。

生活が苦しい無年金の高齢者にとっては少しの額でも年金がもらえることは意義があるだろう。
ただ10年間保険料を払えば年金がもらえるという認識ばかりが広がれば、今後国民年金加入者で、10年を超えて長く保険料を払い続ける人が減りはしないだろうか。

10年間の加入で支給される年金はわずかだ。
それだけでは老後の生活を支えきれず、生活保護に頼る高齢者を増やしてしまうことにもなりかねない。
できるだけ長く保険料を納めてもらい、将来の年金額を増やすための方策も同時に講じてほしい。

年金受給資格の緩和はそもそも、消費税率が10%に上がったときにその財源を活用して実施する予定だった。
安倍晋三首相は税率引き上げを延期したので、本来は資格緩和も延期すべきだった。
ところが先の参院選で与野党が早期実施を公約としたことから、来年度から実施の方向となった。

当初はこの措置で新たに年金を受け取れるようになる人は約17万人で、必要な国庫負担金は年約300億円とされていた。
ところが精査すると対象者は60万人超で、必要額は600億円以上になるという。
まずはこの財源をどう確保するのかが問われる。政府は責任ある対応を見せてほしい。

公的年金はすべての国民が原則20歳から60歳になるまで加入し、その間保険料を払い続けることを前提に設計されている。
国民年金では、無収入や低収入でも加入し続けることができるよう、保険料の減免制度がある。
収入が安定しない期間の保険料納付を猶予し、後払いを認める制度も備える。

年金受給の資格期間短縮によって、これら長期の年金加入促進策の利用者が減っては本末転倒だ。
国民の老後の生活安定を損なわないよう十分注意すべきだ。


by mnnoblog | 2016-07-23 08:51 | 社会
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  (NHK NEWS WEB の画像と記事より)

ロシアの陸上選手が組織的なドーピングを理由に国際陸上競技連盟から出場停止処分となった問題でCAS=スポーツ仲裁裁判所は21日、ロシアオリンピック委員会の訴えを退ける裁定を出しました。

この結果、ロシアの陸上選手は、原則としてリオデジャネイロオリンピックに出場できないことが確定しました。

ロシアオリンピック委員会は、ロシアの陸上選手について国際陸連が先月、組織的なドーピングを理由にリオデジャネイロオリンピックへの出場を認めないとした処分に対し、「ドーピングをしていない選手は、オリンピック出場を認めるべきだ」として、CASに68人の選手の処分の取り消しを求めて提訴していました。

この訴えについてCASは、21日、国際陸連の処分は正当で、ドーピングをしていない陸上選手をオリンピックに出場させるべきだとするロシアオリンピック委員会の主張は認められないとして、訴えを退ける裁定を出しました。
この結果、ロシアの陸上選手は原則としてオリンピックに出場できないことが確定しました。

ロシアを巡っては、国家主導での組織的なドーピングが認定され、IOC=国際オリンピック委員会が、陸上だけでなくロシア選手団の出場を認めないことを検討していて、今回のCASの裁定を受けてIOCが最終的にどのような判断を下すのか注目されます。

一方で、国際陸連はロシア選手のうち、ロシア国外に拠点を置き、ドーピングに関与していないことが証明できる選手については、特例として個人資格でオリンピックに参加できるとしていて、アメリカに拠点を置く女子走り幅跳びのダリャ・クリシナ選手と、一連の問題が明らかになる告発をした中距離のユリア・ステパノワ選手の2人は、オリンピックに出場する資格があります。

今回の裁定を受け、今後最大の注目は、IOCがロシア選手団のオリンピック出場をどのように判断するかです。

今回のCASの裁定結果を受けて、IOCは24日に再び理事会を開く予定です。
IOCがCASの裁定を考慮するとしていることや、CASが個人の権利ではなく組織の責任のほうを重視しているとみられることから、今回の決定は、IOCが「ロシア選手団のリオデジャネイロオリンピックを出場を認めない」という大きな決断に踏み切る可能性を高めるものとみられます。

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7/25,日経新聞

IOCは24日緊急理事会を開き、国家主導のドーピングが問題視されるロシアのリオデジャネイロ5輪への参加について、競技ごとの国際連盟に判断をゆだねることを決めた。
薬物の使用状況は競技により濃淡があると判断し、全面的な参加禁止処分は見送った。
今後は各国際連盟の決定が焦点になる。


by mnnoblog | 2016-07-22 08:01 | スポーツ

のほほんと---


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