私のゆるゆる生活

mnnoblog.exblog.jp
ブログトップ

<   2016年 08月 ( 36 )   > この月の画像一覧

資本主義に厳しい視線

d0187477_09515854.jpg
  (日経新聞の記事より)

資本主義が危機に直面している。
そんな議論が日本を含む先進国の論壇でさかんだ。
状況がより先鋭的に現れているのは米欧である。

ハーバード大が全米の18~29歳の若者を対象に今春実施した世論調査では、51%が「資本主義を支持せず」と答えた。

民主党の大統領候補選びでは「民主社会主義者」を名乗るサンダース上院議員が若者から熱狂的な支持を集めた。
英労働党も資本主義に批判的な勢力が指導部を牛耳る。

勿論本気で資本主義を倒そうという勢力が台頭しているわけではなく、定義があいまいなまま資本主義が悪者になっている面も大きい。

とはいえ、こうした風潮を軽視してはならないとの危機感が米欧の実業界では高まっている。
「短期志向をあおり、貧富の格差を広げるようでは資本主義への支持は消え、繁栄への希望もついえる」
そんな問題意識から大企業や機関投資家のトップらは「包摂的な資本主義のための連合」を結成。

背景には世界的に成長が弱まり、若年層を中心に高失業や賃金停滞が顕著になってきたことがある。

結果的に既存の経済・政治システムへの不信が拡大。
それを覆す成果を出さないと極端な政策が現実化しかけない状況になった。

既存の体制への不信という時代風景は、1920~30年代と重なる。
ハイパーインフレから大恐慌と大揺れに見舞われた資本主義は信頼を失い、一時は大きな成果を出したソ連の社会主義やドイツの国家社会主義が磁力を増した。

今は資本主義に強力な挑戦者はいない。
かといって支持基盤が強固なわけでもない。

「世の中を目の敵にする衝動を抑えるには社会制度への愛着が必要だが、そうした感情的な思い入れこそ資本主義が構造上生み出せないものなのである」。
資本主義の行方を考察したシュンペーターは『資本主義、社会主義、民主主義』でこう看破した。

ケインズも「ビジネスマンが不当利得者に変われば資本主義は大打撃を受ける」と言い、不平等感が資本主義を危うくすると警告した。

信頼を高める積極的なアクションが必要だ。

そもそも資本主義は私有財産を法で保証し、自由競争で富を生み出すものだ。
人々のやる気や創意工夫が繁栄につながることを想定している。

まずはその機能をフルに発揮させることだ。

シュンペーターは顕在化していない需要を先取りして見つけ、新しいものを生み出すのが企業者だと説いた。
企業が目先の利益にとらわれずに創造力を発揮し、社会の課題解決につながる成果を出していく。
それが資本主義への信頼回復につながる第一歩である。

政府の行動も重要である。
介護ロボットから自動運転車まで高齢化などの課題を解決するイノベーションを組み合わせ社会に根付かせる。
そんなコーディネーターの役割が政府には求められる。

同時に働く意欲のある人への支援は思い切って強化すべきだ。
技術革新やグローバル競争によって負の影響を受ける人は少なくないと認識した上で、実効性のある就労支援や所得の下支え策が求められる。

それが不十分だと、自由貿易や企業活動を脅かすような磁力が増すことになる。

資本主義は本来不安定さを抱え、欠点も目立つ仕組みだ。
人々の生活の激変を和らげ、成果の恩恵が広く共有されるようにする。
金融市場の過度の変動が実体経済を振り回すのを抑える。
しかし、競争を通じて新たな価値を創造する市場機能はつぶさず伸ばしていく。
求められるのは資本主義の再起動である。



by mnnoblog | 2016-08-31 08:51 | 社会
d0187477_08320779.png
  (日経新聞”社説”の記事より)

日本とアフリカ諸国の首脳や経営者が一堂に会し、アフリカ開発の課題や協力策を話し合う「第6回アフリカ開発会議(TICAD6)」が8/27から、ケニアの首都ナイロビで開かれている。

豊かな人口と資源を持つアフリカは、大きな可能性を秘めた「最後のフロンティア」だ。
日本はアフリカの持続的な成長をどう支え、取り込んでいくのか。
改めて考える機会にしたい。

1993年に東京で第1回を開いたTICADは、6回目の今回、初めてアフリカで開く。
紛争や飢餓に苦しんできた「暗黒大陸」は2000年代に入ると成長の軌道に乗った。
新興国の資源需要の増加に伴う資源価格上昇が足がかりとなったのは間違いない。

今回は資源ブームが一段落した中での開催となる。
資源価格の下落により、経済を資源輸出に頼る国は苦境に陥った。
アフリカの自立への機運を失速させてはならない。
産業を育て、経済を多角化する構造改革を急がねばならない。

日本はこの分野で積極的な役割を果たしたい。
貧困解消や教育の充実など、政府や非政府組織(NGO)による援助は引き続き大切だ。
同時にアフリカが求めるのは自立を後押しする貿易や投資だ。
それには企業の役割が大きい。

アフリカでは生活水準の向上に伴い、巨大な消費市場が出現しつつある。
TICAD6に出席する安倍晋三首相には今回、70以上の企業・大学の首脳や幹部が同行する。
アフリカ市場への強い期待の表れといえる。

アフリカには54の国がある。
12億人の人口は40年に20億人を超えて中国やインドを上回る。
一国では小さくても複数の国をあわせた経済圏で見れば市場は広がる。
広域で開発を進める視点が必要だ。

アフリカ諸国も地域経済圏づくりに取り組んでいる。
ケニアやタンザニアなど東部の5カ国で構成する東アフリカ共同体(EAC)や、南アフリカやアンゴラなど南部15カ国で構成する南部アフリカ開発共同体(SADC)は自由貿易地域をスタートさせている。

日本は投資協定をモザンビークと締結し、ケニアとは実質合意した。
個別の国との貿易・投資環境の整備に加え、EACやSADCなど、地域経済共同体との経済連携協定(EPA)の締結を考えることも必要だろう。

日本はEACとの間で、国境での輸出入手続きや税関業務を効率化して域内物流を改善する支援を続けている。
こうした経済圏づくりへの協力を広げていくべきだ。

国をまたがるインフラの整備も重要だ。
経団連のサブサハラ地域委員長を務めるコマツの野路国夫会長は「発電所でつくる電気を周辺国に融通したり、内陸国と沿岸国をつなぐ物流網を整備したりすることが、アフリカ全体の底上げにつながる」と言う。

13年に横浜市で開いた前回のTICAD5で、日本政府は広域開発を重点的に支援する10カ所を選んだ。
その一つであるモザンビーク北部では、三井物産がブラジルの資源大手ヴァーレと炭鉱や鉄道、港湾を開発・運営し、日本政府がモザンビークやブラジル政府と沿線の農業開発で協力するなどの連携が具体化しつつある。

アフリカ市場をめぐる国際競争は激しさを増している。
日本が中国などと、政府開発援助(ODA)の額で競うのは限界がある。
企業では負担の重い港湾や道路の整備や、貿易・投資環境の改善を政府が受け持ち、企業が工場や発電所を建て、雇用を生み出す。
経済援助の規模を競うのではなく、官と民の効果的な連携の質を高めることを日本は目指すべきだ。

イスラム過激派によるテロはアフリカにも広がる。
ソマリアや南スーダンでは内乱が続く。
西アフリカに広がったエボラ出血熱はほぼ終息したとはいえ、アフリカの保健・衛生環境は依然として脆弱だ。
アフリカにはまだまだ多くの課題がある。

若者が過激思想に引き寄せられないようにするには教育や職業訓練の場を整え、雇用創出や生活水準の向上など社会の安定に向けた粘り強い取り組みが必要だ。
日本ができることはたくさんある。

ただし、テロや感染症の対策は日本だけで解決できる問題ではない。
TICADは日本とアフリカ諸国だけでなく、国連や世界銀行など国際機関が共催する。
日本のための会議にするのでなく、アフリカの課題を広く議論する場として育てていくことがTICADの重みを増し、ひいては日本の存在感を高めることになるはずだ。


by mnnoblog | 2016-08-30 08:31 | 国際
d0187477_19144135.jpg
  (DIAMOND online の記事より)

薄毛に悩む人は、男性型脱毛症をはじめ、国内1800万人以上に及ぶ。
その4000億円といわれる関連市場に異業種から大手企業が相次いで参入し、この夏、毛髪の再生治療の実用化に向けた研究を加速させている。

その代表格である化粧品大手の資生堂は2013年、カナダのバイオベンチャーと技術提携。今年6月末、東京医科大学および東邦大学とタッグを組み、約60人の被験者で臨床研究を開始すると発表した。

具体的な手法は、毛髪が残されている後頭部の頭皮を数ミリメートル切り取り、毛髪細胞(毛球部毛根鞘細胞)を採取して培養。
増殖させ患部に注入するというものだ。
このうち、資生堂は細胞の加工と培養を担う。

植毛や女性の使用が禁じられている服薬など従来の薄毛治療法と比べ、「身体への負担が少なく、自家細胞(患者自身の細胞)移植のため、拒絶反応など移植リスクも小さい。

一方、この臨床研究の発表に触発されたのが、電子部品大手の京セラだ。
先月、理化学研究所(理研)などとの共同研究開始を明らかにした。

理研の研究者は、4月にマウスのiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使い、毛包などを含めた皮膚組織全体の再生に成功した辻孝チームリーダー。
ただし、このたびの共同研究は、iPS細胞による他家細胞移植ではなく、自家細胞移植だ。
正常な毛髪が残る頭皮から取り出した上皮性幹細胞と間葉性幹細胞から「再生毛包原基」を作り、培養して移植する。

京セラは、微細加工技術を生かした細胞加工機器を開発する。

両グループの違いを簡単に言えば、資生堂側は弱った毛包を再び元気にする研究。
産毛のようになった頭髪が再び太く長く伸びる。
片や、京セラ側のそれは、毛包そのものを作り出す研究だ。

気になる実用化の時期だが、両グループとも、早くて20年以降を目標として掲げる。


by mnnoblog | 2016-08-29 08:13 | テクノロジー
d0187477_19071390.jpg
  (REUTERS ロイターの画像と記事より)

2000年以降に社会人になった「ミレニアル世代」と、ベビーブーム世代との経済格差が先進各国で拡大している。
世代間格差を放置すると経済や金融市場だけでなく、民主主義にも深刻な影響を及ぼす恐れがある。
賢明な政策を講じれば状況を改善できそうだが、改革へのハードルは高い。

若年層の失業率は高止まりし、超金融緩和政策は貯蓄者を罰する一方で高齢の既得権益層が持つ住宅や株式の価値を押し上げ、世代間格差への懸念を煽っている。

18歳から34歳の世代の多くが、親の世代に比べて貧しくなるのは事実かもしれない。
ただ、好況時の果実を高齢労働者がもぎとり、若年層にツケを回すという単純な構図で片付けられるものではない。
事実はもっと複雑で、過去の経済政策と同様に構造的変化も格差拡大に大きく関係している。

賃金を例にとろう。
マッキンゼー・グローバル・インスティテュートが最近公表した調査結果によると、先進国の世帯の60─75%で、2005年から14年にかけて実質賃金が横ばい、あるいは低下した。
1世代前の1990年代半ばから2000年代初頭では、こうした経験を味わった世帯はわずか2%程度だった。

マッキンゼーによると、米国では30歳未満の高卒労働者の所得が、45歳以上の高卒労働者の倍近い率で減少している。
高学歴者で見ても、若年層の所得が2002年から12年にかけて6%減少したのに対し、45歳以上は2%の減少にとどまった。

所得の減少は、労働組合加入率の低下やオートメーション化の進展、労働分配率の低下と同時に進行してきた。
これらの要因と人口動態の変化は、政策選択の結果というより主に構造変化だ。

だからといって、多くがベビーブーム世代である政治家に非が無いわけではない。
年金を不可侵のものとして大判振舞いしてきたことと、資産価格の上昇が世代間格差に拍車を掛けたのだ。

ギリシャ、スペイン、イタリアなど南欧諸国では、若年層の失業率が近年40─50%で推移し、「失われた世代」と呼ばれている。
上の世代が享受した雇用の権利や年金支給も今は損なわれてしまった。

ただ、ミレニアル世代が何もかも不利なわけではない。
可処分所得の減少は、税引き前の数字が示すほど激しくはない。
これは高所得者から低所得者に資金を移転する税制および社会福祉政策のおかげだ。

今の若年層の方が有利な側面は他にもある。
米国では、ベビーブーム世代が住宅を買い始めた1970年代後半から80年代初頭以来、インフレ調整後の住宅価格が倍近くに上昇したが、住宅ローン金利と所得税率は現在の住宅購入者の方がずっと低い。

しかし今後10年間でベビーブーム世代への年金支給が始まると、若年労働者にとって状況は厳しくなる。
大半の経済協力開発機構(OECD)加盟国で高齢化が進んでおり、退職者数に対する労働者数の比率が下がるため、医療費や年金について現役世代の負担が増えていく。
政府は増税あるいは社会保障費の削減をいかに公平に実施するか、真剣に議論する必要が出てくるだろう。

確定給付型年金が徐々に姿を消し、確定拠出型への移行が進んでいるため、若年層は自分で老後の資金を蓄えなければならないという問題もある。

一部の裕福な家族なら、相続などによってこの問題は相殺されるだろう。
しかし大勢の人々の苦難は消えない。
所得の減少によって支出も減り、経済に悪影響が及ぶかもしれない。
そうなれば投資収益率が下がり、世代間の緊張がさらに高まりかねない。

何も手を打たなければ、欧州連合(EU)離脱の是非を問う英国民投票や、米国のトランプ現象に見られるような、既得権益層や移民に向けた怒りが一層煽られる恐れがある。
しかし移民は一般に若く生産性が高いため、流入制限を強めると実際には高齢化がさらに深刻化するかもしれない。

退職者と現役世代の負担を公平化するような政策を増やせば、問題解決につながるかもしれない。
しかし政治的な障壁は高い。

ベビーブーム世代の発言力が増せば、世代間衝突の現実味が増す。
だが賢明な改革を正しく組み合わせれば、そうした嵐をかなり鎮めることができるだろう。

実施すべき改革の中には、今退職を迎えている世代を利する政策の見直しが含まれる。
各国政府は年金支給年齢を引き上げ続けるほか、年金支給の物価スライド制にもメスを入れる必要がある。
相続税の税率引き上げも世代間格差の縮小に役立つかもしれない。

高齢世代の痛みが少なくてすむ政策もある。
税金を支払う現役世代移民の受け入れ拡大が、選択肢の1つだ。
多くの先進諸国で金利が極端に低下しているため、政府が借金してインフラ投資に回せば若年失業者向けの雇用を増やせるだろう。
金利が低いため、彼らが受け継ぐ国家債務が持続不可能なほど増えることもない。

最低所得層に対する学生ローン債務の棒引きや、ベーシックインカム制度の導入など、より過激な政策も検討に値する。
いずれの政策も消費性向の高い層、主に若年層と貧困層への所得配分を増やし、経済全体の需要を押し上げるという副産物が期待できる。

ミレニアル世代がベビーブーム世代に代わって主導権を握り始めるよりずっと前に、これらの構想を議題に乗せていかなければならない。


by mnnoblog | 2016-08-28 08:06 | 社会
d0187477_12085510.png
(写真の右半分が、電子ミラー搭載車。比較のための既存車と写真を合成(写真:BMW))
  (日経Automotive の画像と記事より)

自動車用ミラーが近い将来、大変貌を遂げようとしている。
カメラとディスプレーを用いた「電子ミラー」がついに欧州や日本で解禁されたためだ。

先ごろ、国際連合欧州経済委員会が定める、後写鏡に関する規則の改訂作業が完了した。
日本も、これを受けて2016年6月18日、道路運送車両の保安基準を改正。
これにより、「基準を満たせば、従来の後写鏡を搭載しない、電子ミラーだけのクルマを公道で走らせてもよい」ことになった。

期待感が高まっている電子ミラーだが、規則・基準の整備完了に伴い、すぐに自動車メーカーが量産に乗り出すわけではない。
乗り越えるべき課題があるためだ。
各社が目指す量産化のターゲットは2018年ごろである。

電子ミラーは、ルームミラーとドアミラーに分けられる。
特に恩恵が大きいのが、ドアミラーの電子化である。

利点は、(1)車両デザインの自由度向上、(2)死角の低減、(3)夜間や雨天時などの視認性向上、(4)空気抵抗の低減――などが挙げられる。


by mnnoblog | 2016-08-27 08:03 | テクノロジー
d0187477_12321877.jpg
      (惑星の想像図。欧州南天文台提供)
  (REUTERS ロイター の画像と記事より)

世界の科学者31人からなるチームは、太陽系に最も近い恒星の周囲を回る惑星が、地球とよく似た環境を有している可能性があると、24日付の英科学誌ネイチャーに発表した。
地球外生命体の痕跡を探すうえで大きな前進となるかもしれないと、期待が集まっている。

研究チームによると「プロキシマb」と呼ばれる惑星は、恒星プロキシマ・ケンタウリの周りを回っており、地球から4.2光年と「比較的近い場所」にある。
そのため、生命体に必要とされる大気や水が存在するかを、画像などで確認できる可能性があるという。

恒星から届く光の色の変化から、プロキシマbの大きさは地球の約1.3倍で、恒星との距離は、地球と太陽の間よりも近いと考えられる。
ただ、この恒星が太陽よりもかなり小さくて暗いことから、プロキシマbには水が液体のまま存在するのに適した環境があるという。

また、仮に大気が存在すれば、今後の研究で、生命体の証しとなるメタンなどの化学物質が含まれるかどうかが明らかになるだろう。

スペインの科学者は「生命の存在に適した、地球のような惑星である可能性は十分にある」とした。
ただ、プロキシマbに大気や磁場などが存在するかはまだ明らかでなく、恒星の周りに他の惑星があるかどうかも、今後調査する必要がある。


by mnnoblog | 2016-08-26 08:31 | 宇宙
d0187477_11214243.jpg
  (JBpress の画像と記事より)

かつて地球は、人類の力がとても及ばない巨大な存在だった。
しかし現代では、人類の活動が地球全体の環境を変え、気温や雨量などを変化させるに至っている。

このため、地球の歴史が新たな時代に突入したと考える科学者から、「人類世」(Anthropocene)という名称が提案されている。
私たちはこの「人類世」において、地球環境と人間活動の調和を実現する必要に迫られている。

この調和の実現に向けて、世界の科学者がアクションを起こし、Future Earth(地球未来学)という新しい科学を作るための壮大なプロジェクトが開始された。

18世紀から19世紀にかけての産業革命は3つの大きな変化をもたらした。

1つはエネルギー革命であり、燃料源の主力が木材から石炭(続いて石油)に変わり、やがて地球温暖化を招くことになる、化石燃料からの二酸化炭素の放出がはじまった。

さらに、効率の高いエネルギーを利用した製鉄技術の発達とともに、商船や軍艦が鉄で作られるようになった。
木材需要が減少したことで、森林を維持する必要性が低下した。
そして今日につながる森林の大規模な減少が始まった。

第2の変化は市場革命、つまり本格的な市場経済の開始である。
産業革命がもたらした技術革新によって、新たな事業のニーズが急速に増加した。
このニーズに応える形で利子率が低下し、資本が集めやすくなり、株式会社が許可制から登録制になり、事業の自由化が進んだ。

その結果、土地や労働力を含むあらゆる商品が市場で取引されるようになり、市場価格がつかない「コモンズ」(共有財)への収奪が促進される条件が生まれた。
誰でも自由に利用できるコモンズは、過剰利用によって劣化する。
この現象は「コモンズの悲劇」と呼ばれているが、市場経済の下での自然環境の劣化は、その代表的な例である。

第3の変化は、教育・科学革命である。
教育による知的生産力の向上が科学・技術を大きく発展させ、新しい産業を支えるより高度な労働力を生み出した。
科学・技術の発展は、さまざまな汚染や公害、環境破壊を生み出す一方で、それを解決する技術の開発にも貢献した。
環境と人間の関わりという点では、科学・技術はまさに両刀の剣である。

いずれの転換点においても、ヒトは環境を大きく変えたが、その影響は歴史を通じて広域化を続け、今や人類の活動は、地球という巨大なシステム全体に、大きな影響を及ぼすに至っている。
大気の温暖化や海水温の増加、台風の大規模化などはその代表例だ。

また、世界中で雨水・河川水・地下水などに含まれる窒素の量が増え、多くの水系で富栄養化と呼ばれる栄養過多状態が生じ、水質汚濁・アオコや赤潮などの原因となっている。
また、グローバルな貿易を通じた負荷が拡大し、たとえば日本におけるパーム油やコピー用紙の消費が、熱帯林の減少に拍車をかける役割を果たしている。

このような地球規模の問題の解決には、言うまでもなく地球規模での協力が必要だ。

1992年には、リオデジャネイロで開催された地球サミットにおいて、気候変動と生物多様性損失に対する対策の強化に向けて、気候変動枠組み条約と生物多様性条約という2つの国際的な枠組みが設けられた。

残念ながら気候変動についても、生物多様性損失についても、事態が好転しているとは言い難いのが実情だ。

この実情に対して、科学者の間で危機感が高まった結果として「Future Earth」が組織された

Future Earthが掲げる構想は、壮大だ。

第1にそれは、地球環境に関係するあらゆる自然科学・社会科学の統合を目指している。
地球環境問題は人類史と深く関わっているので、歴史学的アプローチは欠かせないし、その解決のためには、経済学や政治学、法学などの社会科学分野との連携が欠かせない。

地球環境問題の解決には地球規模の協力が必要だが、私たち人間は100人を超えるような大規模な集団での協力行動が得意ではない。
互いに顔が見える程度のチームにおける協力をうまく積み上げていくことが、問題解決の王道だ。

地球の未来を変えようという壮大な構想も、草の根的な協力行為を広く引き出すことができなければ、単なるスローガンに終わってしまうだろう。


by mnnoblog | 2016-08-25 08:21 | 環境
d0187477_10000927.jpg
  (日経新聞”社説”の記事より)

欧米では反移民や反自由貿易を標榜する政治家や政党が勢いを増し、安全保障政策も含め自国優先の孤立主義への誘惑も高まる。
日本はその波に引きずられて内向きになることなく、環太平洋経済連携協定(TPP)を柱とする貿易・投資の自由化や人の開国を進め、国の力を強くしていかねばならない。

国際通貨基金(IMF)は、2016年の世界経済の成長率が3.1%にとどまると予測する。
世界貿易の伸び率はさらに低く、5年連続で3%を下回ると世界貿易機関(WTO)はみている。

21世紀初頭に世界貿易をけん引してきたのは中国だった。
投資主導の高成長を実現し、その過程で世界中から資源や部品を輸入し、工業製品などを輸出してきた。

そして今、過剰な生産設備や債務を抱え、消費主導の経済へ軟着陸しようと苦闘している。
世界貿易の減速はその副産物でもある。

そんな中で、米国ではTPPに反対し、中国製品に高関税を課すというドナルド・トランプ氏が共和党の大統領候補になった。
欧州では、欧州連合(EU)やユーロ圏からの離脱、移民排斥を唱える極右政党が高い支持を保つ。

日本は人口が減少し、資源に乏しい。
世界とのつながりを深めてこそ経済を活性化させ、生活水準を維持したり高めたりできる。

米欧の保護主義の動きに強く警告を発し、他国に先んじて自由貿易の価値を世界に訴えねばならない。
そのためまず次の国会でTPPを承認する必要がある。

米国ではもう1人の大統領候補であるヒラリー・クリントン氏もTPP反対を明言し、下院議長も再交渉の必要性に言及している。
しかし、参加12カ国による高度な妥協の産物である合意内容の再交渉は現実的ではない。

日本が率先して承認すれば、米議会に「再交渉はあり得ない」と承認を迫ることができる。
日米以外の国も安心して国内手続きを進めやすくなる。
TPPが漂流しないように全力を挙げてほしい。

日本は「貿易立国」といわれて久しいが、実態はややかけ離れている。
日本の輸出の対国内総生産(GDP)比率は15%程度で、40%前後の韓国やドイツを大きく下回る。
日本も高付加価値品を中心に輸出をもっと増やす余地があるはずだ。

たとえばアフリカでは、東アフリカ共同体、南部アフリカ開発共同体、東南部アフリカ市場共同体という3つの地域経済共同体を統合する動きが進んでいる。
17年までの発効をめざしており実現すれば計26カ国で人口6億人超の巨大市場ができる。
日本は投資協定を結ぶアフリカの国を増やしつつ、こうした地域共同体との連携策を検討していくべきだ。

日本は貿易・投資の自由化に加え、外国人の受け入れ拡大など「人の開国」も進める必要がある。

厚生労働省によれば、外国人労働者数は昨年10月時点で約91万人と過去最高を更新した。
それでも13年に人口に占める外国人の比率は1.6%と、欧米主要国はもちろん韓国より低い。

日本では人手不足が広がる。女性や高齢者の雇用を増やすのと同時に、外国人にもっと活躍してもらう必要がある。
政府は具体的な計画づくりに着手すべきだ。

 壁は日本企業にもある。
日本企業でフルタイム勤務の経験のある外国人へのアンケート調査では、「評価システムが不透明」「昇進が遅い」などの不満が多かったという。
雇用慣行の見直しも外国人との共生に不可欠だ。

人、モノ、カネ、サービスが国境を越えて自由に行き交うのが経済のグローバル化だ。
それに伴う負の側面はもちろんあるが、グローバル化そのものに背を向けて国や企業、市民は豊かになれない。
自由貿易を主導する日本は先頭に立って反グローバル化の動きに歯止めをかけねばならない。


by mnnoblog | 2016-08-24 08:59 | 政治
d0187477_08433470.jpg
  (日経新聞”大機小機”の記事より)

「フィンテック」と呼ばれるIT(情報技術)を駆使した新しい金融サービスに注目が集まっている。

分散型ネットワークであるブロックチェーンを使った資金決済、ビッグデータを活用した融資判断、ネットで多数の貸し手を借り手と結びつけるクラウドファンディングなど、これまでの銀行の常識を覆す金融技術が次々と生まれている。
今後、これらの新しい金融サービスが、身近な金融取引の仕組みを大きく変える可能性すらある。

目下のところ「フィンテック革命」の主役はベンチャー企業だ。
特にこの分野でトップを走る米国では、シリコンバレーを中心に、斬新な金融サービスを提供する企業が次々と生まれている。

フィンテックに限らず、この種の技術が発展する際に重要となるのが規格の標準化だ。
標準化のプロセスは困難で時間がかかるが、ひとたび標準規格となれば、その技術は世界の市場を席巻する。
技術が世界標準からかけ離れる「ガラパゴス化」を日本が避けるには、世界の流れに乗り遅れないようにスピード感のある取り組みが望まれる。

フィンテックはITを駆使した最新のサービスで、使い勝手のよさ、低コストは大きなセールスポイントだ。
しかしフィンテックも、あくまでお金を扱う金融サービスの一つである点を忘れてはならない。
いかなる場合にも、金融サービスでは「安心・安全」が顧客にとり最優先の課題である。
誰が使っても十分に安全であることが確認されなければ、金融取引全体に占めるフィンテックの役割は限定的となる。

世界のフィンテック革命に出遅れた感の強い日本勢だが、安心・安全を伴うきめ細かなサービスの提供は日本が最も得意とし、世界の信頼も厚い。
この強みを生かしつつ既存のITをうまく取り込んでいけば挽回は可能だ。

フィンテック革命で日本が世界に伍して競争していくには、優れた技術の開発だけでなく、多くの顧客が望む安心・安全な金融サービスをいかに提供できるかがカギとなる。


by mnnoblog | 2016-08-23 08:42 | 社会
d0187477_08191284.jpg
   (日経新聞の画像と記事より)

トヨタ自動車やNEC、理化学研究所など20以上の企業と研究機関は、医療や製造現場を支える人工知能(AI)を産官学共同で開発する。
都内に研究拠点を設け、各社が様々な場面で使いこなせる共通の基幹技術を作る。

理研の革新知能統合研究センターがAI研究拠点を9月1日に東京駅近くに開く。
ここにトヨタ、NEC、ソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)、NTT、AI開発ベンチャーのプリファード・ネットワークスの研究者らが合流する。

連携期間は10年間。まず2017年度予算の概算要求に理研を所管する文部科学省が100億円規模の関連経費を盛り込む見通し。
企業側も数億円規模で負担する見込みだ。

開発するのは、現在主流のAIが膨大なデータを必要とするのに対し、データが限られても用途に応じて人間では気づかない最適解を見つける基幹技術だ。
これを生かして製造業のてこ入れや医療の効率化、老朽化するインフラの管理などに応用できる「課題解決型AI」を各社が作り込む。

トヨタやNECは、ものづくりやインフラ管理などの分野を中心に理研と連携する。
ものづくりの現場で使うAIは、工場の設備ごとに取り付けたセンサーのデータから熟練の作業員でも見分けるのが難しい故障の予兆をとらえる。
生産ラインも無駄を徹底して省き、工場の稼働率を高める。

ソニーCSLは、医師が気づかない治療法を助言できるシステムを作る。
電子カルテから患者の症状を詳しく解析し、一人ひとりに合う治療法を提案して医療費の増加を抑える。

政府はAIを日本の成長戦略の柱に位置づける。
日本が抱える人口減少や技能者の不足といった課題をAIの活用で乗り切る方針を打ち出す。

4月には文科、経済産業、総務の3省がAI研究で連携し、まず理研に革新知能統合研究センターを設けた。
トップに40代の東京大学教授を抜てき。
国内外の研究機関からまず約30人の研究者を集めた。
将来は100人規模に増やす予定だ。

世界のAI関連市場は、米調査会社の調べで企業向けの製品だけでも2015年の2億250万ドル(約200億円)から24年には111億ドル(約1兆1千億円)に急増するとみられている。


by mnnoblog | 2016-08-22 08:17 | テクノロジー

のほほんと---


by mnnoblog