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共振する国家主義

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  (日経新聞の画像と記事より)

ロシアのプーチン大統領と中国の習近平国家主席がときを同じくして長期にわたる強権支配を固めた。

ともに歴史的な大国の復興を掲げて欧米中心の秩序に挑み、地政学的な野心も隠さない。
国際秩序の守り神であるはずのトランプ米大統領も「米国第一」を押し通す。
自国優先主義が共振し、軸なき世界に混沌を広げる。
民主主義と自由経済は試練のときを迎えた。

英国での元ロシアスパイの毒殺未遂事件をめぐり欧米とロシアが対立。
鉄鋼などの輸入制限を打ち出した米国は台湾との間で高官の交流を促す法律も成立させ、中国が猛反発した――。
最近相次いだ事件は、米ソ冷戦の終結で勝利したはずの民主主義と自由経済を軸とする秩序が揺らぐ世界を映す。
約30年前、欧米が抱いた経済のグローバル化が成長と民主化をもたらすとの期待は外れた。

中国もロシアも自由化による成長の果実だけをもぎ取った。
習氏は開催中の全国人民代表大会で国家主席の任期をなくし、2023年以降の続投を可能にした。
プーチン氏は18日の大統領選で24年まで四半世紀の支配を決めた。
「皇帝」のような強さにこだわり、独裁的な国家主義に動く。

「米国を再び偉大に」と叫ぶトランプ氏の発想は、プーチン氏や習氏に似通う。
民主化の原動力となる中間層は経済のグローバル化で傷つき、米国でも白人労働者層がいわば負け組となった。
その層に大衆迎合で応じるトランプ氏は国際協調をないがしろにし、中ロの国家主義と共振する。

軍事力をはじめとするハードパワーへの回帰は国家の復権の象徴だ。
中国は南シナ海などで領有権を強硬に主張し、ロシアはウクライナ領クリミア半島を併合し国境を武力で侵した。
トランプ政権も核兵器重視への転換を表明し、ロシアは戦略兵器の開発の誇示で対抗する。
冷戦時代さながらの「核の抑止」という言葉が世界で飛び交う。

英王立国際問題研究所のロビン・ニブレット所長は多元的を意味する「ポリセントリック世界」の到来を指摘する。
超大国・米国の指導力が薄れ、各国が国益次第でときにぶつかり、ときに場当たり的に合従連衡する。
自国の利益優先がはびこり、イデオロギーで二分された冷戦時代よりも世界は複雑さを増した。

その潮流はすでに中東で鮮明だ。
米国に対抗しシリア内戦に軍事介入したロシアは圧倒的な優位に立ち、米国の同盟国トルコやサウジアラビアまでプーチン氏にすり寄る。
経済秩序も揺れ、保護主義に傾く米国を尻目に、中国の習氏が自由貿易の守護者のように振る舞う皮肉な場面も現実となった。
その米中はデジタル経済の覇権も争う。

国家主義は人権などへの配慮を後回しにし、スピード感ある国家運営を演出しやすい。
だが独裁が招く誤りは歯止めが利かず、独善的な指導者の判断ミスがもたらす災厄は格段に大きくなる。
指導者不在の「Gゼロ」世界を予見したイアン・ブレマー氏は「この10年は秩序の見えない混沌の時代が続く」とみる。

では日本は、どんな道を歩むべきか。
安倍晋三政権は森友問題で民主主義を揺るがしかねない公文書の書き換えが発覚した。
そんな状況下でも、日本が欧州とともに米国を引き留め、民主国家の結束を維持する以外に、「Gゼロ」の世界の防波堤は見当たらない。

経済も混沌とした世界の行方を左右する。
国家主義は汚職をはじめとするゆがみを生みやすく、持続可能性に疑問符が付く。すでにロシア経済は停滞に陥り、中国も過剰債務などの矛盾を抱える。
世界で開かれた経済を守る。
民主主義と自由経済の恩恵を受けてきた日本が負うべき責務だ。

by mnnoblog | 2018-03-21 08:06 | 国際

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