
葛飾北斎は1760年に現在の東京墨田区に生まれ、1849年に90歳で亡くなっている。
西欧の画家たちに影響を及ぼした、あの有名な「富嶽三十六景」を完成したのは73才である。
74歳の頃に「70歳までの絵は取るに足らないものであった。73歳になって禽獣虫魚の骨格や草木の出生を知り得た。86歳になればますます我が腕は上達し、90歳になればその奥義を極め、100歳になれば神の域に達するであろう。そして100歳を越えて描く絵は、1点1点命を得たかの如く生きたものになろう」と言っている。
全く恐れ入りましたと言わざるを得ない。
その証拠に、最晩年の89歳で描いた「富士越しの龍」は最高傑作と言われている。
北斎は長野県の小布施にアトリエを持っていたそうで、83歳から亡くなるまで4往復しているそうである。
江戸から小布施までは250キロもある。
考えられない健脚である。
江戸時代に90歳まで生きて、素晴らしい絵をかく事ができたのは、体が丈夫だったことと、雑念を持たず、現時点の事だけを考え、集中できる性格だったらしい。
その様な性格の人は、物事に集中できることから、直観力や想像力が高まるとされている。
北斎の最後の言葉は、”あと5年も長生きできたら本物の絵描きになれたものを”というものだったらしい。
75歳の私としては、最後まで自分を高めるその精神だけでも見習いたいと思います。